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第1章 第15話 【次へ】

 結局、お開きになったのは朝日が上ってからだった。夜更かしだあ。

 他にもまだ飲んでた人はいたけど、騒ぐ感じではなく粛々とした感じであり、みんなも帰り始めたので自然とお開きになった。


 早朝のウィンダービンの街は、朝霧が幻想的に街を包んでいる。


「ウィンダービンはやっぱりいいな。風が気持ちいいぜ」


 すっかりロイも起きて今、ロイのパーティメンバーと帰路についている。


「ねえ、ロイ。他の村の子って今何してるの?」


 なんとなく気になったことを聞いてみる。なんて言ったって僕の代の村の子は”豊作の村”の世代だ。今その子達が何をしているか少し気になる。その中でも気になる人たちがいるけど•••。


「はっ、他の村の子じゃなくてお前が気になるのはヴィクトリアとゴウだろ?」


 ぎく。嘘じゃないと言えば嘘ではない•••。


「いや、まあ、それもあるけど、別に、他の子も、気になるよ?」


「ギャハハハハハ。なんだよそのどもり方、すげえ動揺してるじゃねえかよ。そうだな、俺みたいなレアスキル持ったやつは冒険者にそのままなったやつもいるし、学校に行ったやつもいれば、軍に入ったやつもいるぜ。特にゴウなんて中央騎士団のある団の副団長にまでなってるって噂だ。後は、お前の大好きなヴィクトリアは冒険者パーティ”星の煌めき”にスカウトされて、そのおかげか今そのパーティはゴッドクラスになったって話題だぜ。お前とはとんだ差が出ちまったなあ」


 ご、ゴッドクラス•••。差どころか雲の上の存在じゃないか。


『でも、あなたも目指すのでしょ?』


 もちろん。それが僕の夢であり、スタート地点でもあるからね。


「早く追いつけよ、セイバー」


「ロイも、ゴッドクラスに来るんでしょ?」


 たりめーよ!と手を広げてオーバーリアクションをするロイ。ロイは普通にゴッドクラスになるだろう。本人の根性と仲間の一体感を直に見てそう思う。僕も負けてられないな。


「んで、お前これからどうするんだ?」


 とりあえず中央都市に向かおうとは思っているが•••。神様たちどう思います?


『良いと思うわ。中央はたくさんのダンジョンがあるから、セイバーの冒険者としてのランクもあげれそうだし、後は変なことが起きてないか見ておきたいっていうのも正直なところね』


 そうですよね。悪魔の件もあるし、中央に向かいながらダンジョンに潜って行こうと思います。


「とりあえず、中央都市に向かうよ。アルセォドワ王国の中央に行けばたくさんダンジョンがありそうだし、そこに行くまでにもダンジョンがありそうだし。潜りながら向かうよ」


 ロイとそのパーティメンバーが顔を見合わせる。


「そ、ソロで見つけたダンジョンを全部攻略していくのか?」


「とりあえずは?」


 仲間もいないしね。


 引き攣った笑みを浮かべるロイたち。あれ、なんかドン引きしてない?


「それを本当にできるならイカれてるぜセイバー•••ただ、さすが俺たちの英雄だ」


 え?そ、そんな変なこと言ってる僕?


「んだよその顔。なんもわかってねえみてーだな。ダンジョン攻略っていうのはな、友達の家に行ってきまーすみたいな感覚じゃねえのよ。入念な情報収集と準備と覚悟がいるわけよ。んで、それしながらダンジョンボスと連戦連戦なんて、死ななくても死ぬぜ?」 


 もちろん入念な準備や下調べはしてから挑むつもりだ。でも、結局は挑むか挑まないかだ。


「そんなもんじゃないの?」


「はあ?お前なあ•••いや、セイバーお前、『石畳の都市』の最終層まで1人できてたな。しかも、その後悪魔とかいうやつと戦ってよ」


 ロイはパーティメンバーたちと顔を見合わせる。1人で最後まできたその事実、そのことについてみんなが頭の中で考えを巡らす。ある考えが思い浮かんだのか、ロイたちはゴクリ、と唾を飲み込む。


「お前、今どんな強さなんだ?」



 僕は宿に帰り、旅立つ準備をする。打ち上げは疲れたけど、その分楽しく、目が冴えてしまった。このまま用意して宿を出よう。

 ロイとも色々話せてよかった。相変わらず嫌味を言われるけど、でもその嫌味は前は落胆から言う本物の嫌悪だったけど、今はしっかりしてくれよと言うような励ましの嫌味に受け取れる。励ましの嫌味って自分で言ってても変な感じだけど、まあなんか悪くないって感じだ。


 中央都市に向かうのは楽しみだけど、神様が言ってたように、果たしてどうなっているかって言うのも気になる。


『街が悪魔に密かに支配されてるってことはないと思うけど、もしかしたら取り憑かれている人はいるかもしれないからね』


 支配されてたらどうしましょうね•••。


『それは倒すしかないでござるが、まずは今のところはないでしょうな』


 なぜです?

 

 僕は準備を続けながら神様に聞く。


『悪魔は基本的に快楽的で欲に忠実でござる。もしも冒険者、それこそ上位冒険者などの良い依代があったならそのまま都市から何まで蹂躙するように動くはずでござる。彼らは密かになど、性格、というより根本からそういうことはできないのでござる』


 なるほど。悪魔の本質がそもそも隠れるとかしないのか。

 まあでもそうですよね•••神様の対、ということは彼らは1個体で神様くらいの強さがあるってことですよね?じゃあ僕らなんて虫ケラにしか思ってなさそうだ。


『誰であろうとも自分が最恐と思ってるから、我慢という考えがまずないのよ。でもそこが、その油断が唯一の勝ち筋よ』


『敬意なき者は、小さな力で簡単に崩れる。大きな力を持つ者は、油断で単純に溺れる。しかし、彼らがもつ力は本物です。セイバー気をつけるでござるよ』


 はい。神様たちに鍛えられたこの力が無駄にならないよう、慎重にいきます。


 きゅっと、荷物を締める。


「では、行きますか」

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