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第1章 第14章 【一緒に】

 それから、僕はロイのパーティメンバーと、普段のダンジョン攻略がどのようなものか聞きたくてしばらく話をした。意外にも、ロイのパーティは色々なダンジョンを回って行ったらしい。拠点は村から近いこのウィンダービンの街だと思ったけど、どうやら久しぶりに寄っただけらしかった。なので今回出会ったのは本当にたまたまだったのだ。こんな感じで“からくり”の今までのダンジョン活動は、小さいダンジョンから大きなダンジョンまでなんでも幅広く潜っていた。小さなダンジョンならいくつか攻略したらしいけど、今回の『石畳の都市』が初めての大型ダンジョンの攻略だったとのこと。

 普段はロイが前線で戦い、他は中距離からのカバー、後方支援、というような戦いが基本らしい。確かに今回のダンジョンボスとの戦いでもそんな感じだった気がする。ロイはエースだけど、リーダーではないってポジションって感じか。

 ダンジョン攻略は早いもの勝ちだけど、今回みたいに他のパーティと何回か最終層でブッキングすることがあることもあって、そんときは啀み合いになったり、いつのまにか他のパーティと共闘したりと色々とダンジョン攻略の土産話を話してくれた。

 

「最初は俺たちはソロみたいなもんだったんだせ?」「そうそう、他のパーティにその日その日に混ざったりとかしてよー」「ダンジョン攻略のちょっとした傭兵みたいな?」


「へぇー。なんでまたパーティ組んだの?」


「そらロイのやつが引っ張っていくからだよ」「俺といこう!みたいな、さ」「どっかの誰かに憧れたんじゃないんですかね?」


 僕の方を見てにやにやするロイのメンバーたち。ちょ、そう言うのって女の子が僕の噂してたよ的な時にやるやつじゃないの?


「いやーなんでロイってあんな前線に行ってぐいぐいしてるんだと思ってたけど」「まあ助かるんだけどな」「その理由が今回ではっきりわかっちゃったよねー」


 いや、だからその空気感は女の子の話ですって!

 でもその割にリーダーじゃないのはなんでなんだろ?


「あれ?でもなんでロイはそんな感じなのにリーダーじゃないの?」


「ああ、それはロイが俺が引っ張って行ったら加減分からなくなってお前ら辞めるだろってことで、歯止めも兼ねて年齢が1番上のやつがリーダーになれってなったんだよ」


 ほー!なるほど。その意見は頭の永久保存ノートに直接メモ書きしておこう。


「おおおい!なんの話してんだよセイバ〜」


 おお、ロイご本人登場だ。勢いのまま肩を組まれる。ロイ自身酒臭く•••はない。本当にノンアルコールなの?完全に酔っ払ってる人なんだけど。

 ロイがとても上機嫌そうなので飲んでるものを一口いただく。うむ、ジュースだ。普通のジュースだ。なのに、


「どうだ?うめえだろ〜」


どうしてこうなるの?まあ、幸せそうだし、いっか!


「セイバーよお。お前の強さはなんだ?」


 ロイが視点が定まってない目で僕に問う。

 強さかあ•••。


「僕は、強くないよ」


「ああ?あんなもん見せられてよくそんな大ホラ吹けるな?」


「僕はただ、助けられてるだけだよ。みんなにね」


「んだそれ」


 そう、僕は強くない。強いのは、神様たちのおかげだ。でも、だからこそ、


「だからこそ、僕はその助けに応えないといけない。だから僕は、強くあるんだ」


 僕はしっかりとロイを見て言う。


「•••へっ。よくわかんねーこと言うなぁ。ただまあ、ただただ力を手に入れたってわけじゃなさそうだな」

 

 こころなしか、酔っ払っているロイも真剣に応えてくれている気がする。しかしこれロイ、記憶あるのか?


「そのためにも、僕はこれからどんどんダンジョンを回るよ。目指せゴッドランクだ」


 ロイは驚いたようにこっちをみる。やがてハッと笑いながら手に持った飲み物 (ジュース) をぐいっと飲む。


「ゴッドゴッドゴッドって、昔のお前みたいだな。昔と今違うのはお前はやっぱりスキル『ゼロ』。そんなスキル『ゼロ』のお前が目指すのはおもしれーな」


 ぐいぐいっと手に持った飲み物を一気飲みする。

 ロイは僕を見据える。

 それはもう酔っ払ってない、しっかりとした目だ。


「どっちが先に辿り着くか、競争だな」


 ロイはニカっと笑う。

 認めてくれた、ってことなのかな?

 僕も笑って応える。

 

 その後、ロイは笑いながら座っている長椅子に寝転がり豪快な寝息を立てて寝始めた。なんて滑らかな寝落ちだ•••僕じゃなきゃ見逃しちゃうねってやつだね。感動的なロイとの漢同士の会話は僕の中に綺麗に取っておこう。


 冒険者ギルドはもう夜もだいぶ深くなっているけど、まだまだ大盛り上がりだ。

 僕はそのまま冒険者の打ち上げの雰囲気に身を委ね、冒険者の空気感を堪能した。

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