睡魔と契約することになりました
魔法陣で送られた先には花畑や木々が多くあり、川が流れている綺麗な場所・・・などではなく、暗闇に針で刺してできるような小さな穴くらいの大きさの光が点々と、散りばめられた星のような輝きを放っている空間に俺は立っていた、いや浮遊感のようなものがあるから浮いてると言うのがただしいのだろう。
今俺の前には巨大な図体をして頭に2本の螺旋状の先が尖った角を生やしている男が石でできた巨大な椅子に掛けていた。
「女神が転生させようとした魂よ名をなんと言う?」
紫紺の瞳が俺を見据えて訊いてくる。
「椎名龍臣だ」
「そうか。タツオミよ、我と契約して強くならぬか?我が名は睡魔ディアゼル。我と契約すれば向こうの世界の魔獣に苦戦することや大切な人間ができたとしても守れるぞ」
それは確かに契約すれば困る事は無さそうだな。
「わかった契約をしよう」
ディアセルと俺の間に黒い魔法陣が浮かび上がり、二つに分かれて、一つは俺の左瞳に、もう一つは彼の右瞳に刻まれて消えた。
「これで契約は終わった。我と契約したことでお前は眠ることによりレベルアップする。1分寝るごと10レベルあがる。単純計算で24時間寝た場合、60×24×10=14,400レベルが上がることになる。つまり一気に存在進化することができる」
とりあえず強くなることはわかったが、存在進化とは?
「存在進化って何だ?」
「タツオミは女神から聞いていないのか!カッカッカこれは驚いたな、まさかこれから行く先の重要な事を知らないとは、教えてやろう。存在進化とは生物の進化を指す。例えば人間なら英雄や勇者といった役職あっちの世界ではジョブと言いう。種族とは別にステータスに表示されるものだ」
「種族とは違うのか?」
「ああ、違う。ジョブはその存在の圧力、存在力といったものになる。それがあるのとないのとでは敵との戦いで生じる勝率が大きく変わっていくからな。今のタツオミの存在力は1だ。これから行く場所ではお前の倍以上の魔物や人間その他種族がウヨウヨしている。そんな奴らに圧をぶつけられれば死ぬか、よくて廃人だな」
「マジかよ」
「ああ、だから存在力を上げろそれが生きていくための秘訣だ。それから契約したことでお前が眠るたびに俺の力が増すことになる。だからなるべく多くの睡眠を撮るのだぞ。そうすれば我は復活できる」
復活ってどこかに封印でもされてるのか。
「わかった。なるべく寝るようにする」
「ではな、タツオミ。シャルナで会おう」
そう言われると同時に光の中に飲み込まれた。