第2話(中編2) 意外と世界は狭いと実感する系ラブコメ
「なんで兄ちゃんがここにいるの⁉︎」
「なおねぇのカフェに俺がいることなんていつも通りじゃないか? 『胃袋を掴んだら心も一緒に掴んでた』に影響されてキスの回数を減らした四葉白羽君⭐︎」
「な、なんでそれを……」
俺は白羽に一連の流れを話した。
「……という感じで君の可愛い可愛い彼女さんが俺に相談してきたんだぁ」
「……ッ!!」
白羽は恥ずかしそうに頬を赤くしている。
弟を揶揄いながらニヤニヤしてると後ろから殺気のようなものを感じた。
「君が八戸の彼氏の白羽君? よろしく、私は八戸の姉の一条ニ戸です」
(訳:君が私の妹に手を出したクソ野郎? 今すぐ別れてもらって良い?)
「あ、八戸さんとお付き合いをさせて頂いてる四葉白羽と申します。お姉さんよろしくお願いします」
「ハハッ、お義姉さんは少し気が早いんじゃないかな? これからも八戸のことをよろしくね白羽君」
(訳:お義姉さんって呼ぶな殺すぞ。金輪際八戸に関わるんじゃあない)
す、すげぇ。姉条さんは物凄い満面の笑みでしゃべってるのに眼が笑ってねぇ……。
白羽もニ戸さんの眼が笑ってないのに気づいたのか少し冷や汗が垂れてる。
「これさっき駅前で買ったんですけどお近づきの印にどうぞ、家族で食べてください」
そう言い白羽は手首にぶら下げてる袋からシュークリームを出して差し出す。
いや、そのシュークリーム俺が買ってきてって頼んでた新作のシュークリームだよね?
「白羽、そのシュークリームって俺がたの……「兄さん?」」
これ以上喋ったら殺す。明確な意思を感じる。白羽がニコニコ笑いながらこっちを見てくる。
俺の周りの人間、笑いながら殺気出す奴多くない? 姉条さんしかり白羽しかり。
「そのシュークリームって駅のシュークリームの新作だよね、良いの?」
さっきまでの雰囲気が一転、姉条さんは眼を輝かせながらシュークリームを眺めている。
「勿論、どうぞ!」
「白羽君、君は立派なお義弟だよ。お姉ちゃんでもニ戸さんとでも何とでも呼びなさい!! 八戸、良い人を見つけたね」
(訳: 白羽君、君は立派なお義弟だよ。お姉ちゃんでもニ戸さんとでも何とでも呼びなさい!! 八戸、良い人を見つけたね)
姉条さんチョロすぎだろ。変な人に騙さそうで怖いわ、冗談抜きに。
「一条さん、誰かに連帯保証人になってって頼まれてもOKしちゃ駄目だからね」
「何言ってんの四葉君、そんなの断るに決まってるじゃん⭐︎」
ニッコニコになりながらシュークリームを頬張る一条を見ると不安でしかない。
ていうか、それ俺のシュークリーム……まぁいいや、帰りに自分で買いに行こ。
「四葉君も一口いる?」
「え、良いの?」
それって間接的な……ねぇ。
「今日八戸の相談に乗ってくれたお礼!」
「じゃあお言葉に甘えて頂きます」
ありがとう弟、マジで感謝、本当にありがとう。
俺は平静を装いながらシュークリームを一口だけ齧った。
■
「またねー、四葉君」
「また明日学校で」
俺たちは挨拶をして帰ろうとする。白羽と八戸さんは何をしてるかって?
「またね、白羽君!!」
「帰ったらすぐに連絡するよ!!」
二人は互いに見つめあい、体を寄せて夕日をバックに唇と唇を重ね合わせる。
何これ? 映画のエンディングとかじゃないんだけど。君たち明日も学校で会うでしょ、何で今生の別れみたいなテンションになってんの?
あの後、俺と一条姉は適当にだべり、白羽と八戸さんは終始イチャイチャするという時間を過ごしていた。
正確には二人だけの世界を構築していた白羽と八戸さん、そして……
「なんで妹の恋は実って私のは上手くいかないんだろうねー、アハハハ。なんで失恋した次の日に妹の恋愛相談してるんだろ? ねぇ何でだろ? 何でだろうねぇぇぇぇ」
生々しいカップルを前にしてヘラったニ戸さん、そしてニ戸さんを介抱する俺、という構図が出来上がっていた。
「ん……っ」
「「ストーップ!!」」
おいおいおいコイツら、人が回想中に何やってんだ!
「そのキスは街中でやっちゃダメな奴でしょ!!」
「おい白羽、家に帰ったら兄ちゃんと一回O・H・A・N・A・S・Iしよう」
四葉家ってイカれてるのか? 四葉家って人前で深いキスしなきゃ死ぬ呪いでも掛かってんの?
シュークリームって甘くておいしいですよねぇ。




