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傷心中の女の子を慰める系ラブコメ  作者: ラブコメ好きよ
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第1話(中編) 傷心中の女の子を慰める系ラブコメ

 「えーっと、同じクラスの一条さんだよね? 偶然だねー、ここで会うなんて」


 サラサラでいい匂いのする銀髪、クリッとした黒目の低身長可愛い系美少女、一条二戸に俺から声を掛ける。


 「……」


 沈黙が続く。まるで時が止まったかのように音がない。


 「あの、見てた?」


 一条さんが重い口をやっと開く。


 惜しい! 見てたっていうより聞いてたかな⭐︎

 明日学校に行ったらあだ名が「盗み聞きしてた変態」になること間違いなしだ。


 一条さんはクラスでは陽キャ寄りのグループの人と絡んでて、クラスでも3、4番目くらいに可愛い女子である。つまり……

 一条さんが流した噂はほぼ100パー広まる!! これは非常にまずい。


 「なんのことですかね? 僕これからバイトあるんで帰りますね。サヨウナラー」


 なにも知らないふりをして帰ろう。こんな気まずい空間早く抜け出してやる!!


 「君もそうやって逃げるんだ……男の人っていつもそうだよね!!」


 一条の言った言葉に周りにいたお客さんがこっちを見て、ザワつき始める。


 「人聞きの悪いことを言うんじゃあない!! 逃げないから!! しっかり話すから!!」


 そして俺は正直に今までの顛末を話した。


 一条さんの目は光が灯ってない。依然と死んだままだ。


 そして無言の時間。名付けるとしたら「ザ・ワールド・タイム」が10秒経過した。

 ロードローラーでも降ってきてこの状況を破壊してくれないかな。


 「お願い、この事は学校のみんなに言わないで」


 なるべく相手を刺激しないようにしないように返答しないと。地雷を踏み抜かないように気をつけよう。


 「別に言わないよ。そんな人様の失恋話なんて」


 「……ないで。……失恋なんて言わないで!!」


 四葉は地雷の扱いがとことん苦手だった。


 やべっ、失恋した人の前で失恋という単語を使ってしまった⁉︎

 やべぇぇぇぇ、一条さん泣きだしたぁぁぁ。


 「あそこの席の男の子、女の子泣かせてるんだけど……」


 「ないわー」


 めちゃくちゃ注目されてるぅぅぅ。


 なおねぇがカウンターからジローッと睨みながら指先を厨房に指してる。

 騒ぐなら厨房で騒げ、殺すぞ。という意志を感じる。普段ならご褒美な奈央お姉様の冷ややかな視線も今は何も感じない。


 「一条さん、ちゃんと話聞くから一旦あっち行こうか!!」

 

 ポロポロ泣いてる一条さんの手を引きながら厨房へと向かう。


 うわっ、女の子の手柔らけぇ、めっちゃ良い匂いするなぁ。現実逃避楽しい。


 「とりあえず一旦落ち着こう。ゆっくり息を吸って、吐いて」


 泣いてる女の子って可愛いなぁ、壁に刺さるー。とか思いながら俺は水を汲み、一条さんに差し出す。

  一条さんは差し出された水を一気に飲み干しコップを机に叩きつけた。


 「……のに」


 「え?」


 「勇気を出して誘ったのにッ!!」


 「あのー」


 「買い物に誘ったのも、遊園地に誘ったのも、今日告白するためにカフェに誘ったのも、全部全部勇気を出したのにッ!!」


 「もしもーし」


 「出雲くんに振り向いて貰えるようにおしゃれだってしたのに、それで彼女がいるからってそんなッ!!」


 「えーっと」


 「……はぁ……はぁ」


 一条さんは大声を出して疲れたのハァハァ言いながら息を切らしてる。


 「あのね、一条さん。一条さんにはまだできることがあると思うんだ」


 俺は赤子を諭すような声で言った。


 「告白されてからその女子のことを意識しちゃう、ってよく聞くじゃん。これからも自分をアピールし続けて彼女さんから出雲を奪っちゃおうよ」


 少し一条さんの顔が明るくなる。


 「え、でも彼女さんに悪い気が……」


 「でも恋愛って早い者勝ちじゃないじゃん。もし先に一条さんが出雲に告白してたら、一条さんが彼女だったかもしれないし」


 「私が彼女……?」


 あと一押しだ。イッケェェェェ!!


 「むしろ今の出雲の彼女は一条さんの居場所を奪ってるんだよ!! 取り返さなくちゃ!!」


 俺が一条さんを慰め(洗脳)ると、さっきまで光の灯ってなかった目は嘘みたいに輝き出した。


 「ありがとう四葉くん。おかげで真実に気づけたよ!! 私、出雲くんを取り戻してみせる。また学校でね!!」


 一条さんはそういうとスキップして厨房から出ていき去っていった。


 情緒不安定すぎて少し怖かった。

 アホの子でよかったー。大学とかで変な宗教に勧誘されないかな? チョロすぎて少しビビっちまうよ。


 「たまには良いこと言うねアンタ。見直したよ」


 さっきの会話をカウンターから盗み聞きしてた(おそらく声が漏れてた)なおねぇがニヤニヤしながら褒めてきた。


 「そりゃ昨日読んだ漫画のセリフを一語一句パクったからね」


 「は?」


 なおねぇはポカンと口を開けてる。そんな表情のなおねぇも可愛いっす。


 「いや、気まずかったから早く帰ってほしいなーって思って。昨日読んだ漫画の『負けヒロインを慰めるセリフ』をそのまま引用したんだ」


 俺はスマホのブックのアプリを開いてそのシーンを見せた。


 「うわぁ……。あんた最低だね」


 ドン引きである。


 「一条さんの恋が成功してほしいって思ったのも本当だけどね。俺は好きな人とか彼女がいないから」


 二次元の嫁ならいるんだけどね、三次元ってやっぱゴミだわ。


 でも、


 「泣くほど想える相手がいる一条さんの恋が羨ましくて応援したかったんだよ」


 「あんた……」


 まるで弟の成長を目にした姉のようにこっちを見てくる。


 「絶対今、思いつきで喋ってるでしょ」


 「チッ、ばれたか」


 なおねぇの向けてくる視線の正体は「呆れ」だった。 

 

 まぁ、一条さんの恋が成功するといいなとは思ってるのは本当だけどね。



ラブコメっていいですよね。人生における最高の糖分。

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