プロローグ
初投稿です。よろしくおねがいします。
僕の名前は、佐藤 研 20歳
名前はありふれている名字と名前を組み合わせた感じだけど、僕の体は全然ありふれていない。
どこがありふれていないかは、見れば直ぐにわかるだろう。
今の僕の体は何処もかしこもしわくちゃだ。
「20歳なのに、なんでこんなしわくちゃなんだ。」と、思っただろう。
僕は、早老症という先天性の疾患をもって生まれた。
早老症とは簡単に言うと、通常の人間よりも早く老化が進む病気だ。
そして、だいたい20歳前後で寿命を迎える。
今、僕は様々な医療機器を使ってなんとか生きながらえる。
でも、僕にはわかる。僕の体は、もう限界に来ている。もう、2時間程度で死ぬだろう。
(僕は…ちゃんと良い人生を送れたのかな……)
僕は、走馬灯を見るかのように自分の人生を振り返った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
幼稚園の頃までは他の子供大差なく育ってきた。僕を取り巻く環境が変わったのは小学校からだ。
早老症の症状が出始め、周りに暴言を吐かれるようになった。
-数年前-
あれはたしか、一年生の夏休み明けだった。
給食を食べ終わりみんなが遊び始める昼休み。
昼休み何をしようか悩んでいるとき、クラスの中心的存在の智士くんが校庭で友達とサッカーをしていた。
「あ、さとしくんサッカーやってるの!ぼくもまぜてよ!」
「やだよ」
「え……なんで…」
いつもだったら「うん!いいよ!」と言って誘ってくれるのにくれるのに……
「なんでおまえみたいなジジイといっしょにサッカーしなきゃいけないんだよ」
「そんな…」
たしかにここ最近、早老症の症状が出始め自分の顔が老けけていたことには気付いていた。
だが、こんなにひどいことを言われるとは思ってなかった。
「でも、ぼくはまだしょうがくせいで……」
「うるせえジジイ!からだがジジイなんだからおまえはジジイなんだよ!」
僕は、ここまでひどい言葉を言われると思っておらず泣き出してしまった。
「ちょっと智士くん!研くんになんてこと言ってるの!」
このときは、校庭の見守りをしていた先生が直ぐに駆けつけてくれて大事にはならなかったが、これを皮切りに僕はみんなから暴言を吐かれるようになった。
僕が、教室に入ると「おいジジイ、なんで学校に来てるんだよ。ジジイなんだから学校来んなよ!」とか「うわー、ジジイなのにランドセル背負ってる、キモ〜〜」などの暴言を毎日のように言われてきた。
暴言を言われる毎日が辛くて、僕はよくお母さんに泣きついていた。
でも、そんなときにお母さんはこんなことを言ってくれたんだ。
「研、みんなに悪口言われて悲しい?」
「うん…、かなしいよ……」
「だったら研、みんなを見返してあげなさい」
「……みかえす?」
「そう。みんなを見返すの。みんなから謝ってくるくらいすごい人になるの」
「でもぼく、なにもできないよ……」
「大丈夫、きちんと勉強を頑張ればみんなよりもすごくなれるわ。それとも研は、このまま悪口を言われ続けられたままでいいの?」
「……いやだ。このままわるぐちをいわれつづけるなんて…ヤダ!」
「じゃあ、勉強頑張りましょ」
「うん!」
このときの、お母さんとの会話が僕の人生を大きく変えることになった。
お母さんに言われた通り、僕は勉強を頑張った。
全ては、みんなを見返すためだ。
学校のみんなから言われる暴言に耐え、睡眠時間を削って勉強に励んだ。
こうしていると、いつの間にか自分は学年で一番頭が いいと言われるようになり、テストでは毎回100点を取れるようになりみんなから羨ましそうな目で見られるようになり暴言を言われることもなくなった。
そして、四年生の学力テストの数週間前。
「研!おまえを傷つけるようなことを言って悪かった!虫のいい話かもしれないが俺に勉強を教えてくれ!」
「智士くん……。うん、いいよ。一緒に勉強しよ」
「研…!本当にありがとう!」
学力テストの勉強で詰まっていた智士くんが、僕に勉強を教えてもらいに来た。
僕は、智士くんがしっかりと謝ってくると思っておらずビックリしたが、誤ってくれたしいがみ合う必要も無いないので僕は智士くんに勉強を教えてあげることにした。
智士くんは正直嫌いだったのだが、一緒に勉強している内にその思いは消えた。
智士くんは自分の言いたいことを直ぐ、正直に言ってしまうところがあったけれど、根はみんなのことを思いやれる優しい人だった。
こうしていつの間にか、僕と智士くんは仲直りすることができていた。
みんなを見返せたことと、みんなから謝ってもらう、という目標を達成できたとき勉強を休もうと思ったこともあったが、僕は勉強をやめなかった。
小学四年生のころの自分は、自分の病気のことを理解できており、悔いのない人生を送るために色々なことを学びたいと思ったからだ。
そこで、僕は「知りたいことがあったら、とことん調べる」をスローガンにして勉強に励むことにした。
このスローガンを掲げたときが僕の人生の第二の転機と言えるだろう。
このスローガン通り、僕は色々なことをとことん調べた。
アニメのことでも、数学のことでも、機械のことでも、僕はとことん調べた。
すると、一般的にオタクと言われるところまで知識を深めるでき、そのような人種の人とも話し合うことができた。
オタク達との話し合いは、正直楽しかった。
知識を深めあった者達で話し合うと、とてもコアなところまで共有でき、深めた知識から話される考察や推測などはとても興味深かった。
こうして知識の沼に浸かっているとき、僕はある一つのものに目を奪われた。
それは、機械だ。
僕は機械の複雑な構成に目を奪われ、機械の沼にはまって行った。
こうしていれば、「自分でも色々な物を作ってみたい」と思うのは当然だろう。
しかし、僕には物を作り出す才能はなかった。
どう頑張っても普通の製品の劣化したものしか作れず僕は少し落ち込んだが、直ぐに気持ちを切り替え違うことに挑戦しようと思った。
作るのがだめならば「既存の製品を改造し新しい物を生み出す」ことを目標とした。
すると、僕の改造の技術はメキメキ上達していった。
「すごい…!僕にはこの才能があったんだ!」
この才能を自覚したあと、僕は色々な物を改造していった。
一般家電はもちろんのこと、専用の機械なども改造していった。
こうしているといつの間にか僕は天才と呼ばれるようになるまでに成長していった。
このあとの人生はずっと機械を改造し続けていた。
歴史に名を刻むような機械は作り出せなかったが、僕はずっと機械に夢中になった人生に満足している。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
(こう思い返して見ると十分いい人生を送れたのかもな…)
僕は自分の人生を振り返ってそう思った。
(でも、もう少しでもいいから行きたかったな…)
もう少し、あと少しだけでもいいから生きたかった。
(ああ…もう時間か……)
僕は、時間が来たことを自覚した。
どんどん視界が暗くなっていく。
(みんな…ありがとう……)
僕は家族や友達のことを思いながら思った。
こうして僕、佐藤 研は死んだ。




