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「暮らし」など

食べる

作者: 維酉

すこし遅い夕食を

緩く 静かに咀嚼する

何もない温かな部屋で

テレビの音と

きゅうりを

かりり

と噛む音


焦点の合わない日々に

からだが溶けそうな感じがする

殖えるこわさをごまかすように

今日もごはんを食べている


世界を夜が支配していて

人工的な照明を点したのです

ふしぎと

わたしは

涙が出そうになったのです

泣きはしなかったけど

泣きはしなかったけどね


すこし遅めの夕食を摂るのだ

まるで生活は土の中にいるようだから

まだ大丈夫といいきかせて

もうだめだねっていつかいうの


ここにいる

淘汰されていない感情

いつのまにか忘れた夢を悼む

懐かしい人の死をふと聞いたりもする

わたしは たまに

どこか旅に出たいと思う

でも どこにもいかなくていいの

ずっとここにいていい


夜に紛れて

きゅうりが

また

かりり

と鳴った

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― 新着の感想 ―
[良い点]  「殖えるこわさ」が最初は「飢えるこわさ」の誤字かと思い込んでましたが、「生活は土の中にいるようだから」に繋がるのかと気づいてニンマリしました。私の妄想かもしれませんけれども。  泣きは…
2020/02/16 09:05 退会済み
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