友達
「はあ~ごめん。泣いちゃってごめんね、ひまりちゃん」
まだ少し鼻がグズついているものの、ひとしきり泣いて落ち着きを取り戻した私は、心配そうな顔をして、手を繋いでいてくれている、ひまりちゃんに告げる。
「ありがとう、手を繋いでいてくれて。もう大丈夫だよ」
「そ、そうですか。私としてはこのままでもいいんですけど......」
なぜかちょっと残念そうな顔をして、名残惜しそうに繋いだ手を離すひまりちゃん。だけども、すぐにパッと表情明るく花が咲いたような笑みで、
「もうアレですね!いきなりレアなりんごお姉さんを見れて私は幸せです!イベント一個済んじゃいました!可愛いかったですよ、お姉さん」
「な、なにを言ってるのか分からないけど、ひまりちゃん?」
「お姉さんとお近づきになれたのは、今日が初めてですが、お姉さんは私の中でイットーに天使です!」
「い、いや一目見て、天使だと思ったのは私の方なんだけどな......」
「え?!」
一瞬で固まり、一気に顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。天使がゆでだこになってる。ううーと言いたげにこっちを見ている。でも、プイっと横を向いて、
「み、見ないで下さい。こんな恥ずかしい顔」
「あはは、可愛いけどね。これでおあいこかな、ひまりちゃん」
「お姉さんが、元気になって良かったです!」
そう言いながらもまだ照れているのか、顔が若干赤いひまりちゃん。そー言ってもらえる人がいるのは、やっぱり嬉しいかな。これでお別れの顔見知りというのは寂しい気がした。だから、
「ひまりちゃん。と、年上で、こんな風に言うのはおかしいかも知れないけど......」
「私と友達になってくれませんか?」
再度、固まるひまりちゃん。
だけど、すぐに満開の笑みを作って
「天使どおしがお友達になるのは、当たり前じゃないですか?りんごさん」
また、泣きそうになるのをグッと堪えて笑顔を返す。
「よろしくね、ひまりちゃん」
「友達からかあ......うん、現実的に考えて、そっからだよね」
ポツリと何かこぼしたひまりちゃん。ん?よく聞こえなかった。
「ひまりちゃん?」
「なんでもありません、お姉さん!今日のとこはこれでお開きにしましょう!」
「うん、また明日ね。楽しみに待ってる」
「くっ!その儚げな笑顔最高です!お姉さん!」
最後のへんは、よく分からない事を言って、大きく手を振ってお別れするひまりちゃんだった。
私も手を小さく振って返して、息をスーと吸い込んで、パチン!と両手で自分の頬を叩く。
「まだまだ捨てたもんじゃないな!まだ頑張れそう!」
赤くなった頬を下げて家路につく私だった──
、
続く