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第七話

物語冒頭は、作者の心情です(*´∀`*)

「この後無茶苦茶引きずり回された。むしゃくしゃしてやった。後悔はない」

「ん?何言ってるの?」

「いや、物語冒頭にこれがきたら面白いかなと思って」

「よく意味がわからない」

「うん。だろうね。僕もいまいちよくわかってない」


 と問答している間にギルドハウスにたどり着いた。


「おばさん、ただいま~」

「あら、坊や今日はもう仕事はおしまいだよ。明日は多分少し多めに魔物を狩ってもらうと思うからゆっくり休みな・・・おや?そちらはどなただい?まさか、クリス、あんた、その子を誘拐してきたのかい!何馬鹿なことをしてるんだい!早くその子を親元へ返してやりなさい!あたいはそんな犯罪者を育てたつもりはないよ!」


 と一方的にまくしたてられた。そして、それを聞いて不機嫌になったお方が約一名。


「私、子供じゃない。ちゃんと成人。今年で数日前に15になった」

「!!!!!」

「…………」


 絶対零度の眼差しでこちらを見てくるミスティア


「「ご、ごめんなさい」」

「……………………許す」


 ……あれ?なんで僕まで怒られてるんだろ?


「で、なんの用だい?」

「クリスの【創造神の儀式】が無事終わった。だからこれ持って教国に行かないといけない。もしかすると戻ってこれないかもしれない。これ、次期教皇候補だから」

「……は?……は?……は?……いやいやいや……は?」


 おばさんはそれはもう必死に現実逃避に励んでいた。


「というわけでおばさん無事儀式は成功したんだけど、得た能力が他人にちょっと言えなくて・・・で、何か知らないけど教国へ行くことになったから、暫くここに顔を出せないかも」

「そ、それは良いけど、あんたそれ、本当なの?」

「う、うん」

「そうかい。じゃあこれは餞別だ。受けとんな」


 そう言っておばさんが手にしたものを覗き込むとそこには多少の金貨と宝石が入っていた。


「え!こ、こんなの受け取れないですよ!」

「こんなのとは何だい!あんたの父さんと母さんが頑張って作ったお金をこんなの呼ばわりかい!」


 ・・・言葉を失った。


「わかったら懐に収めて大事に使いな!良いね!」





「ありがと……父さん母さん、キティおばさん」





「次はどこ?」

「僕の家かな?荷物を取ってきたい」

「ん」

「ところで、僕の能力ってどんなのなのかな?」

「それを調べるためにも教国へ行く」

「そっか、そうだよね」

「強くなりたいって思う気持ちも、焦る気持ちもわかる。だけど、今はまだ焦っちゃ駄目」

「……わかった」


 家についたら必要最低限の荷物と形見を持って出かける。


「もう出発していいの?」

「うん。ここには父さんと母さんの思い出があるけど、それはちゃんと心のなかにしまってあるから」

「ん、次は?」

「後はないかな?」

「じゃあ、気乗りしないけど、ゼーディアに会いに行こう」

「ゼーディア?」

「クリス、この国の王の名前ぐらい知っててもいいと思う」

「あっ、国王陛下のお名前でしたか」

「少しは勉強した方がいい」

「……はい善処します」

「ん。荷物を渡して」

「どうしたの?」

「収納する」

「え!?収納の魔法を使えるの!?」

「魔法じゃない。神の御業」

「どういうこと?」

「とりあえず、荷物を渡して」


 俺は素直に荷物を渡した。


「【収納】」


 俺の荷物は収納されたようだ。


「魔法じゃないならこれは一体?」

「スキル。面倒だから後で話す」

「わ、わかった」


 こうしていろいろなことが謎のまま、この街の一番奥にある王宮へと赴く。


「止まれ!」

「ここは、一般人は立入禁止だ!」


 すると、ミスティアが荷物の中から羊皮紙を取り出して門番に見せる。


「私はディーエ教国所属、ミスティア。国王に取り次いで頂きたい。理由は7年間成功しなかった儀式を成功させたから。通してもらえるかしら?」


 すると兵士たちは互いに見つめ合い笑い始めた。


「おいおい、なんとかってガキが儀式に失敗し続けていることは聞いているが、成功したなんて話は聞いていないぞ?」


 とバカにし始めたところで、奥から重武装の兵士がやってきた。兵士たちは一瞬ぎょっとし、敬礼をする。


「すまない。君がクリス君で、君は・・・名前はわからないが、儀式を成功させた方でよろしいかな?」

「はい。そうです」

「では、一緒に来たまえ。王が謁見を許可した」

「私達二人?」

「ああ、そう仰せつかっている」

「ん、了解」


 僕はなにがなんだかわからないまま、城の中へと連れて行かれた。


「申し訳ないが、これより先謁見の間である。武器を隠し持っていないかなど入念に調べさせていただくがよろしいか?」

「私は構わない」

「僕も大丈夫です」


 そう言うと、近くから女性の兵士がやってきてミスティアの体を調べた。そして、もうひとりやってきた男の兵士が僕の体を調べる。


「何も持っていないようだな。それでは基本的なことを教える」


 そう言うと、王様と合うための作法を教えてもらう。


「7年間儀式が成功しなかった青年と、それを解決した少女を連れてまいりました。これより王が入場する。皆、頭を垂れよ!」


 そして、俺らは顔を伏せる。しばらくすると、この国の王様がやってきて王座に座った。


「大儀であった。楽にせよ」


 そう言われ、そこに集まっていた人々が顔をあげる。


「おお、長い間見ぬうちに成長したのぉ。確か名前は・・・」

「クリスという名前です」

「おお、そうであった。クリスとやら、許せ」

「は、ははーっ」


 俺はそう言うしかなかった。


「で、貴殿が教国から派遣された預言者か?」

「はい。ミスティアと申します」

「うむ、これはなかなか」

「はい?」

「いや、なんでもない。それより、大儀であった。ステータスが表示されたならその証拠を見せよ」

「申し訳ございません。教皇様より成功してもステータスプレートは見せるなとの命令を受けております。どうしてもというのであれば、正式な手続きをとっていただきたいと思っております」

「何?余に見せられぬというのか?」

「はい、そのとおりでございます」


 小心者の僕は心臓が張り裂けそうだ……王様にそんなこと言えるミスティアの身が危ういと感じるのは木のせいだろうか。


「余を誰だと思っている!そもそも、教国がクリスとやらのスキルを発現させるのを拒んだのではないか?それなのに今更ステータスプレートを見せられない?儀式は成功した?余に信じよと申すか!」

「信じられないかもしれませんが、教皇様が我らが神ディーエ様から神託を受け、内容を明かすなとのことでした」


 そこまで言うと王様は顔を真赤にさせ、重装備の案内してくれた兵士に向かって言った。


「もう良い!此奴等をひっ捕らえろ!クリスとやらは多少の怪我はさせてもよいが、そちらの女は気に入った、傷をつけずに余のもとへ連れてまいれ!」


 そう言うと、一瞬で殺気立った。だが、ミスティアがすぐさま行動を起こした。


「【聖域】」


 俺とミスティアは聖域の中に閉じこもった。


「やっぱり、何かあると思った」

「こうなることを予想してたの?」

「可能性は低くないと思ってた」


 と呑気に会話をしているが、外にいる兵士や王様は顔を真赤に箚せながら何かを喋っている。もちろん【聖域】の能力で声も聞こえない。兵士たちは剣でこちらを攻撃してくるが、一向に壊れる気配はない。


「これからどうするの?」

「私と一緒に教国へ向かってもらう」

「【聖域】を解いたらやられるんじゃ……」

「大丈夫。この中から【転移】で教国へ向かう」

「え!転移魔法もあるの!」


 俺がそう言うと、ため息をついてこちらを冷ややかな目で見た。


「スキル。何度も言わせないで」

「あ、は、はい。ご、ごめんなさい」

「とりあえず、王様に向かって手を振ってあげて」

「えっ……なんでそんなことを?」

「煽るため?」

「いやいや、そんなことをしなくてもいいじゃないか!」

「なんか腹立つから」

「いやいやいや、そんな理由で」

「まぁ、いいや。とりあえず……【転移】」


 こうして俺らは王城から姿を消した。そして、教国へと向かった。


 転移したと思った瞬間、いきなり目の前に門が出現した。するとミスティアは躊躇なく門の中へと入っていった。それに続いて僕も門をくぐる。するといきなり絶景が目の前に現れた。


(あっ、この風景……)


 そして、ミスティアがこちらを振り向いて微笑みながら言う。


「ようこそ、ディーエ教国、首都ユルグへ」


 そう、これこそが毎朝見る謎の夢の正体なのだと感じた。

お読みいただきありがとうございます。

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