第三話
よく考えたら本日4本目です。
投稿開始が今日の日付になってた(^_^;)
「あ、あの……一体何が……」
「ん、スキル」
「へ?」
「……だから、スキル」
「……は、はぁ。スキルですか」
「うん」
「で、さっきの質問の答えになってないんだけど、この調子だと大丈夫そうね」
「あっ、はい。大丈夫です……と言うか刺された部分が何もなかったかのようになってるんですけど……あなたが?」
「【ヒール】を使った」
「え!?【ヒール】!?」
最下級の聖属性の魔法だ。そんなので僕の傷が治るとは到底思えない。
「……ところで、教会ってこのあたりにない?」
「あっ、はい。ありますよ。自分のギルドマスターに報告を入れてからになるかと思いますが、それでもよければ案内しましょうか?」
「ん~、時間があまりないから自分で探す。無謀な真似はもうしないほうがいい。それじゃ」
そう言うとその子は歩いて行った・・・教会と反対側へ。
「ちょ、ちょっと君、待って」
「……何?まだ何か用?」
「そっち、教会と反対方向」
「……」
「……」
「そ、ありがと。じゃ」
そう言うとその子は歩いて行った……今度はちゃんと教会の方へ。
「へ、変な子だな~……あっ、やばい。おばさんに報告しに行かなきゃ」
クリスは結構急いでギルドハウスへ向かいおばさんに事情を説明しようとした。
「おばさん!ごめんなさい、遅くなりました!」
「おや、やっと来たかい。今日は随分遅くまでかかったね。何かあったのか……い……あ、あ、あんた、一体どうしたんだい!」
「へ?」
おばさんが何を言っているのかわからなかった。
「怪我は大丈夫なのかい?傷口を見せてご覧!誰か、回復を使える魔術師を呼びな!大至急だよ!」
「え?あ!ち、違います!怪我しましたけど、もう治りましたから!」
そう言って僕は服をめくり上げた。
「あ、あぁ~もう、びっくりさせないでおくれよね。心臓が止まるかと思ったじゃないの・・・ああ、何があったかわからないけど、無事でよかったよ」
「ありがとうございます。心配してくださって」
「当たり前じゃないか!心配するさね!」
「あっ、それで本題ですが・・・」
「その前に。クリスに怪我はなかったから、誰か回復魔術師を呼びに行った人が居たら連れ戻してきておくれ!」
「その、なんか、すみません」
そして、周りの人達が動き出し、通常の状態に戻ったのを確認しておばさんが切り出した。
「で、本題ってなんだい?」
「えっと、今から教会に行かないといけないので、戻ってきたら怪我についての詳細をお伝えします」
「教会に?今日の儀式は終わったんだろ?」
「それが、終わってないので今から行かないと行けないんです。なんでも新しい預言者様がこの街に来るらしくて、その人の儀式を今回は受ける事になったのですが、時間になっても来ない為、暫く待っててほしいとのことで。それと今日はお仕事ができるかどうかわからないので、その旨を伝えてくださいと預言者様が」
「ほぅ、とうとうあの耄碌爺さんは引退かい?」
「い、いえ、違いますよ。新しい方が来ると言っても預言者様はやめないそうです。そもそも新しい方は僕の儀式を行うために来るそうなので」
「なるほど、その新しい預言者様が来ないとお話にならないわけね。分かったわ。サボりじゃないならかまわないわ。ちゃんと裏は取るけどね」
「あはは、良いですよ。と言うか、言うほど僕サボってないと思うのですが」
「丸一日寝てみたり、それを引き摺って次の日の昼間でぐーすか寝てた子が何を言ってるんだい!」
「そ、その節は、本当にごめんなさい」
「とにかく了解したよ。こっちのことは良いからそっちに行きな」
「ありがとうございます!それじゃあ行ってきます!」
「気をつけていきなよ!」
そして、もうすでに来ているかもしれない預言者様がいるであろう教会へ全速力で戻った。
「預言者様!ただいま戻りました~!」
「おぉ、おかえり。残念だけどまだいらしていないよ。そんなに息を切らして。まぁ、ゆっくりしなさいな」
「はぁ、はぁ、ありがとうございます。お言葉に甘えて」
そう言って冷たい水を一気に煽った。
「ぷっは~、生き返ります」
「まぁ、まだまだ暑い時期じゃしの~」
「お水ありがとうございます」
「どれ、儂もいただこうかね。うむ。うまいのぉ~」
「事情は説明してきました……はぁ、はぁ」
すると預言者様は僕を、と言うより血痕がついている服を見ていた。
「……うむ、ところで、先程から気になっておったのだが、その血痕はなんじゃ?クリス君怪我をしているのかね?」
「あっ、いえ。怪我したんですが治していただきました」
「……何があったか聞いてもいいかの?」
「あっ、はい。実は、先程泥棒にナイフを刺されまして」
「は?……ああ、いや、すまぬ。もう治ったのじゃったな。運良く回復魔術師が近くにおったのか?」
「いえ、それがわからないんです。あの子はスキルで治したと言いましたが、特にそんな予兆もなかったですし……」
「あの子?……ふむ……それで、その泥棒はどうしたのじゃ?」
多少訝しみながらも、続きを催促する。
「ああ、はい。僕を刺した後、更に逃走を続けたのですが、すぐに女の子が立ちはだかりまして」
「な、なんと!そ、それでどうしたのじゃ?」
「そのこの事を可愛いな~と思いながら見てたら、なんか徐々に痛みがなくなっていきまして、怪我が元通りになったわけです」
預言者様は、それはそれは呆れた顔をしながら言いました。
「お主、刺されておったのによくそんな邪な考えをよぎらせることが出来たのぉ」
「いや、最初はその子を助けなきゃとか思ってたんですけど、気づいたら色々と考える余裕が出来てまして……まぁ、ぶっちゃけ痛みがなくなったってことなんですけどね」
「まぁ、よいわ。それで、どうなったのじゃ?」
「それがよくわからないんですけど、その子が【天罰】って言ったら目の前が真っ白になって、気がついたら泥棒は全身が焼けただれていて、なのにその男が着ていた服とかは焼けてなくって。なんかわからない現象が起きました」
「天罰・・・うむ。本当に神が天罰を下したのかもしれぬのぉ……」
「そんなことがあるんですか?」
「まぁ、ないじゃろうな」
コケた。
「どっちなんですか」
「まぁまぁ、落ち着きなさい。それで、怪我が治ったのは一体何があったのじゃ?」
一瞬なんて言おうか迷った。
「えっと……それが、よくわからないんです……女の子は自分が【ヒール】で治したって言ってました。」
そこまで言うと預言者様の顔つきが神妙になってきた。
「【ヒール】で治したと……凄腕どころの話ではないのぉ~……天罰……【ヒール】……スキル?……」
「な、何かご存知なんですか?」
意を決して聞いてみる。
「さっぱりわからん」
コケた。
「まぁまぁ、落ち着きなさい。あれこれ言うても仕方がないしのぉ、とりあえず、水を飲みながら新しい預言者が来るのをまとうではないか」
「そうですね」
そして、談笑していて、先程の女の子が教会の場所を訪ねたことを思い出した。
「預言者様、そういえば美少女がこちらを訪ねてきませんでした?」
「は?クリス君、君は何を言っておるのかね?」
変人だと思われた。
「いやですね。さっきの女の子教会はどっちみたいなことを言ってたので、ここに立ち寄ったのではと思いまして」
と、聞いてみるも。
「いや、クリス君が出ていって、戻ってくるまで教会を訪れたものは誰もおらぬ」
「じゃあ、ちょっとその辺見てきていいですか?その子、教会に用があったみたいなので、探してきてもいいでしょうか?」
「そうじゃの。儂も先程の話を聞いていて話してみたいとは思うし、ここへ用事があるのなら探してきてもらおうかのぉ」
「わかりました。そうですね、見つからなくても、お昼の鐘がなる前には戻ってきたいと思います」
「そうじゃのぉ、あまり長い間はあれじゃからの。新しく来る預言者とすれ違ってもあれじゃし、そのくらいが適当かもしれんの」
「じゃあ、ちょっと行ってきます」
「うむ。気をつけてな」
そう言って教会を出ようとしたら扉が勝手に動き派手にぶつかってしまう。
「痛っ!あたたた~」
するとドアから声が聞こえた。
「【ヒール】」
すると、痛みが徐々に消えてゆく。
「大丈夫?」
「え?あ、はい、大丈夫です……あれ?」
聞き覚えのある声。扉を開けて姿を確認する。そこには。
「美少女だ」
お読みいただきありがとうございます。
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