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第一話

本日2話目。

眠いので、次のお話は明日投稿たいと思います。

「うわ~~~~~~~~!!!!!」

「うるさいわ!ボケ!!!!!」

 ものすごい勢いで何かがぶつかった。

「痛った~~~~~……あれ?死んでない?」

「はぁ?あんた何いってんの?それとも何かい?あたいのゲンコツは人をも殺せるってかい?あぁん?試してみようか?」


 あたりを見回すとどうやら自分の家ではないらしい。


「あれ?僕、家で寝てたはずじゃ?」

「そうだよ。仕事をサボって寝てたんでね。無理やり連れてきたわけだけど、どういうわけか何をしても起きなかったから放置してたのさ。そんで、あんた仕事する気はあるのかい?あるならさっさと雑魚狩りに行ってきな」

「は、はぁ……って、ここ、おばさんのギルドハウス?」

「何当たり前のことを聞いてるんだい?今日の獲物はゴブリンと大ネズミを5匹ずつだかんね。まぁ、今日中のノルマだけどこんな時間じゃ無理だろうがね。まぁ、出来る限り頑張んな。なに心配しなくても取れた数によっては今日のお金は出してやるから」

「ち、ちょっと待って下さい。今日も一応教会で儀式が……」

「どのみちこの時間じゃ無理だろうに。それにあんたには未だに【職業】も、それに付随する【スキル】も発現しないんだから行ったって無駄さね」

「そ、そんなの行ってみないとわからないじゃないか!未だかつて【創造神の儀式】で【職業】も【スキル】も出なかったことはないんだから!」

「確かに、あんた以外はそうさね。まぁ、出なかったものはしょうがないじゃないか。諦めてさっさと雑魚狩りに勤しみな!全く。大体、誰があんたみたいなのを好き好んで雇ってると思ってるんだい?確かに、戦闘系の職業やスキルを持っていないやつに比べればあんたは強いかもしれないけど、ただただそれだけだからね」

「ぼ、僕だって、職業やスキルがあれば……」

「だけど、出てないじゃないか。それよりこんな問答してても良いのかい?目標に一匹足りないごとに1割お給金減らすからね。早く行った行った」

「い、一割!ちょ、ま」

「いいや、待たないし決定事項。油売ってたら今日のお給金は一体いくらになるんだろうね~」

「ひぃ~~~~! い、行ってきます!」

「はいはい、気をつけて行ってらっしゃいね」



 ヤーガイル王国、首都エンリヒ。街全体が高い壁で覆われ、北にはビルヒェ山。北東から街の南にかけて大きな川があり、天然の要塞と化している為、長い歴史を誇る様々な国の中でも、一度も落とされたことのない街。多分世界で一番安全な街だ。通常人が出入りするための門は西に2箇所、山に棲息する魔物を狩る冒険者や狩人の人用に北西に1箇所ある。僕はいつもこの北西の門から出入りをしている。


「あ~、本当にまずいな、太陽が真上にある……いつもなら、日の出とともに狩りに行って、夕方戻ってくる時に10匹ぐらいは捕まえられるが……今日は5匹が良いところかな……と言うか、5匹だけだと本当に5割しかお給金がもらえないのだろうか……はぁ」


 と、ぐちは言いつつも、獲物を探す。探すと行っても、僕は非力だ。数匹群れているだけで近づけない。一匹になったところを狙って、すたこらさっさ。じゃないといくら命があっても足りない。というわけで、群れを見張り、一体になるのを待って獲物を仕留める。コツは、一つの群れに対して1匹だけ狩るのがポイント。2匹以上だと確実に連携で殺される。


「おっ、今日は運が良いな。7匹目だ……とは言え、これ以上はもう無理か……」


 こうしてエンリヒへと戻る。

 馴染みの門番さんに挨拶をして、中へと入る。因みに、本来なら通行料がかかるのだが、冒険者や狩人など、野生の魔物を倒すことを生業としている人たちは免除される。理由は簡単。いちいち通行料を取ってしまうとこの街の近場に魔物がたくさん増えるからだ。危険な仕事をして、税金も納めているのに、更に通行料なんて取ってしまった日にはその街には居たくなくなるだろう。




「おい、坊主。昼間に言ったことを覚えてるかい?言ったとおり、一匹足りないごとに1割減らすからね。これは寝てサボってた罰さね」

「え?ちょっと待ってください、それ本気で言ってたんですか?」

「何を当たり前のことを。あたしゃやるって言ったらやる女さね」


 意識がとびかける。


「その辺にしといてやってくれよマム」

「そうだそうだ、ちょっと寝過ごしたくらいでそれは」

「いいじゃねぇか、小僧は貧乏なんだし」


「み、みんな~」

 嬉しくて涙が出てくる。


「わかった。じゃあ、あんたらが負担するわけだね。今日何匹だい?おや、結構取れたじゃないか。ちょうど3割減ってことはそこの三人の今日の取れ高から1割ずつ引こうかね」


「いや、小僧には然るべき罰を与えねばな」

「そうだな。寝過ごすのはいかんぞ少年!」

「まぁ、小僧も貧乏だが俺も貧乏だしな」


「み、みんな~」

 悲しくて涙が出てくる。


「まぁ、あの時間からこれだけ狩れたってのは運がいいさね。元値が少ないからそのままの金額出してやるよ。ゴブリンが5匹と大ネズミが2匹だから、ゴブリン一匹12ヤーガね大ネズミは一匹8ヤーガだから合わせて76ヤーガね」


 お金を貰ってから考える。もし、ここで3割引かれてたら……あ、余り考えるのはよそう。


「ああ、それと坊主、今日儀式って言ってたけど一日間違えてないかい?」

「え?そうですか?」

「今週は明日だったはずだけど?」

「あれ?1日間違えた?ん?ちょっと待って、あれ?昨日帰ってきて寝て……明日は休みだからと思って……。起きたら今日はここに居て……もしかして、僕丸一日以上寝てた?」


 皆さん空いた口が塞がらないようで。


「はぁ、呆れた。一昨日から今日の昼過ぎまで寝てるってどんだけ寝れば気が済むのさね」


 何故か皆さん痛い子を見るような目で僕を見ていく。まるで触らぬ神に祟りなしとでも言うかのように、みんなが避けてゆく。


「あ、あれ?」


「ちょっと、坊主、こっち来な。説教してやろうじゃないか」


「あれ?え?ちょ、ま」


 こうして僕は酒場から人が居なくなる時間まで説教されたのであった。もちろん正座で。

お読みいただきありがとうございます。

誤字、脱字等ありましたらお知らせいただけると幸いです。

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