なんだかこの恋愛はおかしい 3
5月8日 昼休み くもり
「やぁ。桃色さん。いきなりよんで悪かった。」
私。桃色萌は黒谷先輩に呼び出されていた。そろそろ手紙で呼び出すのやめてほしいんですけどねぇ。
「大丈夫ですよ。で、なんですか?」
「実はねぇ。言いずらいんだけど俺は結構変わってる趣味をしてて...。恥ずかしながらも。いろいろな団体について調べるっていうのが趣味なんだ。」
もともと変わっているとわかっていたのでそこまで驚きはない。
「で、とある危険な団体の人間がこの学校に潜んでいるんだ。」
うーん。普通は驚くところなのだろうが、私自身が不思議な生活を送っているし。今更言われても
「別にそういう人がいても驚きませんよ。お金持ちばっかりの学校ですし。」
「それがねぇ。少数人で構成されている団体なんだ。悩み相談部にある政治家の汚職事件についての調査の依頼が来ていたんだよ。それが。まるで俺たちを誘導しているみたいな。そう考えると生徒の誰かが誘導のためにしたと考えられるのね。しかも、その団体は少数人数の暗殺部隊なんだ。そのメンバーは一人一人が一流の殺し屋ばかりだ。つまりそれが一人でも学校にいるってことは...」
確かに鳥肌がたってきた。
「けど、なんでそれを私に言うんですか?」
そうだ。もしかして私の正体を知ってるのかも知れない。この前の発言も気になるし。
「ああ。実は川村が君のことが心配だったみたいで。それで頼まれて君にこのことを伝えといたのさ。」
もしかするとこの人は良い人かもしれない。
「青い舌と山...には気を付けてね。」
なんだろうか?舌?山?先輩は行ってしまった。
「萌ちゃん。どうだった?」
「大丈夫だったよ。それより、葵。黒谷先輩に私のこと相談してくれたの?」
「うん。メールで送ったんだ。」
「葵は私の親友だよぉ!」
葵はびっくりしていた。
5月8日 放課後 雨
なんと。なんと。なんと。私桃色萌にも春が来ました。なんと昼休みに黒谷先輩に呼ばれただけではなく放課後に好きな山中君からも呼び出されました。
「あ、来てくれたんだ。」
「用事って何?山中君?」
ゆっくりと彼はあるいてきた。えっと近い近い。その瞬間。キスをされそうになった。
「はぁー。馬鹿だなぁ。すると思った?まぁ無理ないか。おいでよ。」
彼はそう言ってもといた場所に戻っていった。
あれ?なんだろう。足が勝手に動く。まるで吸い込まれるようだ。
彼の目の前についたとき。薄いピンク色のきりが現れ、同時に巨大なヘリコプターが現れた。
「すごい悪趣味な感じでしょ。特にこのマーク。」
はっ。青い色の舌。まさか。逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ。体が勝手に動かない。
「あ、その顔。いいね。やっぱあいつから聞いてたんだ。警告受けてたんでしょ?けどそれでも来たんでしょ?」
私の好きな山中君じゃない。いや、私は彼の何を知っていたのだろうか。自分が普通の人間だということにするために彼を好きになったのかもしれない。みんなが好きだという彼を。それは愛なんだろうか。そうだ。愛してたのは彼じゃない。彼のことが好きで恋愛してる普通の女子高生である「ワタシ」だ。いつから人形に成り下がっていたのだろうか。やり直さなければならない。
「お前はお前は!お前のことを好きになった覚えはない。」
私は走る。
「へぇ。その様子を見ると本当みたいだ。けどね。遅いんだよ。気が付くのが。」
彼にいとも簡単に拘束をされてしまった。けど。ここでおとなしく負けてられる私じゃない。私は私だ。誰になんと言われても私はニンゲンだ!ワタシの中にいる私にワタシは呼びかける。
「行って。あなたの番よ。」
「わかったよ。君に迷惑をかけるわけにはいかないよ。」
「私を守って。お願い。」
涙がたれた。もう彼には頼らないって決めたのに。結局頼るしかないのかもしれない。
「なんだか雰囲気が変わったみたいだね。上からの報告から聞いたよ。」
山中は言う。お前を許さない。お前を。お前を。
「萌を泣かせたな。お前。萌を巻き込むな。」
「おい。お前が全部悪いんだろうが。彼女を不幸にしたのもすべてお前だろ。それを俺のせいにしようだなんて。酷いよな」
お前はどこまで知ってるんだ。
「くらえぇ!お前ごときが俺を語るな。」
「嫌ですねぇ。それはこっちのセリフですよ。あなたごときで私に歯向かわないでください。」
彼はそう言った。その後、俺の耳にある言葉をささやいた。
「人間っていいな。」
私はやっぱり弱い。また彼に頼ってしまった。もう誰にも頼らないと決めたのに。今でも人間になりたいと思っている。彼だって人間でいたいと思ってるに決まってるのにどこか私は彼がいなければよかったと思ってしまう。だから今も。このまま連れてかれて実験対象にされたら人間になれるんじゃないかと思ってしまう。冷静に考えるとそんなわけないのに。手を拘束されて私は連れていかれる。そしてヘリコプターは飛ぶ。その時私は叫んだ。
「葵ー!助けて!葵!葵!葵!」
「無駄だよ。ここは屋上だよ。」
誰にも頼らないと言いつつ親友に助けを求めている。やっぱり私は弱い。
その時、屋上につながる階段の扉があいた。
「萌!来てくれたのね!」
けど。そこにいたのは違った。
「桃色!跳べ!まだ間に合う!やつの能力の効き目は切れれているだろ!」
「あなたは信用できないわ。」
そう言い残すとヘリは飛んで行った。
「あのバカ!」