第1話・転校生
僕はその日告白された3人から
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その日もいつもと変わらないいつも通りの朝だった。
「お兄ちゃーん、いいかげんおーきーてー」
いもうとのモカだ、今年高一になったばかりの僕の一歳下の可愛いい妹
「ダイスケお兄ちゃん!かわいいかわいいモカはおはようのチューを要求します!」
また始まった。モカは昔からお兄ちゃんっ子だったが高校に入学してから悪化した気がする
「おはようモカ、今日も元気だね」
「むーお兄ちゃんったらまたはぐらかしてー、まぁいいや朝ごはんもう出来てるよっ!早く降りてきてね〜」
そう言い残し部屋から出ていくモカ。振り返りざまにヒラリと舞うスカートの裾、実妹といえど見える見えないの狭間は興奮する
「っと、馬鹿なこと考えていないでとっとと着替えるか」
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朝食を求めリビングに行くと姉のランが制服にエプロンを着け僕を迎えてくれた
「おはようダイスケ、モカは待ちきれずに先に学校に行ったわよ」
テーブルを見て見ると置いてあるのは一人分だけ
「ごめんラン姉ちゃん、俺を待ってたら学校に着くのギリギリになっちゃうだろ?」
僕一人のためにラン姉ちゃんを遅刻ギリギリにさせるわけにはいかない。そう思ったが、
「いいのよ、私ダイスケの役に立てる事が嬉しいし、・・・・・・それに久しぶりにダイちゃんと二人きりで登校できるし・・・・・・」
徐々に声が小さくなっていくラン姉ちゃん
「えっ?何か言った?」
「なっ、なにも?」
もちろんラン姉ちゃんの声は全て聞こえていた。こうしてラン姉ちゃんをからかうのは楽しい
「もうっ、早く食べて学校に行くわよっ」
僕が笑っているのに気づいたラン姉ちゃんは顔を真っ赤にさせたままそう言いほっぺたを小さく膨らませる。今日もラン姉ちゃんは可愛いなぁ
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その後朝食を手早く済ませ、洗い物をするラン姉ちゃんを手伝い一緒に家を出る
「あれ、そういえばラン姉ちゃん、今日って朝から何か用事あったんじゃなかった?」
「大変…、ごめんねダイスケ!お姉ちゃん先に行くから!」
そう言い残しラン姉ちゃんは学校に向かい走っていく
「あぁーあ、言わなきゃよかった」
ラン姉ちゃんとの二人っきりの登校タイムが突然終わってしまい襲い来る焦燥感
「あぁぁあああ!!どいてぇぇぇ!!」
傷心により色褪せていた僕の世界をショッキングピンクに塗りつぶす様な甲高い悲鳴
「あだっ」
振り返りざまにくる背中への痛み
何事かと思い振り返るとそこには食パンが落ちていた
否、食パンの先には水色と白が規則的に並ぶ縞模様の布があった
「あいたたた…」
しばらくの間見たことのない制服のスカートから覗く縞模様の布を凝視していると先程僕に激突してきた少女が起き上がる
「す、すみません!お怪我は・・・」
僕は急いで縞模様の布から目を離すが時既に遅し、少女がジト目で睨んでくる
「ぶつかった事とパンツを見た事これで手打ちにしないか…?」
突如少女の顔が真っ赤になり額に青筋が浮かんだ、気がした
「女子高生のパンツはそんなに安くないわよっ!!」
少女はすぐさま立ち上がり近くに落ちていた鞄を拾い上げブンブンと振り回してくる。
ここの場合僕にも非がある気がするがそんなことは関係ない、見るからに重そうなあの鞄が当たれば先程の背中へのダメージの比ではない。
弁明しようにもあの様子では聞く耳を持たないのは明らかだ、女の怒りは本当に怖い
「残された選択はただ一つ!」
即座に身を翻し校内までの全力疾走。
「流石に他校の校舎には入ってこれんだろう!」
中学と高一の終わりごろまで陸上部に所属していたこともあり少女は僕を追ってこれない。
「ふぅ」
校舎内の自分の下駄箱の前まで来て一息ついていると、
「どこに行ったんですかー!」
校門の方から聞こえる声。
少女のいる場所は既に校門ではなく校内に入っている。あの少女は他校の敷地を跨ぐ勇気を持っていた、もしくは怒りのあまり自分が今どこにいるのかを理解していないかのどちらかだ。
しかし後者の場合なんだか少女が気の毒に思えてくる…
だがしかし、今更殴られに戻ったところであの少女が校内に入った事実は変わらない
「ならば逃げるしかないだろう」
僕は気にせずに教室に向かった
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「おはー」
教室に入ると僕の右隣の席に座る女、美咲が眠そうに挨拶をしてきた
「おはよう美咲、また徹夜か?」
「ちゃんと寝たわよ」
「へぇ何時間?」
「30分」
「それは寝てないっていうんだよ」
僕が苦笑しながら言うと美咲は限界と言った感じで机に突っ伏したまま「うぅ〜」と唸った。
美咲は小説の執筆活動をしていて本を出しているらしい。だが何故か小説を書いている事は皆知っていても誰も彼女の小説を読んだことは無い、どんな小説を書いているのかが去年の我が校ベスト七不思議の一つに選ばれたのだからほんとに誰も知らないのだろう。
と、考えてもしょうがない我が校の七不思議について一人で考えていると後ろからお尻を一撫でされた
「おっすダイスケ!」
「…おはようショウマ」
朝から俺の精神力を全力で削ぎ落としに来ているこいつはショウマ。
一応俺の親友だ。一応とつけたのは別に一方通行の友情とかではない。
学力学年トップクラス、運動神経抜群、顔もかなりのイケメン、それでいて女子にも男子にも優しいそんなにやつ、だがこいつは俺の事をオスの目で見てくるのだ。
やんわりと包むのはやめよう、こいつにはホモであるという噂がたっているのだ。
そしてこいつがホモなのかそうでないのかも去年のベスト七不思議に認定されている。
余談だが、去年のベスト七不思議を決める際様々な陰謀が混じり合い俺が直接ショウマに、
『お前って、ホモなの?』
と聞くように言われたがそんな怖いことはしたくない。というより俺はそんな事で親友を失いたくない、なので丁重に断っておいた。
「それよりダイスケ聞いたか?」
「何を?」
「さっき他校の制服を着た美少女がうちの校門で大暴れしてたら警備員さんに連れてかれたって話」
身体中から汗が吹き出す錯覚に襲われた。
知っているも何も僕は当事者の一人だ。
しかし、あの少女があの後警備員につれていかれた事は知らなかった。半分、いやほとんど僕のせいとはいえ警備員に連れていかれる少女の顔を想像して笑いがこみ上げてくる
「なんだそりゃ」
「そんでそのかわい子ちゃんが今日二年のどこかのクラスに転校してくるって話だ」
再び身体中から汗が吹き出す錯覚に襲われた
「どうしたお前?!すごい汗だぞ!」
錯覚などではなかったようだ
「い、いや大丈夫だ問題ない」
「ダイスケそれフラグじゃん」
眠っていた美咲がショウマの声で起きたようだ
「まだ、まだ問題になっていないから問題ない」
「ふーん」
「何言ってもフラグにしかならない気がするな」
美咲は何かを察したように答え、ショウマはまた恐ろしい事を言ってくる
キーンコーンカーンゴーンカーンコーンゴーンカーン
毎日8時25分にな鳴る鐘が今日も鳴った
「いつ聞いてもなれねぇなこの音」
「私は結構好きだけどね」
我が校の鐘は今日もいつも通りの音で鳴る。
「俺達が入学してから鐘の点検って六回だっけ?」
「確かそう」
「流石去年のベスト七不思議だな」
俺達の入学とともに狂い出した鐘の音。
去年一年で六回の点検の末治らなかった鐘の音。一時の間犯人探しまでしたやつが校内にはいたようないなかったような
「みなさーんおはようございマース」
「っと、たえちゃん来ちゃった」
そう言ってショウマが僕の後ろの席に座る
「今日わー皆さんにサプライズゲストを紹介したいと思いまーす」
我らが担任たえちゃん、年齢不詳の良くいえば明るく、悪くいえば頭のネジを何本か無くした先生だ。
そして僕は早くこの場からにげだしがかった。
先程の雑談からこの後の展開を予測し再び身体中から汗が吹き出す錯覚に襲われていた。
たえちゃんは「パンパカパーン」とこれまたゆるい擬音とともに「入ってーどーぞー」と言っていた、と思う
「おいダイスケ噂の美少女はこのクラスに来たみたいだぜ」
あぁ、フラグなんて立てるもんじゃないな…
「へぇ確かに美少女ね」
美咲の言う通り美少女なんだろう。
「始めまして、かすみです。」
そういうと今朝俺にぶつかってきた少女…かすみは眩しい笑顔を見せた。
この作品は怠惰な彼女による作品です
名前の通り不定期更新となる予定ですのであしからずヾ(ω` )/