転生させてくれるなら、何を望みますか?
眼を開けると、そこは、何もない、ただの空間だった。
記憶が曖昧で、何が起きているのかまったく理解が出来ない。
(ここは…?見覚えはない、ね。誰もいないし。なんで、こんなところにいるんだろ?思い出せないねー。んー…………………考えてもしかたないよね。)
くー
寝た。
ーーなんで、そこで寝ちゃうの?!起きて!!!
「へ?!あ、人発見!すみません。ここどこでしょう?」
ーーいや!もっと、驚いたり、パニックになったり、こぅなんか察して状況分析的な一人言言ってみたりするものじゃないの?!おかしいでしょ?!突然、何もない空間にいたのよ?
突然現れた美女が、何か叫んでいる。ふわふわ浮いちゃってるし、一般人ではないだろう。璃里は、暢気にそんなことを考えていた。
ーー待ってたのに!!登場できるタイミング待ってたのに!!!
ーーくすん…寝ちゃうなんて‼…ふぇ…う~~…
(なんだろ。なんか、泣き出しちゃった。これってわたしが悪いの?)
「えと、なんか、ごめんなさい。もう一回やり直す?」
ーーふん!もういいもん!
ーーせっかく説明しにきてあげたのに!教えてあげないんだから!
そう言って、わたしの方をチラチラ見てくるお姉さん。これは、たぶん聞いてほしいのよね。このまま、スルーしちゃだめかな?でも、そうしたら、また泣き出しそうだし…。はあ、しかたないかぁ、面倒だな。この人。
「ごめんなさい。謝るので、どうしてわたしがここにいるのか教えていただけませんか?」
ーーふふっ♪
ーーコホン!目が覚めて突然、この様なところにいれば、取り乱すのも当然よね。あなたの身に何が起こったかと言いますと…
(よかった、機嫌なおったみたい。明らかに人じゃないっぽいよね?このお姉さん。しかも、何もないこの空間…。てことは、あれかな?わたし、死んだ?で、これは、転生とかそんな流れなのかしら?…ん?)
お姉さんがまた、膝を抱えて泣いていた。
あ~、やっちゃった。
「すみません。話が長かったもので、半分聞いていませんでした。」
グサッ!
「簡単に言うと、わたしは、あなたの失敗が原因で死亡することになり、」
グサッ!!
「死亡の取り消しは、できなかったから、代わりに転生させる。ということでよかったですか?」
ーーはい。その通りです。わたしがいけなかったんです。ごめんなさい。すみません。申し訳ありません。反省しています(泣)できる限り、要望には、答えるので異世界転生してください!!
土下座をする美女を見て璃里は戸惑っていた。そもそも、死んだ記憶もなく、転生しろといわれたら、当然の反応だろう。
ということではなく…
(この人の話によると女神らしいけど、土下座なんてさせてよかったのかな?罰あたったりしない?)
璃里という人間は、とてもマイペースだった。
はぁ
ビクッ
「わかりました。転生させてもらいましょう」
ーーー本当にごめんなさい。今回のことは全てわたしの責任なので、要望は可能な限り叶えさせてもらうわ。
「えー、とりあえず。わたしが転生する異世界ってどんなところですか?」
ーーーあなたが、行くことになる世界は、いわゆるファンタジーの世界よ。剣や魔法、亜人なんかもいるわ。文化レベルは、あなたたちの世界より劣るけど水洗トイレやお風呂なんかはあるから安心して!あなたたち日本のひとは、お風呂好きでしょ?以前、召喚された勇者がその辺の整備をしていってくれたから、今ではみんなお風呂好きよ!しかも、そのおかげで、疫病の減少にも繋がったみたいだし、仕事も減って、もう勇者サマサマって感じよね♪
(勇者召喚とかもされちゃうところなのか…ファンタジーの世界とかって言ってたし、魔王とかがいたりするのか?)
「すみません。少し聞きたいんですが、転生させられたら何か使命があるとかないですよね?」
ーーーあなたには、わたしのみすミスのせいで、転生してもらうから、それ以上にお願いすることはしないわ。
ーーーさあ、どんなことがお望み?
「痩せやすい体質にしてください。」
ーーーへ?
「痩せやすい体質にしてください。」
ーーーえ…でも、魔法とかもあるのよ?ほら、剣術のスキルとかでもいいし、複数属性の魔法を扱えるようにとか、ほかにも、もっとあ
「痩せやすい体質にしてください」
「くだらないと思われるかもしれないですね。でも、それは、あなたが綺麗たがら思えるんです。わたし、食べるのすきなんですよ。お肉もスイーツもいっぱい食べたいんです。でも、食べたらすぐ太るんです。し、か、も!1回太ったら、ほとんど痩せれないんです。よく、努力しろとか、無神経な奴がいうけど。なにもしてないわけないだろ。ゴラァ!食べる量も気にして、運動も、毎日時間とってして、いろいろな、ダイエット方を試してみてこれでも努力してないと?!やってんだよ!やってても、痩せない!このつらさがお前らにわかってんのかっての。辛くてもやっぱり女だし?綺麗ではいたいって思うから、必死でダイエットしてるってのに、男どもは、いっぱい食べる女の方がいいとか言うし!そのくせ、痩せてて胸がでかい女がいいとか!なんだっての?!あいつも、少しぽっちゃりなキミが好きとかいっときながら、細身の後輩にデレデレしちゃって!あぁ、性格?性格がいけなかったの?だいたい、」
ーーーあの~、あなたの望みはわかったから…
「あん?まだ愚痴りたりないの。」
「どこまで、話したっけ?あぁ、あいつのことだったよね。その後輩も超ぶりっこで、わたしぃ、食べても太らない体質なんですぅ。なーんて、わざわざこっち見ながら言うのよ?!あいつは、あいつでそれ聞いて、お前も食べた分だけ運動しないから、痩せないんだよ。とか言ってくるし。腹立つわぁ。してるっての!ふざけんなっ!!」
「というわけで、痩せやすい体質にしてください。」
ーーー…はう。…はい。望み通りになるようにしときますわ。他に要望はありますか?(泣)
「他に…、質問ですが、魔法はスキルをもらわないと使えないんですか?」
ーーーいえ。スキルを持ってれば、レベルが上がりやすいというだけで、あちらの世界では、住民はみんな魔力を持っているから練習次第で魔法は使えるようになりますわ。
「じゃあ、いいです。魔法も剣術とかも努力次第でなんとかなるなら、その方がおもしろいですし。別にチート人生とかいらないです。めんどくさそうだし。」
「とにかく、痩せやすい体質だけは、忘れないでくださいね!!」
ーーーこだわりますわね。わかりました。では、善き一生をおくれるよう、祈っています。
ということで、わたしは、痩せやすい体質を手に入れて、転生することにならました。ぃよっしゃ!!