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Noir et Rouge 〜闇夜に開かれし宴〜  作者: 吾桜紫苑
第1幕 始まりの宴
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目的地 〜Rouge〜

「美味しい! 本当にありがとうございます!!」

 20体以上のスレイヤを1分もかけずに全滅させた少女は、手渡した保存食を、目を輝かせて頬張っていた。


「いや、これくらいしかあげられなくて、申し訳ないくらいだけど……」

 何せ、命の恩人だ。本当はもっと豪華なものを奢りたいけれど、草原のど真ん中では他にどうしようも無い。



 あっという間に食べ尽くした少女は、満足げな顔で礼を言ってきた。

「ありがとうございました。もうお腹減って、どうしようかと思ってたから」


 ……この草原を突っ切るのに、食料1つ持っていない?

 常識外れな行動に眩暈を覚えながら、僕は口を開いた。


「これくらいの事しか出来なくて申し訳ないけど、少しでも役に立てたなら良かった。

 ……自己紹介が遅れたね。僕の名前はヴィルヘルム=オッシ=パーヴォラ。ヴィルって呼んでくれ。王立ルーフィア学園の5年生だ。先ほどは助けてくれて、本当にありがとう。君の名前を聞いていいかい?」


 少女はきょとんとした顔をした後、口を開いた。


「うーん、名前かあ……まあ、いいか。私の名前はダンスーズ・フージュ。ノワにはフウって呼ばれてます」


 風変わりな名前の少女は、しかし、口調も態度も、どこにでもいる女の子だった。外見と雰囲気からして、弟と同じくらいだろう。

 しかし、さっき見せた魔法や、剣技は……


「じゃあ、フージュと呼ばせてもらうよ。フージュ、君はここで何をしていたの? このあたりは夕方から魔物の数が多い。女の子が1人で歩いていいような場所じゃない」

「そうなんですかー。道理で多いと思った。

 えっと、探している人がいるんです。魔力を頼りに探そうとしたんだけど、どうもさっきから魔力の波動が弱くって。だいたいの方向は分かっているから、そっちに向かえば分かるかもですけど。

 それで、私も聞きたいんですけど、ヴィルさんの目的地って、どっちですか? 私、向こうに行くつもりなんですけど、もし方向が一緒なら、その馬車に同乗させてもらえないかなー、なんて」


 可愛い顔でそんな事を言うフージュを、まじまじと見つめた。



 彼女の指す方向は、僕と全く同じだった。さらに言えば、その指差す先には、たった1つの集落しか無い。つまり、僕達の目的地は同じ、という事だ。


 だけど、そこは。



「……フージュ。そこに何があるのか、分かってる?」

「ううん」

 あっさりと首を振るフージュに溜息を漏らす。そして、質問の答えを口にした。



「……そこは、吸血鬼たちの集落だ」


前回に引き続き、短いですね……

次回からは、もう少し長くなります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 吸血鬼たちの集落!? ということは合流が近いのか!? 続きを読まなければ……。
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