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Noir et Rouge 〜闇夜に開かれし宴〜  作者: 吾桜紫苑
第1幕 始まりの宴
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到着 〜Rouge〜

 ようやく、吸血鬼の集落にたどり着いた。


 集落は高い生け垣で囲まれ、外部からの侵入を拒んでいる。唯一ある入り口には、当然のように見張りがいた。


「どうします? まあ、この生け垣飛び越えるのが1番でしょうけど、今すぐはマズイでしょ?」

 そもそも飛び越えられるのかという疑問は置いておいて、フージュの質問に頷いた。

「まだ時間も早い。昼頃が良いだろうな」


 吸血鬼は、夜行性だ。早朝とも言えるこの時間は、まだ活動時間。昼の活動が鈍くなる時を狙った方が良いだろう。


「やっぱり、吸血鬼は太陽苦手ですもんねー。私は、今すぐノワに会いたいんですけど」


 そう言って眉を曇らせるフージュ。彼女がこれだけ慕うのは、一体どんな人なんだろうか。

 ほんの少し、胸がざわついた。


「まあ、後数時間だから。僕達も休まない?」

「……はい」


 やや不服そうな顔で、それでも僕の提案に従い、フージュが馬車から浮かせていた腰を下ろした。



 互いに保存食を朝食にしていると、不意にフージュが顔を上げた。


「……どうした?」

 魔物かと緊張して聞くと、フージュが答えてくれた。

「……急に、ノワの魔力が強くなったんです。今なら場所、分かるかも」


 そう言って、目を閉じ意識を集中させる様子を見せた。邪魔にならないよう、息を潜めてそれを見守る。

 5秒ほどして、フージュは目を開けた。ある1点を指差す。


「……あそこにいる」


 指差した先は、巨大な屋敷だった。


「あれ多分、中心的な場所ですよね?」

「ああ。長が住む場所だと思う」


 どうしてその人がそんな所にいるのかは、謎だけれど。


「……ノワ、何があったんだろう……そんなとこで、大人しくしているような柄じゃないのに。捕まってる、のかな……」


 不安げなフージュには悪いけれど、1つ思い付いたことがあった。

「ねえフージュ、悪いんだけど、妹がどこにいるかとか、探れない?」


 フージュは不安そうな顔のまま、首を横に振った。

「会った事のある人の魔力じゃないと、わかんない。餌、かな? 人の気配は少なくないから、見分けがつかないです」

「そうか……」


 少なからず、落胆した。助け出す効率が上がるかと思ったのだ。


「まあ、悪いけど、もう少し待ってくれ。今彼に会いに行かれると、妹を助けるのが難しくなる」

「……はい。大丈夫です、依頼ですから」


 フージュが頷いた。気持ちは納得できないけど、仕方がない……、そんな表情だった。



 僕達はそのまま、集落の様子を外から探りつつ、進入する方法やタイミングを話し合った。


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