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またもや、ご縁がありませんでした。

作者: 香月由良
掲載日:2026/07/29

佐和子はコンビニバイトをクビになってから、すぐ面接を受けに行った。

以前働いていた業種と同じく、医療事務だ。

前評判通り丁寧な面接を経て、パートタイムで働くことになった。


しかし、女性ばかりの職場だ。

陰口や、悪口も平気で言う挙句に勤務時間内にプライベートな話で盛り上がる事務員三人衆。

疎外感を感じながらも、自分の仕事は全うする。

しかし、新人ゆえのミスを数回犯してしまう。


「ちゃんと受付した順番で電子カルテまわしてよね。」

「はい!すみませんでした。」


「間違えるくらいなら、聞いて。」

「はい!わかりました。」


なにが「きいて」だ。

3人だけが盛り上がっていたりピリピリしていることしかないのだから、聞いても答えてはくれないのに。


意を決して院長先生の奥様に相談したところ、余計に溝はできていく。

奥様の計らいで、比較的落ち着く午後のみ週3勤務に変えてもらった。パートタイムならではの配慮であった。


そこで事件は起こる。

ある日奥様から電話がかかった。


「お疲れ様です。」

「旦那…院長と話したのだけれど、今欲しいのは即戦力。」

「フルタイムで働ける人を経営者目線で雇わ無ければならない。」

「悲しいけれど…そういう事だから。」


ガチャン。電話は切れた。

しかし、不思議と悲しみはない。

だってわたしにはわたしの魅力があって、活躍できる場なんて他にもある。

仕事だけが全てでは無い。


そう思っていたら鬱もすっと影に逃げていった。

またしてもノーアポイントで近所のお弁当屋さんに電話をかける。


「お忙しいところすみません、アルバイトやパートタイムは募集されていらっしゃいますか?」

「ええ、してますよ!」


元気のいい女性の方が対応してくれた。

続けざまにこう告げた。


「是非、働きたいです!」


渾身の元気をこめて。すると、


「はーい!わかりました、では明後日の12:30とかどうでしょうか?」


大丈夫な旨を告げ、終話ボタンを押す。


趣味の筋トレをしていると、医療事務時代のアラーム設定を消してなかったらしく、アラーム音が鳴いていた。

そっと消してこころで思う。


「もうこの時間で起きる必要はないんだよ。」

「また1から出直しだ!」


アラームを削除し履歴書を見返す。

またもや、ご縁がありませんでした。

でも同時に、ほかのご縁の扉をノックすることができました。


負けてられない。不条理を嘆いても仕方ない。

熱心さをふつふつと込み上げつつ、猫を撫でる。


猫はこういった。


「人間は焦りすぎだにゃ。もっと気楽に行くにゃ。」


「ちゅーる、よこせっ!」

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