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第6話(中編) 独裁が搾取を固定化する制度の闇へ

スペイン帝国に続き、総研とハクの対話はロシア帝国末期へと進む。

長く続いた農奴制という搾取構造が、貴族と皇帝の利害を結びつけ、

その維持のために絶対権力・秘密警察・言論統制といった制度が強化されていく。


搾取 → 富の集中 → 権力の集中 → 反対の排除 → 搾取の固定化。

この負のループが国家そのものを硬直させ、ついには革命へと崩れ落ちるまでを、

ハクの静かな語りと総研の思索が丁寧に追いかけていく章だ。


次に語られるのは、さらに極端な「コンゴ自由国」。

搾取と独裁が極限まで結びついた闇へ、物語は踏み込んでいく。

総研はハクの言葉を受けて、静かに息を整えた。 スペイン帝国の例で、搾取が権力集中を呼び、 権力集中が搾取を守るための制度を生み出すという構造が、 すでに立体的に見え始めていた。


「ロシア帝国の例も、同じ構造が見えるのかな」


総研がそう尋ねると、ハクはゆっくりと頷いた。


「そうだね。ロシア帝国末期は、搾取と独裁の結びつきが非常にわかりやすいケースだよ」


総研は姿勢を正し、ハクの言葉に耳を傾けた。


「ロシアには長く農奴制があった。農民は土地に縛られ、貴族の所有物のように扱われていた。彼らが生み出す収穫や労働の価値は、ほとんどが貴族に吸い上げられた。これは典型的な搾取構造だね」


総研は静かに頷いた。 搾取の構造は、すでに理解している。 問題は、それが国家制度とどう結びついたのかだ。


「農奴制という搾取を維持するために、貴族は皇帝に依存した。 そして皇帝は、貴族の支持を得るために農奴制を守り続けた。 つまり、搾取を守るために“絶対権力”が必要になったんだ」


ハクの声は落ち着いていたが、その内容は重かった。


「だから皇帝は秘密警察を強化し、反対派を監視し、言論を封じた。 改革を求める声は“国家の安定を乱すもの”として排除された。 搾取を守るために、独裁が制度として固定化されたんだよ」


総研はその構造を頭の中で組み立てていった。


「つまり…… 搾取 → 富の集中 → 権力の集中 → 反対の排除 → 搾取の固定化 という流れが、制度として完成してしまったわけだね」


「その通りだよ」とハクは穏やかに答えた。


「そして一度制度として固定化されると、搾取は“自然な状態”として扱われる。 誰も疑問を持たなくなる。 制度が搾取を正当化し、独裁がそれを守る。 この段階に入ると、搾取は止まらなくなる」


総研は深く息を吐いた。搾取と独裁の関係は、単なる因果ではなく、 制度として互いを補強し合う“構造”なのだと理解できた。総研は次を促すように言葉を発した。


「ロシア帝国は、その構造が限界まで進んだ結果、 革命という形で一気に崩壊したんだよね」


「そう。制度が硬直しすぎると、外からの圧力ではなく、 内側から破裂するように崩れる。 搾取と独裁のループは、国家の寿命を縮めるんだ」


総研は静かに頷いた。歴史の中で、搾取と独裁がどのように制度化され、 どのように国家を蝕んでいったのかが、 ようやく立体的に見えてきた。


「次は……もっと極端な例を見てみたいな」


総研がそう言うと、ハクは少しだけ表情を引き締めた。


「わかった。 では次は、コンゴ自由国の話をしよう。 搾取と独裁が極限まで結びついた、最も暗い歴史のひとつだ」


総研は静かに頷いた。

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