第3話「駅前の冬、交差する未来 ― その行為は“人生を壊す”」
行為がエスカレートし、暴行・傷害事件へ発展する描写が含まれます。
日本の刑法では、「軽い気持ち」や「遊びの延長」でも、他者の身体に触れたり、無理に連れ出そうとした時点で犯罪が成立します。
暴行・傷害は未成年でも重く扱われ、進学・就職・家族関係に深刻な影響を及ぼします。
本作は「絶対にやってはいけない」という警鐘として描かれています。
1.駅前の冬 ― もみあいの全容
冬休み前の金曜日。
夕方の駅前は、イルミネーションが灯り、学生たちの笑い声が響いていた。
玲奈は改札の外の壁にもたれ、悠斗を待っていた。
そこへ、二人組の男が近づく。
亮「ねぇ、暇なら一緒に遊ばない?」
玲奈「すみません、待ち合わせしてるので」
軽く断ったつもりだった。
しかし亮は一歩踏み込み、腕を伸ばす。
亮「いいじゃん、ちょっとだけ。ほら」
玲奈の手首をつかもうとする。
隼人も横から距離を詰め、腰に手を回そうとした。
玲奈「やめてください!」
声を上げても、二人は引かない。
亮は「大丈夫だから」と言いながら腕を引こうとし、玲奈は必死に振りほどく。
その時、悠斗が駆け寄った。
悠斗「玲奈! やめろよ、動画撮ってるから!」
スマホを構え、二人に距離を取るよう促す。
しかし亮は苛立ち、悠斗の胸ぐらをつかんだ。
亮「撮ってんじゃねぇよ」
次の瞬間、亮は乱暴に押し返した。
悠斗はバランスを崩し、地面に倒れ込む。
スマホは硬い床に落ち、画面が割れた。
倒れた拍子に腕を強く打ちつけ、悠斗は痛みに顔をゆがめる。
玲奈「悠斗! 大丈夫!?」
周囲の人々がざわつき始め、駅員が駆け寄ってきた。
2.警察・病院・そして父の決断
玲奈の父はすぐに駆けつけ、状況を確認すると、
迷いなく警察へ通報した。
玲奈の父「これは“遊び”では済まない。証拠もある。悠斗くん、病院へ行こう」
悠斗は病院で 前腕骨折(全治6〜8週間) と診断される。
その夜、悠斗の父は弁護士に連絡した。
電話越しの声は落ち着いていたが、明らかに怒りを含んでいた。
悠斗の父「息子が骨折させられました。駅のカメラと動画があります。
加害者は未成年ですが、厳正に対応したい」
弁護士「証拠が揃っているので、刑事・民事ともに進められます。
未成年でも、行為の悪質性が高ければ重く扱われます」
3.弁護士が語る「適用される罪」
弁護士は、悠斗と家族に丁寧に説明した。
弁護士「今回の件は、複数の犯罪が成立します。
まず、悠斗くんを押し倒した行為は 傷害罪(刑法204条) に該当します。
骨折は典型的な“傷害”です」
傷害罪:15年以下の懲役または50万円以下の罰金
暴行罪:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
強要未遂(連れ出そうとした行為):3年以下の懲役
器物損壊(スマホ破損):3年以下の懲役または30万円以下の罰金
弁護士「“軽い気持ち”では済みません。
未成年でも、家庭裁判所で保護処分が下され、
大学推薦の取り消しも十分あり得ます」
4.民事賠償 ― 弁護士が示した現実
弁護士「次に、民事上の賠償です。一般的な相場としては――」
治療費:5〜15万円
慰謝料(骨折):50〜120万円
スマホ修理・買い替え:5〜15万円
合計:60〜150万円程度
弁護士「加害者が未成年でも、保護者に監督責任があります。
特に今回のように“強引な連れ出し”が絡むと、
悪質性が高いと判断されます」
悠斗の父は静かにうなずいた。
悠斗の父「息子を守るためにも、きちんと責任を取ってもらいます」
5.亮の家族と妹の学校生活
亮の父は大企業の役員。
事件が会社に伝わり、社内での立場が揺らぎ始めた。
母は学校へ謝罪に回り、
妹の美桜は兄の事件で学校内の空気が一変した。
「あの子、亮の妹だよね」
「兄があんなことしたら…」
「関わらない方がいいよ」
美桜は教室で孤立し、
部活でも距離を置かれるようになった。
美桜(心の声)
「どうして…どうしてお兄ちゃん、あんなことしたの…」
兄への怒りと悲しみ、
そして周囲の視線に耐えられず、
彼女は学校を休みがちになっていく。
亮自身は家庭裁判所で 保護観察処分 を受け、
大学推薦は取り消し。
進学は白紙となった。
6.エピローグ ― 未来を分けた一瞬
冬の駅前で交差した四人の未来は、大きく分かれた。
人を尊重し、守ろうとした者は前へ進む。
他者を軽んじた者は、自らの行為の重さを知る。
亮の「軽い気持ち」は、
自分の未来だけでなく、
家族の人生まで揺るがす結果となった。
7.読者へのメッセージ(警鐘)
ナンパは「声をかけるだけなら自由」と思われがちですが、
一歩でも相手の身体に触れたり、
無理に連れ出そうとした瞬間に 犯罪 になります。
そしてその代償は、
進学・就職・家族関係・社会的信用
すべてを失うほど重いものです。
本作が、
「絶対にやってはいけない」という気づきにつながれば幸いです。




