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22話

 2人は祈願碑に近づくと参拝の様に柏手(かしわで)を打って軽く会釈した。正直なところこのやり方が合っているか分からないが、何人かを参考に見ていると全員やり方が違った為参考にならずこのやり方になった。

 

 「これで本当に合ってるんでるかね。」

 

 「サイトには『自分の思う願い方で』って書いてましたから問題ないと思うんですけど。」

 

 目を瞑っていると青白く輝き、上手くいったと分かった。おぉっと感嘆を上げ、なんのスキルが手に入るかと思っていると幸人の目に激痛がはしった。

 

 「うっ!なんだ急に。」

 

 まるで両目を力いっぱい握られた様な痛みに身を屈める。突然の出来事に瀬戸も寄り添い大丈夫かと案じていた。あまりの痛みに目を開けることもできなかったが次第に痛みも和らぎ、目を開けることが出来ると幸人の紅い瞳がより紅く輝いていた。

 

 「兄さん大丈夫ですか?まさか痛みの生じるスキルがあるなんて。」

 

 「もう大丈夫です。どうやら目に関するスキルみたいっすね。」

 

 体勢を崩した幸人を抱えた瀬戸が石碑の前から離れる。後ろに控えていた他のガード達にも大丈夫ですかと声をかけられながら空間の隅に移動し腰を下ろした。次第に落ち着いたようで、ふぅとため息をついてステータスカードを取り出してスキルの確認をする。ステータスに変化はないがスキル欄に『魔眼・空白』のスキルが追加されていた。

 

 「なんだろうこのスキル。なんとなくレアっぽい気はするんですけど。」

 

 「おっ、良いスキルじゃないっすか。『魔眼・空白』は視力系の強化と看破力、それに魔力運用に恩恵があるレアスキルですよ。」

 

 そうなんですかと返しつつ目を凝らして辺りを見渡した。心なしか少し明るく、ハッキリと空間を捉えられているのを感じていた。更にうっすらとだがガード達に大小さまざまなモヤの様なものが見えた。どうやらざっくりとした強さを見抜いている様で、優れたスキルなのだと理解した。

 

 「かなり良いスキルみたいですね。何より魔力運用に恩恵があるのはありがたいですし。」

 

 「しかもそのスキル成長型でスキルレベルが10になると傾向に合わせた魔眼に進化するそうですよ。」

 

 瀬戸の説明でそんなに良いスキルなのかとステータスカードを見なおす。スキルレベルなら夢想で上げられるため早々に強くなれるのではと笑みが漏れる。

 

 「ところで瀬戸さんはどんなスキルだったんですか。」

 

 「俺は『カウンター』てスキルで、受けた攻撃を相手に反射するってスキルっすわ。超相性いいスキルですよ。」

 

 どうやら瀬戸は固有式との相性の良いスキルを授かったようで、それは表情からもみてとれた。2人で壁に腰掛けてスキルを確認しながら休憩する。石碑にはガードが並び、スキルを授かるたびに青白い光が放たれていた。

 

 

 

 しばらく休憩した2人は階層をを上がり、地上を目指していた。その途中にスキルを試そうと考えたが随分ガードが周回した後なのか、モンスターの死体ばかりで戦闘にはならなかった。

 

 「せっかく新しいスキルを試せると思ったのに、残念っすね。」

 

 「明日またきて試しますか。今日は早いですけど、もう引き上げますか。魔石は結構集まってますし。」

 

 少し物足りないと言った様子で入り口を目指す。特にこれといったアクシデントもなく地上に戻り、ゲートを出た。山を下り駅から離れた所にある協会の店舗で換金してもらう。

 

 「合計12万4千円です。またのご利用お待ちしております。」

 

 昨日より数は少なかったが魔石の色が濃かったことで金額が上がっていた。2人とも満足のいく金額で自然と笑みが漏れる。

 

 「今日も儲かりましたね。明日はこれ以上に稼げるでしょうし、また頑張っていきましょう。」

 

 店舗を出て順調な滑り出しに喜ぶ2人は今日はもう帰ろうと駅に向かおうとする。その時だった。

 

 「ヴヴヴヴヴゥゥゥゥーーーーーー!」

 

 突然、甲高いサイレンが辺りに鳴り響いた。不安を掻き立てるその音に周りのガードも周りを見渡し混乱していた。無論、幸人と瀬戸も例外じゃなかった。

 

 「このサイレンってまさか!」

 

 「兄さん、今すぐ逃げましょう!このサイレンは『オーバーフロー』です!」

 

 瀬戸が叫んだオーバーフローという言葉に幸人以外の新人ガードも反応して一斉に駅に走り出す。迷宮のオーバーフローを抑えるのはガードの義務ではあるがレベルが一定以下のものはその例外とされている。理由は単純でまず戦力にならないからだ。しかしそんな中でも挑もうとする者もいた。

 

 「ここで一体でも倒せば一攫千金なんじゃね?」

 

 「レベルも上がるだろうし、ちまちま迷宮に入んなくても強くなれるぜ。」

 

 チャラい男達がそんな話をしながら山中に入っていく。というのも山中から牛の鳴き声を数倍大きくした様な雄叫びが響いていた。

 

 そんな彼らの正気を疑いながら、幸人達は脇目も触れずただひたすら駅の方へと逃げていた。

 

 「もう少しで駅に着きます!そこで高レベルのガードを待ちましょう!」

 

 ひたすら走っていると遠くに駅が見えてくる。ようやく着いたと安堵した時背後から何かが勢いよく飛んできた。遊歩道がえぐれ、赤い液体が辺りを染める。その飛んできたものの無惨な姿にさっきの男達だと気づくのに時間がかかった。


 眉をひそめながらいると雄叫びか聞こえ、振り返ると巨大な牛の化け物が現れた。3メートはありそうなその巨体に威圧的な雰囲気、手に持った大斧には鮮血が滴っていた。

 

 「亜人大牛型ミノタウロス!俺らの手に負える相手じゃないです…よ…。」

 

 瀬戸がそのモンスターについて教えてくれながら視線を上に向けて言葉につまる。ミノタウロスの存在以上に表情を歪めるその視線の先には宙に浮く黒い鎧の「何か」がいた。

 

 「魔力ヲ有スル存在ハ殲滅スル。」

 

 言葉を発する怪物、そう表すのが正しいであろうソイツは手に凄まじい魔力を集約させる。危険を察知した2人は逃げきれないことを悟ると全力で防御を堅める。


 その直後黒い光線が周囲の全てを飲み込んだ。

 

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