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21話


 数時間の狩りの後、2人は安全なエリアに移動して持参した昼食をとっていた。他のガードもひと段落したのか同じ空間で各々休憩しているが幸人達の近くには誰も近寄らなかった。

 

 「俺たちってそんなに取っ付きにくいんですかね。」

 

 チラチラをこちらを見てくる視線は感じるが誰も話しかけてはこない。他の人たちはチームが違っても話したり、情報交換を行なっているにも関わらず2人は避けられていた。

 

 「まぁ兄さんの戦い方に鬼気迫ってるものがあるからかもしれませんよ。さっき戦闘を見た子が引き気味に別の狩場に移ってるの見ましたし。」

 

 そんな話は初耳だといった様子をみせる幸人。戦闘中は集中しているため周囲ガードに気付いていなかった。経験値と魔石を稼ぐことに必死になり過ぎて周りに怖がられるなんてと思いながら携帯食をかじっていると瀬戸は言葉を続ける。

 

 「あとは兄さんが高等級のガードだと思われてるからかもしれませんよ。あれだけ連続して戦えるのは相当な魔力量がいりますから。」

 

 ハハっと苦笑いしながらその言葉を聞き流す。というのも幸人の魔力量はすでに限界に近かった。

 

 普通は1日もつように運用し緊急時に備えて余裕を持たせる魔力だが、幸人は最初から飛ばしていたためすでに枯渇寸前だった。当然それだけ景気良く使っていれば高等級のガードと思われても仕方ないだろう。実際は3級だとしても。

 

 「でもおかげで効率のいい魔力運用を学べましたよ。レベルも10になりましたし、あと1時間は戦えますよ。」

 

 ステータスの上昇を感じて拳を握る幸人。彼のいう効率のいい魔力運用、それはインパクトの瞬間に付与を施すことだった。幸人の付与は付与時間に比例して魔力を消費する。そのため敵を攻撃する瞬間のみに付与を使用し魔力の消費を抑えることを学んでいた。

 

「兄さんももう10レベルなら、あと1時間で祈願碑を目指すのも良いかもしれないっすね。」

 

 順調な成長に2層に行くことを提案する瀬戸。祈願碑の場所は2層に降りてすぐの場所にあるとのことで、今の2人ならなんとかなるのではと。スキルが手に入るならと幸人は承諾し、昼食を早々に済ませた。

 

 

 

 戦闘を繰り返しながら2層への階段に辿り着き、降っていく。自然回復で多少回復した魔力ももう底をつきそうになりながらも迷宮を進んでいた。

 

 「一体どんなスキルが手に入るか楽しみっすね兄さん。」

 

 「そうですね。魔力系が強化されたら良いんですけど。」

 

 階段を下りながらそんな話をしていると2層につく。すでに多くの先客がいたのかモンスターの死体があちこちに散らばり、中には戦闘中のチームも見えた。モンスターはゴブリンより大きく、その背丈は大人ほどあり筋肉も適度についている。

 

 「亜人中鬼型、ホブゴブリンですね。かなり強いみたいですよ。」

 

 瀬戸の説明に耳を傾けながら戦闘中のチームを見学する。手に持った棍棒がガードの攻撃をいなし、硬い地面を抉る。懐に潜り込んだガードが斬りかかるが傷は浅く、飛んできた炎の魔法にもさほどダメージが入らない程に高い硬度を有していた。

 

 ガード側に被害はないが決定打もない現状に、戦闘は長引きそうに思えた。

 

 「加勢した方が良いですかね。」

 

 「いや、どうやらあのガードの人はまだ奥の手があるみたいですよ。」

 

 2人が話しているとそのチームで1番強そうなガードが、盾と剣持ちだったが剣を手放し手を拡げる。するとそこに風が巻き上がり、短い槍が現れた。

 

 「みんな離れろ!『心象武装(しんしょうぶそう)』を使う!」

 

 その言葉を合図にチームメンバーは距離をとり、槍を持った男が槍をホブゴブリンに突き立てる。先程まで傷つけるのもやっとだったホブゴブリンの身体に突き刺さり、突風が吹き荒れたかと思うとそのまま身体を貫いた。あまりの威力に呆けていると、ガードの槍は風と共に消えてしまった。

 

 「あれが『心象武装』ですか。初めて見ました。」

 

 「ええ、俺らもいつかは使える様になるかも知れませんよ。『真名開華(しんめいかいか)』は出来ないでしょうけど。」

 

 『心象武装』はガードの能力の1つでその人の性格や感情、生きた過去から能力や形状が決まる。まさに千差万別の能力だが、発現出来る者は限られている。『真名開華』はその詳細が一切わからないが超強力な能力とのこと。

 

 チームがホブゴブリンの解体を始めたので見学を終え、祈願碑を目指す。しかしすでに魔力は限界に近かったため、なるべくモンスターには遭遇しない様に慎重に移動した。だがどうやらすでに多くのガードが進んだ様でホブゴブリンがそこら中に転がっていた。その為2人は警戒した割に接敵する事なく祈願碑のある空間に着いた。

 

 

 祈願碑のある空間に着くとすでに何人かのガードがスキルを得ようと石碑に並んでいた。3メートルはありそうな巨大な石の表面が鏡面の様に平らで、読めないが何かしらの文章がびっしりと書かれていた。そして人か前に立ち祈ると青白く輝き、それが治るとスキルを授かることができるようだった。

 

 2人も列に並び自分達の番を待っていると、前の組の順番になりスキルを授かって浮かれている様子がめにとまった。


 「やった『剣術』スキルだ!これは大当たりだろ!」

 

 「良いなぁ。俺なんか『魔力強化』スキルだぜ。悪くないけどもっとレアなスキルが欲しかったぜ。」

 

 「良いじゃん2人とも。あたしなんて魔法職なのに『格闘技』スキル引いちゃったわ。完全にハズレよ。」

 

 3人それぞれがスキルを授かった様だが、その当たりハズレに喜びと落胆の両方の声をあげていた。そんな彼らが祈願碑から離れ、とうとう2人の番がやってきた為に石碑の前へと足を進めた。

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