第四話 神々の行い
「神、神話を話そうか、宗教で作られたほら話とかじゃない、本当の神話ってやつだ」
「本当に起きたことなんですか?」
アラキは信じられないと思った。理由は単純、神話は突拍子の無いような物ばかりで到底信じられるような物じゃ無いと地球で知っているからだ。
だが、この世界ではそんな考え、通用しない。
「ガチだ、てか、アラキも分かってんだろ、こんな超常現象、神がいるって思うしかねぇだろ。てか、俺普通に神様と会ったし話した事あるからな? アラキも多分声聞いただろ」
「あ、そういえば。あの男か女かも分からない声聞いた」
「そうか、まぁ、間違いなくメア様の声だな。メアーチェ・フィスルース様だ」
「女神様?」
「そうだ、顕現する時は男にも女にもなれるが、神としては女神だそうだ、まあそこら辺は今からこの世界の始まりの神話、創世神話を話すか」
神の時代、まだこの世界、この星エカテヌが出来たばかりの頃、エカテヌは概念だけの何も無いものだった。
そこにニ人の神が現れた、その神の名はアルーフェズ・フィスルース、メアーチェ・フィスルースと言う名前だ。
その二神は兄妹神だった、兄のフェズ様は科学、言うなれば世界の根本となる原子などを作り、妹のメア様は自然、言うなれば世界の根本とはまた別の超自然的な力、魔法や生物を作られた。
その時に、人は作り出されたのだ。
それから人は学び、発展されせていくのをその二神は見たり、時にそこに降り立ち体験したりしてとても平和であった。
だが、そんな世界にも必ずどこかしらに穴がある、バグと言った方が伝わるだろう。そのバグは他の世界に通じてしまうバグだった。時空に穴が空き、別の世界に通じてしまう事だ。それを見つけた二神は考えた、どうするかを、だが、その穴から別世界の神が現れたそうだ。
その神曰く
「穴があったから入ってみた!」
だそうだ。
その神含め三人で話し合った結果、
「全ての世界の神に話して逆に通じさせてしまい、その穴を厳重に管理すればいいのでは」と、それから色々な世界の神がこの世界に来てはその世界の話しや愚痴を言いに来たりと神にとっての憩いの場となった。
だが、長くは続かなかった。
とある世界が崩壊した。
崩壊したことにより大量の魔物が時空の穴から流れ出てきた。
それは黒く、スライムのような見た目をした物から何かしらの動物を模ったような物までのまるでバグそのものと言えるような魔物がこの世界を破壊しようとし来たのだ。
幸いにも神々がいた為すぐに撃退出来たが塞ぐことも出来ず頻度は少ないが魔物が出てきてしまうこととなった。
その後、これ以上世界が崩壊し、魔物が出てこれないよう時空の穴、バグは消すことになった。
だが崩壊した世界の穴は完全に塞ぐことは出来ず、たまに出てくる魔物は見つけ次第兄神のフェズ様が対処する事にした。
それからは平和になった。
だが、二神は神々に合わなくなったことにより少し寂しい事もあったが、人々を眺めているうちに寂しくなくなっていった。
そんな日常も束の間、突如兄神のフェズ様がいなくなった、エカテヌに降り立ったのだと思い降り立ったメア様だが兄の気配を感じず、それでも必死に探していたが、突如エカテヌの二つあった大陸の一つの真ん中から何かわからない真っ黒なものがエカテヌを包み込み始めたのだ。包み込まれた場所は生物が死に、魔物が現れ、焦土となった。
メア様は急いでもう一つの大陸の真ん中に世界樹を植え、エカテヌの半分ほどでその真っ暗な霧のようなものを食い止めた。境目には透明な壁を作り人が通れないようにした。焦土となった大陸にいた人は皆死んでしまったそうだ。
大陸に出現した魔物によって死んだ者、食料が無くなり飢えて死んだ者など、もはやその大陸は人が住めるようなところでは無くなった。
メア様はそこを奪還する為、別世界の神々に助けを求めた。
その結果星座の力を使う事になった、人々の中から選ばれた人は座者となり、強い力を持った座者は焦土となった大陸に行き化け物を倒せるほどまで行った。
その後も世界樹によって守られた大陸も発展を遂げ、国家まで出来るようになった。
この話が最も有名で信憑性の高い神話だ、だが事実かどうかは長い時が過ぎた今ではわからない。
「でも、事実その座者が俺らって訳だ。そんで魔物がアラキが追われて俺が倒したやつだ」
「それじゃ、前のこの星座の座者だった人の記憶にあったあそこは」
「焦土と化したもう一つの大陸、ダーネブルクだな」
「アルーフェズ様ってどうなったの?」
「今もまだ行方不明だ、信仰している人も少数人居るが顕現された事は神話の後、数万年以上の間一度もない。メア様もまだ探しているそうだ。ま、神はそう簡単に死ぬ事はない、どこかにいるって信じるしか無いな」
「色々あったんだなぁ」
「他人事じゃねぇぞ、これからその魔物倒せるぐらい強くならないといけないんだからな?」
「うわぁ」
ふと、ウズは窓を見ると、朝日が差し込んでいた。
「もう朝だな、よし、外行くぞ」
ウズは立ち上がって言った。
「嫌だなぁ」
そう言いつつもアラキは覚悟を決めたように立ち上がり、ウズに指示を聞いて支度を始めた。
これから地獄が始まろうと頑張ると意気込んで。
「とりあえず、森をジョギングして体力がどれぐらいあるか調べてからだな!」
そう言ってニ人で森の中でジョギングし始めた。
何時間か経ったあと、いつの間にかアラキは倒れて、ウズはアラキを起こそうとアラキの体を揺すっていた。
「そんなんでこれから大丈夫か? ジョギング程度で倒れてちゃこの森すら抜けられねぇぞ?」
「もうやだぁ〜」