眠り姫に届かない
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
こんなタイトルですが、生々しい死の話。
つい先日、眠り続ける友人に会いに行った。病院は嫌いだった。何処もかしこも潔癖な匂いがして、ヒリついた空気が肌を刺して、全然気が休まらない。でもきっとそれだけじゃない。生と死が交錯するこの空間が、そもそも受け入れられないんだろう。
「すみません。□□の従妹の者です」
簡潔にそう言い渡すと、穏やかな看護婦がベッドを引き摺って、エントラスンまで運んでくれた。
彼女は瞼を閉ざしたまま、ベッドの上に横たわっていた。食事も、排泄も録に出来ないせいか、繋がれた管だけが生命線の様だった。臭うのは僅かな糞尿。それから薬品。あぁ……死に近付く人間というのは、どうして……こんなにも……痛々しいのだろう。
「会いに来たよ。分かる?」
反響のない姿に、辛くなるだけの臭いに、内心歯噛みをして、顔を近付ける。すると少しだけ瞼が動いた。けれども完全に瞳が開き切ることは無く、また瞼を閉ざされた。面会は……それで終わりとなった。
「なんて顔してやがる……」
彼女と会った。何時もの朗らかな顔は深く沈み込み、ただ泣き腫らした瞼だけが浮き彫りになっている。その様を見て、俺は俺は先日起きた事を予測した。会いに行ったのか……眠り姫に。
彼女は虚ろな双眸で俺の顔をしばらく眺めると、震える唇で音を紡いだ。
「会いに行ったんだ……。何も……うぅ……うっ。前よりも悪くなってた……。前は起きて、話も出来ていたのに……今は……何も……」
そこで言葉が止まる。必死になって唇を噛み締めて、涙を堪えているのが分かる。昨日も散々泣いたであろうに、残酷にも涙というのは溢れ出る。
俺はハンカチを取り出して彼女に向かって差し出した。彼女はそれを黙って受け取って、頬に押し付け涙を吸わす。すると少しだけ落ち着いたのか、ひゃっくりを繰り返しながらも口を開いた。
「このまま……良くならないのかな……。このまま眠る様に死んでしまうのかな……」
「馬鹿言うな。って言えない。……人が死ぬ時は何時もそうだから」
人の死に直面するのは、人生に置いて何度かあった。皆最後には寝たきりになって、意識が混濁していた。声を掛けても反応せず、ただ嗅ぎなれない匂いと共に眠りに着いていた。直視する事が出来ないほど、痛々しかった。そうして……その状態から目覚めた者はいない。衰弱の果てに命を落とす。俺はその場に居合わせていない。けれども綺麗事で夢を見せる訳にはいかなった。
「死を看取って欲しいって、言ってたけど、看取る側は気が気じゃないよ……。痛くて、苦しくて、視てらんないよ……」
彼女の嘆きは眠り姫に届く事はなく。数ヶ月、眠り姫は衰弱の果てに命を落とした。
あんまりバスっとハマってない気がします。
が、言いたいことはきちんと入れました。
余命宣告された人とか、ずっと入院していて良くなる兆しがない人と会うのって、メンタル抉られるんですよ。
見舞いに行かないなんて薄情。
って仰られるかも知れませんが、数秒と直視出来ないんですよ。
顔合わせる時間だけ絶望が続きます。それくらい痛々しいんです。
彼女が話している『看取る側は気が気じゃない』というのが本懐だと思います。
『死を看取って欲しい』というキャラを沢山作って来ましたが、看取る側の話がこれです。闇堕ちしそうですね。