コント「関西人」
カフェにて。
ツッコミ、人を待っている。
ツッコミ「それにしてもあいつ遅いな。話があるっていうから来てやったのに。」
そこに、タンクトップ姿で指から肩までタトゥーを入れた男がやってくる。
ボケ「おお、待った?」
ツッコミ「・・・いや、全然・・・。」
ボケ「え、それ何飲んどんの?」
ツッコミ「あ、えっと、ミルクティー・・・。」
ボケ「可愛っ!めっちゃ可愛いもん飲んどるやん!何?最近可愛い意識しとんの?あ!あれか、草食系男子っちゅーやつか!」
ツッコミ「いや、別にそういうわけじゃないけど・・・。」
ボケ「ボケやん!突っ込んでーや!『そんな草ばっかり食うてへんわー!』ゆうて!『ってそっちの草食系ちゃうわー!』ゆうて!」
ツッコミ「ははっ(乾いた笑い)・・・。」
ボケ「おもろい?俺おもろいやろ?」
ツッコミ「あ、ああ・・・。」
ボケ「関西ではこれが普通やねん。これが日常会話。」
ツッコミ「そ、そうなんだ。」
ツッコミ、ボケの腕をチラッと見る。
ボケ「あ、気になる?」
ツッコミ「あ、いや、」
ボケ「気になるやろ?」
ツッコミ「・・・あ、ああ。」
ボケ「せやろ?これ、何やと思う?」
ツッコミ「え、何だろ、」
ボケ「正解は『キリン』でしたー!」
ツッコミ「・・・。」
ボケ「突っ込んでーや!『答え言うの早すぎるやろー!』ゆうて!『俺まだ喋っとんねーん!』ゆうて!」
ツッコミ「ははっ・・・あー、ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。」
ボケ「おう、洩らしたらあかんで!」
ツッコミ「・・・。」
ボケ「突っ込んでーや!『漏らすか―!』ゆうて!『俺小学生とちゃうでー!』ゆうて!」
ツッコミ「ははっ・・・。」
ツッコミ、トイレに行く。
ツッコミ「・・・だっせぇタトゥーだな!!!何で蛇でも龍でもなくキリンなんだよ!!!何で自分の指でキリンの手足表現してんだよ!!!だっさ!!!・・・あと、くそつまんねぇな!!!ボケもツッコミもくそつまんねぇんだよ!!!何だあの、『○○ゆうて!』って!!!お前みたいな面白くもねぇのに自分の事芸人だと思ってる人間が、関西の品位を下げてんだよ!!!恥を知れ!!!」
ツッコミ、席に戻る。
ツッコミ「ごめん、おまたせ・・・。」
ボケ「えらい長かったな。・・・(顔を近づけ)もしかして、ウンコか!?」
ツッコミ「ははは・・・な、何でやねーん・・・。」
ボケ「お!ちゃんと突っ込めるやんか!でも、そのツッコミは32点やな!頑張りや!」
ツッコミ「・・・。」
ボケ「あ、そうや。さっきの話の続きなんやけどな。タトゥー入れた途端みんな俺の事『怖い怖い』って言い始めてん。別に怖ないやんな?」
ツッコミ「そ、そうだな。」
ボケ「やんな?なのにみんなして偏見で俺の事見てくんねんで?酷ない?」
ツッコミ「・・・そ、そうだな。」
ボケ「タトゥー入れてる人って、そういう目で見られがちやねんなー。怖い人っていうレッテル貼られんねん。でも、実はめっちゃ優しい人多いねん。ほら、俺も優しいやろ?」
ツッコミ「・・・そうだな。」
ボケ「やろー?ほんま偏見とかやめてほしいわー。」
ツッコミ「・・・ちょっとトイレ行ってくる。」
ボケ「またか!えらい近いやん。」
ツッコミ「ちょっとミルクティー飲みすぎたみたいで・・・。」
ボケ「なるほどな。行ってきーや、洩らすで!」
ツッコミ「お、おお・・・悪いな・・・。」
ツッコミ、トイレに行く。
ツッコミ「・・・怖ぇよ!!!関西弁喋ってんのも怖ぇし、タトゥーにキリン入れるセンスも怖ぇよ!!!偏見じゃねぇよ!!!見たまんまの率直な意見だよ!!!」
その頃、ボケもトイレに行きたくなってしまう。
ボケ「アカン、俺も漏れそうや。」
ボケがトイレに近づいてくる。
ツッコミ「大体『優しい人が多い』って何だよ!!!優しい人は!!!タトゥーなんか!!!入れねぇんだよ!!!」
扉を開けるツッコミ。
ボケが聞いていたことを知って黙る。
ボケ「・・・そんなこと思っとったんやな。俺ショックやわ。お前のことは友達やと思っとったのに。なんや裏切られた気分や。」
ツッコミ「・・・俺の『そうなんだ』三連発は完全に無視かよ!!!」
ボケ「え、何、」
ツッコミ「俺お前がタトゥーについて喋ってる時三回も『そうなんだ』って言ったんだぞ!!!突っ込めよ!!!」
ボケ「いや、俺は、」
ツッコミ「あと、トイレから出てきたとき!!!そこは!!!『トイレではツッコミキレッキレやな!』だろーが!!!」
ボケ「おい、ちょっと、」
ツッコミ「関西人失格やな!!!もうええわ!!!どうもありがとうございました!!!」
ツッコミ、一礼して店を出る。
ボケは店に取り残される。
ボケ「あいつの関西弁、怖っ。」