第二章その十 『偽り幸福(夢)から覚めて④』
「うぉっ!急にどうした?」
「――いや、記憶無くす前の俺がどんな奴か心配だったんすけど、どんなに悪かったとしても樅木さんほどの悪党じゃないんだろうなって思っただけっす」
「……ハッ、言ってくれるじゃねーか」
「こんな奴が何人も存在したらたまらんわ、のう?ケルベロス」
「がうがう」
「あはは、そうだね」
「んだよ、オメーら好き勝手言いやがって、奢ってやんねーぞ」
「だから、奢る、奢らない以前にその財布のお金使っちゃだめですって!」
「お前もしつこいねぇ〜カコ――いいかよく聞けよこれは奴らのためでもあるんだぜ」
「どういうことです?」
「ああいう奴らってのはどーせいろんなところからカツアゲしたり、暴力を振るったりしてるもんだ。だから誰かが罰を与えねえといけねえ、今回俺がこうやって財布を盗った事によって、あぁ悪いことしたからバチが当たったんだな、と考え今までの悪事を反省して改心するかもしれねぇだろうが」
「――なるほどの、そーゆー考ならその金を使用するのも悪くねーのかもしれんのーーよし、わしは飯を食べにゆくぞ」
「お、いいねハクト、で、カコお前はさっきの話聞いてどうするか決めたか?」
「…………わかりましたよ、僕も行きますよ、正直彼らには少し頭にきてましたしね、でもこういう事はコレで最後ですよ!」
「いえい!カコちゃん最高〜!!よっしゃー!!今日はセンスくんごめんなさいパーティーだ!焼肉行くぞ!それも食い放題じゃない超高級焼肉店だ!!」
「マジか!?もっかして“ジャジャやん”か?」
「オー!!イエス!!エクセレント!!」
「マジか!そーと決まればさっさと行くぞ!!ケルベロス、そなたはぬーぐるみのふりをしとくんじゃぞ、そーしたら肉を分けてやるからの」
「がうがう」
「よし!行くぞ野郎共、目標は“ジャジャやん”なり!!」
「よっしゃー!!ゲロってでも食べまくってやるのじゃ!!」
「もう、本当にこういうのはコレで最後ですからね、それと吐くとか絶対やめてよハクトちゃん」
「ハクトだけに吐くとかやめろってか、か〜カコもくだらん事言うようになったな〜」
「ち、ちがいますよ!今のはたまたま出ただけですよ」
「そうかぁ〜?まっ、どーでもいいや、“ジャジャやん”行くぞ!“ジャジャやん”!………っん?どーしたセンス?」
「……本当にいいんすか?」
「何が?」
「このままあんた達と一緒にいてもいいのかって事っすよ、疑われてたのはショックっすけど、それでも記憶が無いからスカルの俺が“算数スカン”とか言う組織の一員だったって言う発言も嘘じゃないかもしれないんすよ、そんな俺を信用できるんすか!?これからも一緒にいてもいいんすか!?」
センスの言葉を最後まで聞いた樅木はセンスに近づき叫んだ。
「クロモミ探偵事務所所長、樅木黒乃!! 二十一歳独身!!」
「……え? あっはい」
「使用能力名『支配時間』時を止めることができる!」
「……知ってるっす」
「ーーしかし、この能力永遠に時間を止められるわけではなく、一日合計二十秒程度しか止められない!」
「え、そうなんすか? ……というかなんでそんな重要そうな事を教えてくれるんっすか!? もし記憶を戻した俺が敵だとしたらどうするんっすか!?」
「……確かにお前が敵になったとしたら色々と対策が取られたりして大変かもな」
「でしょう、だったらなぜ?」
「でもな、俺はお前を信用したから話したんだ、いいかセンス、この程度の信用はしてやる。だが信頼はこれから先お前が創り上げていけ!」
「……信用と信頼ってどう違うんっすか?」
「知らん!」
「……モミ、そなたはかっこーつけるだけかっこつけよーとして深く考とらんじゃろ」
「うっせーよ、とにかく俺はお前を仲間として認めたんだ!話はこれで終わりださっさと飯行くぞ、飯」
「………樅木さん、ライスも頼んでいいっすか?それも大盛りで」
樅木はフッと笑いながら言った。
「焼肉でライス食わねーでいつ食うんだよ」
そして四人と一匹は河川敷を後にした。
――琴音、俺はお前を忘れないっす。この仲間達と力を合わせてスカルを見つけ出して、絶対に仇はとるっす。




