第二章その五 『スカルアウトロ④』
「あは、また逃げるの? ……まぁいいや、んじゃ鬼ごっこしよぉ、僕っちが鬼ね、鬼だから手加減はなしだよぉ〜」
当然スカルは追いかけてきて、その距離は離れるどころか段々と詰められている。
「やめろ、やめろ、やめろぉ!!」
若干パニックに陥りながら、不恰好に足を動かすセンスだったが、その脳内はまるで自分のものじゃ無いかのように冷静にスカルの発言を思い返していた。
――そうだ、先程スカルが言っていたように、もし、俺が人の聴覚を消していたとしたら、その能力で他の感覚も消すことができるとすれば………
「畜生! 視覚消えやがれぇ!!!」
センスは足を止め振り返るとそう叫んだ。
一か八かの賭けどころか全く確証の無いほとんど運任せの願いのようなものだった。
だったのだが、瞬間スカルの動きは止まった。
「――ありり?まるで目の前が暗黒物質なり〜、キャハッ面白れぇ〜」
少し間を置いて動きを再開させたスカルはまるで紐がこんがらがった操り人形が如く重心が安定していない。
その様子を見てセンスは目を丸めた。
「……え、マジでできたのか?」
視力を消すだなんて大掛かりなことを自分がやったなんて全く実感が湧かない。
消えろと叫んだら本当に消えただけ。
正直呆気なく感じるほどだった。
スカルは本当に何も見えていない様子でヘラヘラ笑いながら何もない空中に向かってナイフを振っている。
「すげすげすげすげすっげぇな!!こりゃマジで成功体どころか即、神超の仲間入り………あっ、そうか忘れてんだっけ」
正直質問したいことは山ほどあるが、この状態がいつまで続くか分からないとセンスはその場から逃げることにした。
「……あり? おいおい、にげんなよぉ〜、ったく、別に目が見えていないからって俺様レベルになると音と気配だけで十分だっつーの」
逃げながら振り返るとスカルは手に持っていたナイフを投げつけていた。
「次は足の番〜」
そう言っているが、投げられたナイフは大きく狙いを外し、センスの頭の方へと軌道を変える。
「うわぁぁぁぁ!! っっっもみ……」
「――うちの従業員になにやってんだ? てめぇ」
突如何も無い所から樅木が現れ、飛んできたナイフを掴んで止めていた。
「あり? 新しい声だぁ〜、あんた誰ぇ〜?」
「クロモミ探偵事務所所長、樅木黒乃」
「へえぇ〜、あっそぅ、じゃとりあえずガラクタにしてあげる」
樅木の名乗りに髑髏の口元がニタリと歪んだ。




