第二章その五『スカルアウトロ②』
スカルが嬉々として取り出したのは琴音が吹いていた謎の印が描かれたあの笛だった。
「な、なんで……お前がその笛を………?」
「なんでって、ホレ、ここにオイラたちの組織のマークが描かれているのが見えるじゃろ」
そう言ってスカルは例の印をチョンチョンと指さす。
「組織って……い、一体なんの組織なんすか?……もしかしてその笛の他にも変なバッチとか香水とか作ってんのもその組織か? ……まさか………」
そこから先の台詞を発しようとしても口をうまく動かせない。鼓動の音がうるさい、息が荒くなる、全身の震えが強くなっていく。
「………俺も………その組織の………一員…だった…すか?」
少し強い風が吹けば消えてしまうくらいの声量だったが、漸く言葉を口にできた。
心臓の動きは激しさを増していく。
心の中では、否定の言葉をひたすら願っている。
だがそんな想いとは裏腹に……。
「そ〜だよぉ〜」
スカルは目を細め、仮面の口元を歪めながら無情に放った答えにセンスはくらっと目眩を覚えた。
スカルは続ける。
「我々は……アレ? ……えっ〜と……組織名忘れちった、ハハッ、確かぁ〜『算数すかん』みたいな感じぃ〜? まっいいや、とにかく君は僕たちの組織の一員だったのだ〜」
「……セ、センスねぇ嘘つくんじゃねぇっす!!」
「嘘じゃないな〜い」
「黙れ! お前みたいなイカれ野郎と俺が仲間なわけないっす!」
「ひどい言われようざんすね、かつての仲間にそんなこと言われるなんて流石に傷つくでざます」
「黙れっつてるんすよ! 仲間、仲間っつーならなんか証拠でも………」
そこまで言いかけて止める、もしも本当に証拠を出されたらと言う思いが頭の中をよぎったからだ。
そんな考えを知ったか知らずかスカルは待ったましたと言わんばかりに嬉しそうな声色で言う。
「証拠? んっふふ、あるある〜」
「………っなんだよ?」
「んん〜?」
少し声量は下がったものの、聞き取るには十分だと言うのにスカルはわざとらしく手を耳に当てて見せた。
「しょ、証拠がなんだって聞いたんすよ!」
「んもう、わかってる癖にぃ〜」
「はぁ?」
「気づいてるんでしょ〜自分が特別な能力を持ってるって」
「な、なんの……ことすか」
「とぼけたってだめだめぇ〜知ってるんだからぁ〜、君が感覚を操作する能力を持ってるって」
「っ………な……」
「それに見てたよ、君が他の人間のちょー覚を操作して消したのを、ま、俺ちゃんもちょー覚を消されてたんだけどね、面白かったよぉ、みんな必死に叫んでるのになにも聞こえなくってさ、パントマイムでも見てる気分だったなり〜」
「……俺が他人の聴覚を消した?」
そういえばたしかに観客達は音が聞こえないような様子だった気がすると、センスは先刻の体育館内の様子を思い返す。
「あれれぇ〜もしかして無意識のうちに能力使ってたぁ〜? すげぇじゃん“成功体”……いや、もしかしたら“神超”になりかけてんじゃね〜の」
「成功体……? 神超……? ってなんすか?」
「あぁ〜もう、何もかも忘れやちゃってるみたいね、いちいち説明すんのめんどくさぁ〜、自力で思い出すんっちょ」
「……くっ、このぉ!」
スカルは心底面倒くさそうにため息をつきながら言う。その態度にセンスは頭にきて胸ぐらを掴んでいる反対側の腕を振り上げ殴りかかったが、
「うわぁ怖いっ……ちゃ〜!!」
スカルはふざけた声色は変えずに狂気の笑みを浮かべ、ストン、ストン、とセンスが振り上げた左腕肘窩と二の腕あたりを持っていたナイフで刺した……。




