番外の章 『大炎上ステーキ』
「よ〜し、三十分以内にこれ食い切れなかったらカコしばらくここでタダ働きな」
「ちょ、ちょっと、奢るって言ってましたよね!? それに僕が頼んでって言ったのは普通サイズの……」
樅木はカコがトイレに行っている隙に勝手に“デラックスギガマンモスステーキ”というとてつもないサイズのステーキを注文した。それは食べ切れればタダなのだが、失敗すれば一万五千円も払わなければならないという代物らしい。
「ほれ、喋っている間に食べろ」
「うぅ〜、これ本当に無理ですよ〜」
涙目になりつつもカコは必死にステーキを平らげようとしている。ちなみにそんなカコを横目に俺はハンバーグ&エビフライ定食、樅木はバラエティミックスフライ定食、ハクトはナポリタンをそれぞれ食べている。
「ほれほれ、もー残り十五分じゃぞ」
「カコがんばれ〜、時間は半分を切ったがまだ、三分の一、それどころか四分の一も食べれてないぞ〜」
「うぇっ!?」
樅木の余計な一言にカコの表情は面白いぐらい一気に青くなっていく。そして吹っ切れた様に笑い、急に真剣な眼差しで周りを見回したかと思えば
ボンッ!!!
「うわっ! なにっすか?」
突如小爆発音がして、カコの目の前のステーキに火がつき巨大な肉塊が燃え始め、僅か十数秒ほどで燃え尽き灰と化した。
「こ、これで食べきったってことでいいですよね、無くなりましたもんね、お肉」
皿の上に残った燃えカスを隠すように近くのティッシュで包みながらカコは言う。
「……俺も今までいろんな漫画読んできたけど、炎の能力をそんなことのためにに使った奴は初めてみたわ」
「貴様、そんな黒焦げにして、死んだ牛さんに申し訳なくねーのか? ーーん? 洒落になっちまったの!」
一人で吹き出すハクト、隣のカコは吐き出しそうなのを我慢して詫びる。
「うぅ、申し訳ないです」
「まぁまぁ、そんなことより、今度から大食いチャレンジがある店でこれやればタダ飯食い放題だな」
「絶対やりませんからね!」
樅木の悪魔的提案を必死の形相でカコは否定した。




