第一章その八 『怪しい香り③』
ジャンケンの結果はセンス、樅木、ハクトの三人がパーでカコ一人がグーとなり、結局何も文句を言っていなかったカコが行くことになった。
「えぇ、僕ですか?」
「負けたんじゃからしょーがねーじゃろ」
「そーだ、そーだ」
「わかりましたよ、もう」
カコはまだ文句を言い足りていないがこうなった樅木とハクトが素直に話を聞くわけもないかと、しぶしぶ隠れるのをやめ二人に近づいて行く
「あ、あのう、えっと、すいません、ちょ、ちょっといいですか?」
「……なんだね君は」
「いや、その、怪しいものではないんですが、そちらの女の人に聞きたいことがありまして」
「あら、なにかしら?」
「あの、ですね、あなたの持っている、その香水をみせてもらいたいんですけど」
その言葉に女の目つきが確実に変わった。
「……どうしてかしら?」
「いや、そんなに深い意味はないんですけどね、えっとそのですね、あの」
なんと答えていいのやら言葉を詰まらせながらカコはしどろもどろと話していく
「ふふ、まぁいいわよ」
「えっと、あの、……っていいんですか?」
「えぇ、いいわよ、存分に見るといいわ!」
女性は再び香水を取り出すと、先ほどの男性にしたようにカコに吹きかけた。
「うわっ、何するんですか!? ……って、あれっ……なんですか? この感じは」
樅木とハクトには暗くて見えていないらしいが、センスには香水をかけられた瞬間からカコの顔が赤くなっていくのが見えた。よく見ると、なんかそわそわしている。
センスは2人にそのことを伝える。
「そりゃ、やっぱあの香水が怪しいな、よし、香水を取り上げるぞ、センス、ハクト、あの女に話かけてくれ隙を見て俺があの香水を奪う」
「わかったっす」
センスとハクトはカコと同じように近づいていき
「俺たちにも」
「わしらにも」
「その香水を見せてもらえるっすか?」
「見せるのじゃ」
「な、何よあなたたち」
女性は明らかに動揺している。
「なんでも良しじゃからさっきの香水をみせるのじゃ」
「……そんなに見たいなら、好きなだけ見せてあげるわよ……ってあれ!?」
「悪いけど、これは没収ね」
女性はカコにしたようにセンスにも香水を向けてきたが、次の瞬間にはその手から香水は消えいつの間にやら現れた樅木の手へと渡っていた。
「ちょっ、ちょっとあんた、いつの間に、どうやって?いや、そんなことよりそれ返しなさいよ!」
女性は樅木に飛びかかるように接近していくが、そこに樅木はおらず、女性の背後にいた。
「え、えぇ!? ど、どうして?」
明らかに混乱している女性をよそに樅木は
「別に見た目は至って普通の香水みたいだな」
と容器をくるくる回しながら見ていたが、しばらくして何かを発見したらしく、驚きつつも叫んだ。
「このマークは!?」




