第一章その四 『カコナビゲータ①』
「おお、すごいっす!」
「へへっ、そう? そうかな?」
今日は依頼の予約も無く暇なため朝からずっとゲームをしていたが、夕方までぶっ通しでしていると流石に疲れてきた為、突如“一発芸大会”が開催され、今はカコが火の玉を空中で自在に動かすと言う芸を披露している。
「よーし、次は俺の番っす」
センスはキョロキョロ周りを見て近くにあった飴玉を指さす
「後ろ向いてるんで、誰かがあの飴玉握ってくださいっす」
そう言って後ろを向く
「――握ったっすか?」
「おお、もう握っているぞ」
「……飴玉はハクトが握ってるっすね?」
振り向く事なくセンス嗅覚を強化して匂いを嗅ぐとそう言う。
「正解じゃ!」
「すごいよセンスくん!どうやったの!?」
「へへっ嗅覚を強化したんすよ」
「へぇ、やるじゃねぇか――こないだの猫も魚の匂いを追跡して見つけ出したし、案外警察犬になれるかもよ」
「俺一応人間なんすけど!?」
「わーってるって、でもそれに近い事はできるんじゃね?」
「まぁ、できなくは無いと思うっすけど……」
その日はそんなこんなで特に依頼も無く一日が終わったが、翌日――