第一章その三 『にゃんこ大捜索③』
「よし! じゃあ早速猫の捜索を始めるぞ、まず俺はこれから急いでポスターを作って、一応そこら辺に貼る許可を取る。カコはだいたい半径二、三キロメートルの範囲内で聞き込みをしてくれ、ハクトはさっき言ったように能力で、猫と話して飼い猫かどうか聞き出してくれセンスはハクトのサポートを頼む、あとついでにケルベーの散歩もシクヨロ」
小須木が帰った後、樅木は数分でほど書いてもらった依頼書を元に資料を作り終えると皆を集めて作戦を伝えた。
「わかりました」
「りょーなのじゃ」
「了解っす」
各々が返事を返すと、カコは着ていた服のフードを被り口元までチャックを上げると早速出発するのだろう玄関へと向かった。
「じゃ、僕は先に行くね、二人とも気をつけてね、特にハクトちゃん、寄り道したり、コンビニとかで無駄遣いしてセンスくんを困らせちゃダメだよ」
「よけーな下世話じゃ、さっさと行かんか」
「ははっ、じゃ、センスくんもはじめての依頼頑張ってね!」
カコは笑いながら手を振ると出て行った。その背中を見送った後
「よし、俺たちも行くっすか」
「ちと待つのじゃ、準備をしてくる」
「え? あぁ、わかったす」
カコも言っていた通りはじめての依頼ということで緊張しつつもどこか気合いが入っているセンスとは違い落ち着いた態度のハクトは自室の部屋に戻った。
「待たせたのじゃ」
数分後に帰ってきた時ハクトは、真っ白い服に着替えていて、頭には猫耳のフードをかぶっていた。そんな姿を見たセンスは不覚にも、かわいいかも、と少し胸をきゅんとさせつつも訊く。
「なんすか、その格好?」
「ふふん、猫と話すならこの格好がナンバーワンじゃ、ほれ、そんなことよりわしらも行くぞ、先輩の活躍を見せてやるのじゃ」
「おぉ! 期待してるっすよ」
「それじゃあのモミ」
「行ってくるっす」
ハクトはソファーの上で丸くなっていたケルベロスを持ち上げると玄関に向かう。
「あいよーガンバー」
樅木はすでにパソコンで何か作業をはじめており、画面を見たままそう言って手をひらひらと振った。そして、センスとハクトが部屋から出ていくのを確認すると
「……一話だけならいいよな」
と先程からパソコンでポスターを制作しているのかと思いきや、その画面にはアニメのキャラが映し出されており、再生ボタンをクリックしてパソコンから流れ始める映像を楽しみ始めた。