58話 VSマーガレット
途中でグロイ言葉が出てきます。
さて、準決勝はクレスを気絶したもののちゃんと止めたので勝ちだってよ。
ついでに壊れた会場を『戻れ!』で戻したのでなんか知らない人(多分貴族)達に上から目線で感謝されまくった。
まあでも、『よくやった』とか『私ならもっと上手くやれたがな』とか別に聞きたくもない——というかむしろ不愉快になったため、別に言われない方がよかった。
さあ、俺の決勝の相手は——ねーちゃんです。
★★★★★★
「さぁーて、個人戦1〜3年の決勝戦ー!最後まで残った2人はまさかの姉弟対決ー!」
そしてその言葉に会場は今までにないように盛り上がり、特に見たことあるとーちゃん、かーちゃん、妹×2たちが多分一番盛り上がっていた。かーちゃんは普段はお淑やかなはずなのに今まで人生で一番みたことのないような奇声を出していた。
あと、ついでに俺も無意識のうちに奇声に近い音を発していた。俺はあの人の子供だと言うことを感じた。
さて、ねーちゃんは魔剣と言われる普通の剣より強いのを持っていた。あれは確か作ってくれって言われて付与を5重くらいかけてあげたやつだ。か、勝てるか・・・?
「じゃあテル、本気でいくよ!」
ねーちゃんはそう言うと、剣を構える。一応間合いの外にいるはずだが、怖いので俺は少し後ろに下がる。
そして試合は始まった。
ねーちゃんは始まった刹那、鞘から剣を抜き、空を切ったかと思うと、俺の頬が切れていた。
切り傷があった状態で俺は戦っていない。つまり、今まさに切られたといったところか。
でも、俺はちゃんとねーちゃんから離れてたし、一瞬で近づいた様子もあの剣が伸びた様子はない。
ねーちゃんが魔法を使ったかもしくは――。
そんなことを俺が考えている合間にまたねーちゃんは剣を構え抜刀した。その後に俺の頬に切り傷は1つ増えていた。
多分確定だな。
俺があげたあの剣の付与の中に『絶断』というものがある。名前からもわかるように“すべてのものを切る”という能力だ。こいつを付けとけばコンクリートだろうが鉄だろうがミスリル合金だろうがなんでもすぱすぱ切れる。耐久力が半分ほど下がるというのは欠点だが、『修繕』という己の魔力を使用して耐久力を回復できる能力を付与してあるので、もはや関係ない。
さて、問題はねーちゃんが何を切ったかというところだが、これは多分空気ではないだろうか。
俺も試したことはないが、なんでも切れるんだから空気くらい切ったって不思議ではないだろう。だって俺が作ったんだからな!
・・・そんなことは置いといて今は決勝とは思えない姉弟で仲良く鬼ごっこをしているわけだが、正直ピンチだ。掲示板の皆様助けてください。
よし、一か八か、失敗すると多分国か、少なくとも王都が終わるが――。
「【アンミリテッドタイム】」
そう俺が詠唱すると瞬く間に魔法陣は展開され体には無尽蔵の魔力がみなぎる。
「【ドラゴンブレス】」
無尽蔵の魔力を十分以上にドラゴンブレスにつぎ込む。
白色の光は実姉に向かって走り出す。が、ねーちゃんも音のごとく音剣流で切り裂いていく。
小手調べはこれでいいか。
さて、「【解除】!」
俺はそう告げると魔法陣は消えてなくなり、俺の体には通常の数倍の量の魔力だけが残る。
そして俺は意識を奪われそうになる。ギリギリで耐えた。
しかし、次は体の制御が効かなくなりそうになり、ここにいるすべての人間に殺意がわいた。なるほどこれが魔力暴走か。
この行き場のない魔力に体の自由を奪われ、意識を奪われ、時に命すらも奪われる。そう考えるとなんか怖くなってきた。
そんな雑念を頭から排除して、この気だるさを全力で跳ね返す。
簡単にいかないとは思っていたが、これほどとは・・・。
「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
殺したい。殺したい。殺したい。殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい殺したい――。
思わず、俺は胃の中にあった酸を吐き出す。
「はあはあはあ。」
打ち勝った。打ち勝った。勝った、勝った、勝った――。
俺の体にはアンミリテッドタイムによる溢れんばかりの魔力、魔力暴走による身体能力、今の俺になら勝てる。あのねーちゃんに。
「【魔力弾】」
それはいつもより質も量も格段に高い魔力の塊。速度も威力も圧倒的に違う。
しかし、負けじとねーちゃんもずぱずぱと切っていく。
でも、俺の勝ちだよ。
あのあげた剣を刹那に近づき破壊する。そして場外にパンチを繰り出し外に出す。
「だ、第57回アルファ一武道会1~3年生の優勝は、テル=ハングル―!!!」
会場は最高に盛り上がった。




