45話 訪問
家の中に入った。
外見はかなり違う感じだったが、フタを開けてみればうちとはさほど変わりはしなかった。
天井にはシャンデリア、中世ヨーロッパを思わせる最後がツタのように曲がった手すり、終いには変な模様の壁紙まであり、全て自分家で見たことがあるものだらけだった。
『センスのなさは同じなのかッッッ!』と喉元まできたツッコミをいうのを抑え、心の奥底にしまった。
家を見渡していると、
「あの変なハトさんの時計、エマの家にもあるね!」
とヒソヒソとエマがエミにつぶやいた後、
「くっ、この世に二つとしてないはずの赤い絨毯があるとは・・・。まさかこれは幻影暗黒団による攻撃!?そうなのか!?いるなら出てこい!正々堂々と出来ないのか!」
とエミがボソボソと言った。子供なんて罪のないものだと思った。(俺もだが)
で、案内された客室のこれまた変な・・・じゃなくて個性の強い模様と形をしたソファに座った。
意外にも羽毛ぶとんのようにふかふかしていて相当高そうなものだということが分かる。
しばらく待っていると、ガチャリと後ろから音がし、ドアが開いた。ドアから入ってきたのは叔父と思われる人物と、凛々しいがどこかふんわりとした雰囲気に包まれた女性と、俺と同じくらいの背丈の双子と思われる少年少女だ。少年少女はどちらも特徴的な緑の髪で、顔がどことな〜く似ていた。
そして、使用人が運んできた紅茶をズズズーっと飲むと叔父さんはその口を開いた。
(ちなみに紅茶の見た目はとーちゃんのと全く同じで、ミルクと砂糖が溶けているといった具合だった。)
「えーっと確かテル君たちは初めましてかな?メグちゃんは一回会ったことあるけど、赤ちゃんの頃だから覚えてないか。じゃあ改めて、初めましてグヘル=リシャです。よろしく!」
入り口にいた時の印象とは違い、律儀で落ち着いている印象だった。
「私がグヘルの妻のナンシー=リシャです。これからもよろしくお願いします。」
甘美な表情でこちらに微笑みかけられる。横にいる母を見て、心の中ではぁ〜とため息をつく。うちの母とは大違いだ。(性格が。見かけは対して変わらない。)が、口にすると多分ぶっ殺されるので、これも心の奥深くにしまう。
が、エマが
「エマたちのママと全然違うー。」
とさらっと爆弾発言を口にする。
先程のように『子供なんて罪のない〜』のくだりをやりたかったが、これは流石にアウトだ。いくら3歳児と言っても言葉の限度というものがある。
エマに特大な雷が落ちると思ったが、予想に反して母親はニコニコと笑っていた。表面上は。
「ウフフ」と笑っているが、その内面はメラメラどころではない赤い炎で燃えているとも、氷点下を超えた温度で凍りついているとも読み取れるような気がする。
更に後ろには幻覚と思われる鬼のお面を被った母ではない別の何かが見えた。この世には怒らせてはいけない人がいることを改めて知った。
すると叔父さんが「じゃあ子供たちは外で遊んできなさい。」とピリついた空気を変えた。ナイス!
なので無駄にでかい階段を降り、無駄にでかいドアを開いた。




