30話 ダンジョン後編
しばらく走っていると、二人組のオークがいた。
戦闘に入ると見てクレスを下ろし、
オークに話しかけてみようとすると向こうから話しかけてきた。
「おマエ、ニンゲンカ?」
さっきのオークよりより人間っぽい声だ。もしかしたらさっきのやつより強いんじゃないか?
「ああ、そうだ。俺は人間だ。ここを赤い髪の女の子が通らなかったか?」
ホルスに皆殺しにしろと言ったのに生きているなら・・・ホルスが逃したかもしくは・・・
「赤い髪ノ女の子?それはイツの話ダ?ニンゲン?」
いつ、か・・・
「10分前くらいだ。」
「それはわからん。俺達は5分前に転移石デ来たからナ。」
とりあえず嘘はついていない様子だ。ホルスはやられていない。安心に心の中で安堵する。
「お前達の仲間に人間を特に見下している最初の方にいるオークは誰だ?」
「最初の方にいる見下すヤツ?・・・ああ、ゾムラの事カ。アイツハ人ヲ見下す癖にオークの群れで最弱だっタので皆困っていタ。ゾムラをどうしたのダ?」
「分からないか?殺したんだよ。あいつ最後にめちゃくちゃ叫んでたぞwww」
どう来る?
「ソウカ。俺達モあいつヲどうするか悩んでいたのダ。消ス手間が省けタ。感謝スル。」
おっと、そう来たか。もうちょっと思いやってやってもいいと思うが。
「薄情なんだな。」
「逆に人間が情をかけすぎテイルと思うゾ。俺ハ。」
「へえー。そうかそうか。情をかけすぎているか───。」
【魔力弾】
ボン!
俺と話していなかったもう一匹のオークの腹から向こう側の景色が見える。一瞬戸惑っていて、何が起こったか分からないようだ。
「ハ?」
何が起こったか理解した時にはもう遅く、もう一匹のオークは血反吐を吐き、前のめりに倒れた。
「おおー。つえーな。『魔力弾』」
そうこれが『魔力操作』のひとつの技、魔力弾!!!
放出した魔力を敵にそのまま当てるという技。故に、込めた魔力が攻撃力となるのでシンプル&強い。
「シーマ?シーマ!シーマ!しっカリしロ!シーマ!シーマァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ーーーー!」
こんなに叫ぶとは。人間もオークも変わんないってことか。
「おい。人間は情をかけすぎているんじゃなかったのか?」
話していたオークを煽ってやると、
「キサマァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ーーーー!」
と怒りを通り越して憎悪のような殺意を出しながら殴りにかかってきたので、
「【魔力刃】」
魔力を刃の形に変形した『魔力刃』でオークの頭を半分にしてやった。
頭を切られたオークは勢いを失い、倒れてしまった。
「死んだか。」
動かなくなってしまったオークを魔空間にしまい、その場所を後にした。
テロリン!
《レベルがアップしました。『魔力操作』が強化されました。追加効果『魔力反射』》
また、レベルが上がった。
オークは経験値の塊なのか?
ま、いいや。
魔力反射の効果は?
《『魔力反射』・・・魔力を反射する。魔法を反射することも可能。》
魔法キラー強化が入ったっぽい。
『ステータス操作』もチートだったけど、『魔力操作』もチートだな。
よし!最奥を探そう!
再びクレスをおんぶして、最奥を探した。
★★★★★★
なんだこれ。全然終わりが見えない。
というかこれループしてね?
よくあるよね!こういうところでループするのって。
ループするってことはどっかに隠し扉があるんじゃないか。
そう思った俺はクレスをそっと下ろし、空洞がどこにあるかを探した。
その結果!!!
「んー。この辺かな。」
空洞がありそうなところをパンチパンチパンチー!しまくったため、ダンジョンがボロボロになってしまった。
「パーンチ!!!」
ドッッコッッッッーーーン!
「お、見つけた。おーい、あったぞー、クレスー!」
クレスを呼び、隠し扉から入った。
その扉の中にはオークが大量にいて、顔馴染みのある奴が数名いた。
「えっ、テル!?どうしてここが分かったのさ!?」
ホルスとコアー、あとホムラたちだ。
ホルスとホムラが周りにいる大量のオークと戦っている。
コアーは見ている。役立たずで草。
「しっつれいしまーす。」
部屋に入るとオークが数体いきなり襲ってきたので、
『魔力弾』で捻り潰した。
「おーい、ホルス!ホムラ!大丈夫か?」
ボロボロになった二人の助太刀に入り、周りにいたオークも皆殺しにした。
「申し訳ありません!テル殿!オークどもを皆殺しにできなくて!報酬は・・・その・・・」
土下座でホルスが謝る。めちゃめちゃ反省しているようだ。
「いいよ。仕方ない。こいつらは強かったし、今までよく頑張った。報酬もやるよ。休んどけ。」
「ありがとうございます・・・。精進します・・・。」
と言い残し、消えた。戻ったようだ。
「大丈夫か?ホムラ?ほい、回復薬。」
「ありがとう、テルくん。」
回復薬を受け取ったホムラはごくごくと飲む。
そうすると、一番奥にいる、玉座みたいなのに座ってる奴が話しかけてきた。
「我が兵を一瞬で何匹も殺すとは。貴様何者だ?」
言葉も今まで聞いた中で一番クリアに聞こえた。ほぼ人間の声だ。
「俺かぁー。俺はなんだろうな。俺自身もよくわかんね。」
質問にうまく答えられなかった。俺はなんだ?神の使いとか?転生者とか?よくわかんないな。
「そうか。貴様自身もよくわからないか。ならなんだ!そのデタラメなパワーは!」
「だーかーらーそれがよくわかんないんだよ。」
「チッ。話にならん。我が兵では全く相手にならんだろうし、我が直々に相手をしてやろう。」
というと、そいつは玉座から立つと、構えた。
「我が名はベルゲンド!魔王軍幹部が一人!『暴食のベルゲンド』である!」
魔王軍幹部?そんな強さには見えないが。
「テル!やばいよ!魔王軍の幹部だよ!ちょー強いよ!」
「大丈夫、なんとかなる。」
と思う。
「さてと、相手も素直に名乗ってくれてることだし、俺も名乗りますか。」
俺も構えて戦闘態勢に入る。
「俺の名前はテル=ハングル!アルファ王国イコール学園一年Sクラス主席にして、ハングル家次代当主だ!」
と俺が名乗り、戦闘に入った。
★★★★★★
勝負は長引き、死闘を繰り広げる・・・そう思われたが、勝負はあっさり終わった。
俺が魔力刃を撃ちまくり、ベルゲンドの腕や足が取れ本気を出す、というところでさらに魔力刃を撃ちまくり細切れにした。
はじめての手応えがありそうな敵だ!と思ったが、これは過去最大の手応えのなさだ。
他のパーティの人たちがその部屋に入った時、すでにことは終わっていた・・・。
こうして、王国存亡の危機は去ったのであった。




