お菓子な悪役令嬢は恋をしない
誰にでもトラウマってありますよね。
今回は異世界恋愛ものとなっています。
「アリス、私との婚約は破棄させてもらう。長年愛すと誓ったが、申し訳ない。」
きたきたきたー。
ようやくこの瞬間がきた優越感で、心が満たされた。
「ダニエル様、了解いたしました。私を殺すなり、追放なりいたしてください。」
もちろん、快く了承した。
なぜなら、私は悪役令嬢。
天より与えられた使命は全うすべきだ。
例え、この身を犠牲にしたとしても。
2度目の人生だから…。
―アリスが転生する前、高校3年の冬―
「下がってください、危険です。」
「ミサキー、ミサキー」
どれだけ手を伸ばしても、彼女の元に私の手は届かなかった。
ミサキは、自殺した。
この日は、私に彼氏ができた日でもあった。
彼は、運動も勉強もでき、容姿も整っており、女子生徒からは注目の的となっていた。
私とミサキも彼にひかれていた。
そのため、休み時間は彼の話でもちきりだった。
今日はバレンタインデー。
私とミサキは心を躍らせていた。
自分の気持ちを相手に直接伝えることができる日だからだ。
お互い、丹精込めた手作りのチョコを持ち寄っていた。
「俺、お前のこと好きだったんだ。付き合おうよ。」
この日、チョコさえあげなければ、その後悔は今も続いている。
ミサキは死んだ。
私のせいで…。
彼女のいない世界で生きるのは、耐えられなかった。
そして、私もミサキの後を追うようにして、自殺した。
目を覚ますと地獄が待っているかと思いきや、私の前には母のようなオーラを放った天使が現れた。
「あなたは今日から悪役令嬢よ。後の事はあなたが考えなさい。信じる道に光は届くでしょう。」
私はとんでもないことをしてしまった。
その償いをすることは当然の道理である。
今の私はダニエル様を愛している。これは紛れもない事実。しかし私には恋をする資格はない。
これまで多くのひどいことをした。そして、悲しんだ―――
「私、私は!」
私はダニエル様の手を引き、叫んだ。
「今までの数々のご無礼をお許しください。私は、私の心はいつもあなたの基にありました。でも…」
「ようやく、君の本音を聞けたね。普段の君は君じゃない事なんて長年の付き合いだからわかっていたよ。この婚約破棄は偽りの君との決別だったんだ。」
私は顔を上げ彼の顔を見た。
彼の笑みはまぶしく、私の心を照らした。
「アリス、僕と婚約してくれないか。」
「はい、喜んで!」
どうしてだろう、何もかも終わらせるはずだったのに。
私はポケットから手作りのお菓子を出し、彼に渡した。
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異世界短編、”婚約破棄されたので、悪役令嬢になり仕返しします。~何があってももう遅いので、私に恐れおののきなさい~”も大好評ですので、合わせてお読みいただけると幸いです。




