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初詣

これからよろしくおねがいします!!



「あぁ……今年も1人かぁ……」


 今年も去年と同様、


『今年こそは彼女が出来ますように』


 祈りに来たんだが.......


 はぁ.......神様なんているのかなぁ.......


 居るなら運命の人に合わせてくれねぇかなぁ?


 今すぐに!!……


 出てくるわけないかぁ。


 そんなことを考えながら特に用事もなかった俺は神社の敷地内を探索することにして歩き回っていた。


「.......さいっ」


 ん?


 神社の中の奥の方にあった別の神社的な所の社の後ろから微かに声が聞こえてくる。


「やめてくださいっ」


 柱から覗き込んみると見た目がいかにもチャラい男3人がその巫女さんを囲んでいた。


 その中の1人が近付いていき服に手をかけた。


 ビリビリビリッ


「きゃぁぁぁっっっ」


「ほらほら〜もっと大きな声で叫ばなきゃ人来ないよぉ?こんな暗い境内の裏になんて人なんて来ないんだからさぁ」


 いや、俺は来てます。


 ってそうじゃなくて。え、これってまさか巫女さん襲われてる?!い、いや、まさかね。こんな新年からなんて.......なにかの撮影かな?


 そう思い周りを見回すが、カメラは特に見つからなかった。


 いや、カメラ自体はあったがテレビとかの撮影では無いのだろう。


 だって、襲ってる男たちの一人があられも無い姿の巫女さんを写してニヤニヤしているのだから。


 というか、よく見てみたらそいつら斎藤たちじゃねぇか。


 マジかよ.......知らないような人でも助けになんて入る勇気なんてないのに。それどころか日頃俺の事いじめてくる奴らだなんて.......


 そんな事考えて、躊躇していたら巫女さんの服はもう服としての機能を果たさないほどボロボロにされていた。


「えーと皆さん、服は破りましたが何かして欲しいことはありますか〜?して欲しい事コメントで言ってくれたら出来るだけはするからな〜」


 斎藤の取り巻きの一人のカメラを持っていたやつがそんなことを言っていた。


 ま、まさかあいつら、なんかに放送してんのか?!


「やめて.......誰か助けてよぉ.......」


 巫女さんが俺にギリギリ聞こえるくらいの声で助けを求めていた。


「あはははは。そんな声じゃ助けなんて来ないって〜」


 コメントに要望が来たのかカメラをもっていたやつが斎藤に近寄って何かを言っていた。


「え?泣かせろって?やばい奴もいるもんだなぁ」


 すると、斎藤はポケットからカッターを取り出して巫女さんに近寄っていく。


「君のことよく知ってるわけじゃないから何したら泣かせれるかわかんないけど。とりあえずその頑張って手入れして伸ばしてる髪、バッサリいっちゃおっか」


 その子の長く綺麗な髪の先を掴みカッターを近付ける。


「い、いやぁ.......やめてください.......」


 もう、巫女さんは泣きかけの声だった。


「おっとぉ?もう泣いちゃってるの??面白くないなぁっと」


「あぐ」


 ばんっ


 斎藤が巫女さんを蹴り飛ばしていた。


 巫女さんが壁にぶつけられた振動がこちらまで伝わってくる。


「ほらほら、もっと悲鳴あげてくれなきゃさぁ。そんなよく見ないと泣いてるかどうか分かんないくらいのなんて誰も求めてないんだよ」


 ドスッ、バシンッ


「やめて……お願いします……」


 それを俺は見ているしか出来なくって。助けに行こうと踏み出そうとしても足が動いてくれることは無かった。


「おうおう、俺なんかにお願いなんてしちゃっていいのかよ神様に俺たち人の願いを伝える巫女様がよぉ」


 遂にその子の髪を掴みあげカッターで切ろうと刃をチラつかせるように巫女さんの前に出していた。


「いや、いやぁ……誰か助けてよぉ!!」


 その大声で助けを呼ぶ声が聞いた時、俺の足はやっと動いてくれた。


「あぁ?なんだ?」


 斎藤がなにか向かってくる気配に気付いたのかこちらを見てくる。


「はははっ。誰かと思ったら桜城さくらぎかよ。あ?何しに来たんだ?参加でもさせて欲しかったのか?って、痛えな!!何すんだよ!!」


 助けに出てきたはいいもののがむしゃらに飛び出てきたせいか足が止まってくれず、斎藤に激突してしまう。


 激突した時に斎藤がコケて俺は止まれたので他の奴らが状況を受け止めきれず、ポカーンと呆けているうちにその巫女さんを抱え、走って逃げる。


 こんな季節にほぼ裸だったのできちんと上着を着せてあげる。


 とりあえず一番近くのおみくじなどを売っている建物の裏まで走っていき、裏口をドンドンドンッと叩く。


 中から別の巫女さんが出てきて俺の事を見てくる。


 そして、俺の腕の中にいた子を見て目を見開いてこちらへ駆け寄って来た。


 その襲われていた巫女さんは余程怖かったのか震えて何も喋らなかったので、その巫女さんに預けて斎藤に見つからないように急いで家に帰ることにした。


「え、あ、ちょっとっ!!」


 後ろから声がかけられた気はするが、俺は走って家へと帰った。


 上着を巫女の子に被せたのでとても寒かったが逆に体を温めようと走り続けれたのでこれはこれでいっかと思うことにする。


 俺はもう先のことを考えたくなくて家に着くと布団に入りすぐに寝入ってしまった。







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