鏡
暇すぎィ!
「さて、準備が出来た。今からお前の魂を別世界に転送する」
お、ようやくか。随分と待ったぞ。
「そして何も知らないお前には一つサービスを施してやろう」
本当にお決まりのような展開だな。しかしその実俺は興奮しているのには間違いないだろう。ずっと創造でしか有り得ないと考えていたことがもうすぐ体感できるのだ。
「私が与えるのはある一つの【特権】である。それを持つ者と持たざる者では天と地ほどの差がある。それは本来ヒトがどんなに手を伸ばしても届かないーーー
【魔法】
をお前に与えようと私は思う。断ることもできるがどうする?全てはお前の選択次第だ」
俺の答えは言うまでもなく決まっている。勿論答えは「イエス」だ。そんなロマンの溢れる夢物語が実現するなら断るという選択肢はありえない。
「了解した。それではお前を【特権】付きで別世界へと転送する。少し酔うかもしれないがまあ我慢しろ。それではいくぞ」
そう言うと周りが輝き始めた。まだそして何も見えなくなるまで輝きが強さを増したと思った途端、世界が暗転した。同時に何か魂にまで揺さぶりかけるような衝撃に襲われた。俺はその苦しみにひたすら耐えた。
ーーくそ、もう限界だ…ーー
そうして俺の意識は途切れた。