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71話 飛空艇

 

「あの、テリアさん。短い間でしたけど、お世話になりました」

 瑠香はテリアに向かってぺこりと頭を下げる。

 ここは官邸内にある飛空艇と言う乗り物の乗り場だ。


 準備はすぐに済み、搭乗時間は目前に迫っていた。


「こちらこそ、官邸を守ってくれてありがとう」

 にこりと微笑み頷くテリア。


「本当はもっと話していたかったのだが、飛空艇の出発の時間を遅らせる訳にも行かなくてね」

 少し残念そうな顔をしてテリアが言う。


「いいかい。仲間を見つけたらすぐにバベル帝国を離れるんだよ」

「はい」

 テリアの言葉に頷く瑠香。


「あと少しで離陸準備に入ります!」

 その時、搭乗員の一人がそう叫ぶ。


「また来てくれ。君たちなら歓迎しよう」

「ありがとうございます!」

 瑠香は飛空艇へと伸びる足場を上る。


「テリアさん、お世話になりました!」

 瑠香は飛空艇の扉の前で手を振る。

 小さく手を振り返してくれるテリア。


 そして扉が閉まる。


 その数分後、官邸から一つの飛空艇がバベル魔術帝国へ向けて飛び立ったのであった。




 飛空艇の内装はまるでホテルのようだった。


「わぁ! すごい!」

「きれいだにゃあ!」

 瑠香たちは興奮しながら機内の中を見て回る。


 隼人とリーはここにはいない。

 先程、『探検』と言って走り出してしまったのだ。


 問題を起こしてないと良いが。


「高いですね……」

 恐る恐る、と言う風に下を覗き込み茉菜が言う。


「高いのにゃ! すごいのにゃ!」

「うん、すごい! 一華、見て……」

 興奮したように言うティアと頷き、瑠香は一華の方を向く。

 その言葉は、途中で止まる。


 一華はぐったりとしたように椅子に座っていた。

 その隣には、同じような様子の日和がいる。


「わ、私、高いの、苦手……」

 青い顔をして一華が言う。


「わ、私も……」

 げっそりとした顔で日和も言う。

 その足は小刻みに震えている。


 互いの呟きを聞いた一華と日和は、顔を見合わせてがっしりと手を握り合う。

 何か通じ合うものでもあったのだろう。


 瑠香たちは今、自分たちに与えられた一室にいる。

 この飛空艇は大統領私有の物らしく、ウィスターたちと瑠香たちに乗客はいない。

 だが、飛空艇の中にはあまり部屋がないそうで、瑠香たちは全員同じ部屋になった。


 と言っても、部屋の中はかなり広く、二段ベッドが四つも置いてあった。

 他にもソファやテーブルなども置かれていて、中々充実している。


 瑠香たちが下を見てはしゃいでいた、その時。

 部屋の扉がガチャリと開く。


 入ってきたのは隼人とリーだった。

 その後ろにはフェイルがいる。


 その顰められた顔を見て、瑠香は隼人たちが何か問題を起こしたことを悟る。


「くっそ、もう少しで操縦席に行けたのに……」

 残念そうに肩を落として隼人が言う。

「残念やなぁ」

 その横でくつくつと笑うリー。


「行かせるわけないでしょう。少しは大人しくしていてください!」

 二人に向かってピシャリと言うフェイル。


「「はぁーい」」

 肩を竦めて返事をする二人。

 その二人の返事に溜め息をつくフェイル。


「あの、フェイルさん」

 瑠香はフェイルに話しかける。


「何ですか?」

「こんな豪華な船に乗れるウィスターさんって、一体何者なんですか?」

 瑠香のその問いに表情を硬くするフェイル。


「それはお教えできません」

「そ、そうですか……」

 きびきびと答えるフェイルに肩を落とす瑠香。


「それでは、私は失礼いたします。くれぐれも、問題など起こさないように」

 フェイルは口早にそう言い、最後に隼人とリーを睨み付けて部屋を出て行く。


「なーんか、怪しいよな」

 腕を組み、フェイルが出て行った扉を見つめる隼人。


「仕方ないよ。私たち、部外者だし」

 肩を竦めて一華が言う。


「ぽろっと溢したりせんかな?」

「それはないでしょ。ウィスターさんが言うとは思えないし、フェイルさんも真面目そうだし」

 リーの言葉に苦笑して日和が言った。




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