53話 自己紹介をしよう
「──取り敢えず、情報を整理するぞ」
部屋に集まった十数人の少年少女を車座に座らせる充。
充は立ち上がって全員を見渡す。
「俺たちは、ユナイテッドの試験中に異世界に飛ばされ、その先でそれぞれと出会った。これで間違いないな?」
充の言葉に全員が頷く。
「互いにまだ名も知らない関係だ。まずは自己紹介から始めよう」
「ああ、それがいい」
充の言葉に珠輝が頷く。
そして立ち上がった。
「俺は上砂珠輝。飛ばされた異世界は『聖教世界』だ。そこでこいつらと会った」
珠輝は隣に座る三人を指して言う。
「で、ボクが『こいつら一号』のリーや。よろしゅうなぁ」
立ち上がり、おどけて言うリーと名乗った糸目の少年。
何故かリーは関西弁だ。
「私は『こいつら二号』のティアだにゃ! かわいいかわいい猫の亜人ですにゃあ!」
猫耳少女が立ち上がり、元気に言う。
尻尾と猫耳がぴょこぴょこと揺れる。
「私は『こいつら三号』……? の、碓氷実辰です」
前の二人の言葉を受け継いで、実辰と名乗った少女。
ペコっと頭を下げるとツインテールが揺れた。
すると、その隣に座った長身の美少女が立ち上がる。
「私は雷門日和。行った世界は『神獣世界』です。実辰とは友達です」
長い髪を払い、日和と名乗った美少女は言う。
その美しい仕草に、思わず全員が目を奪われる。
「俺は風谷隼人だ。転移した世界は日和と同じ『神獣世界』だ。珠輝とは友達だ」
立ち上がり隼人が名乗る。
そして歯を見せて笑う。
次に立ったのは一華だった。
「私は一華。焔一華です。珠輝、隼人とは友達です。行った世界は『陰陽世界』です。そこで、この二人と会いました」
凛とした声で名乗る一華。
そして自分の隣を指す。
「で、俺が気道心だ! 心でいいぜ! 実辰と日和は知り合いだ! んで、こっちが……」
一華の隣に座った少年が立ち上がり言う。
心と名乗った少年は、自分の隣の少女を見た。
「私はスズと申します。出身は『陰陽世界』です。心と一華は、と、友達です!」
心の隣に座る、金髪に緑の瞳の少女が立ち上がる。
『友達』の部分で頬を赤らめる、スズと名乗った少女。
スズが座ると、その隣の眼鏡を掛けた少女が立ち上がる。
「わ、私は、相水茉菜と申します……。気道くん達とは知り合いです。よろしくお願いします」
そう言い、茉菜と名乗った少女は頭を下げる。
そしてそそくさと座ってしまう。
「で、私が光坂凜です。茉菜と『魔法世界』で会いました。一華たちとは友達です」
微笑んで名乗る凜。
そして席に着く。
凛の隣に座った瑠香は立ち上がった。
次は瑠香の番だ。
「私は神条瑠香です。転移した場所は『海洋世界』です。凜たちとは友達です」
瑠香はそう言い頭を下げる。
そして椅子に座る。
なんだかとても緊張した。
「よし、これで全員だな」
瑠香の隣に座った充が頷き、立ち上がる。
「俺は澄洲充だ。瑠香と共に『海洋世界』に転移した。瑠香たちとは知り合いだ」
充はそう言い、締めくくる。
「なあ、ちょっといいか?」
その時、心が手を上げる。
「なんだ?」
「まだ紹介してない奴がいるんだよ。聞こえるかわかんないけど……」
充に言う心。
「おい、『イチヤ』」
『なんだい?』
虚空に声を掛ける心。
するとどこからともなく声がする。
ギョッとして辺りを見渡すが、誰もいない。
首を傾げる瑠香たち。
実辰たちが呆れたように溜め息をついている。
「イチヤ、喋ってみろ」
『そうだね……僕の名前はイチヤだ。みんなよろしく』
優しげな声が名乗る。
しかし、やはり姿が見えない。
「今の声が聞こえた奴は手を上げてくれ」
瑠香は手を上げる。
凛、一華、隼人、珠輝も手を上げる。
また、実辰、日和、茉菜、そしてリーが手を上げている。
だが、残された充、ティア、スズは首を振る。
「待て、声なんて聞こえないぞ」
「私も聞こえないにゃ」
「私もです……」
充、ティア、スズの三人が言う。
「やっぱり、聞こえる奴と聞こえない奴がいるんだな」
顔を顰め心が言う。
「おい、説明してくれるか?」
充が心に向かって言う。
「俺の魂に、もう一つ魂がくっついてるらしいんだよ。で、そいつには人格があるし喋ることも出来るんだ」
「それが、その『イチヤ』なのか?」
「ああ」
珠輝の問いに頷く心。
「にわかには信じ難いが……これだけの人数に聞こえてるんだ。幻聴ではないだろうな」
充が眉根を寄せて言う。
その時だった。
部屋の扉がノックされ、人が入ってくる。
その人を見て、瑠香は驚いた。
それは、先程瑠香たちを助けてくれたジャスティスだった。
「うお!? No.1ヒーロー!?」
「す、すげえ! ジャスティスだ!」
興奮したように立ち上がる心と隼人。
お互いに顔を合わせる二人。
そして互いに歩み寄ると、がっちりと手を組んだ。
「お前、気が合いそうだな!」
「ああ、お前もな!」
笑い声を上げ、肩を叩き合う二人。
それを唖然としてみる瑠香たち。
「盛り上がっているところ悪いんだけど、失礼するよ」
そう言い、瑠香たちの輪に近付くジャスティス。
そして、隼人と心に席に着くように促す。
素直に席に着く二人。
ぐるりと、瑠香たちを見渡すジャスティス。
そして口を開く。
「さて、どこから話したものか……。と、そうだ、まず初めに」
ポンと手を叩き、ジャスティスは悪戯っぽく笑った。
「第四次試験の合格おめでとう、とでも言っておこうかな?」




