49話 そして再会
「はッ!」
凛は、霊装を纏った拳を目の前の男に叩き付ける。
「ぐ!」
うめき声を上げて吹き飛ぶ男。
「おらッ!」
凛の背後から別の男が襲い掛かる。
「凜!」
茉菜が凜の背後に飛び込み、水で男を吹き飛ばす。
「ありがと! 茉菜!」
「お気になさらず!」
短く言葉を交わし、襲撃者たちへ向かって走り出す二人。
『魔法世界』から転移し、『異能世界』と思われる世界に到着した茉菜と凜。
転移した先は、人気のない地下街のような場所だった。
二人が出口を探そうと歩き出した時。
突然、怪しい一団が襲い掛かってきたのだ。
それに応戦する凜たち。
凜たちは『心体技』を習得している。
それに対して、相手は『心』すら出来ていない。
だが、襲撃者たちも異能を持っていた。
質では凜たちの方が勝っているが、量では敵の方に軍配が上がる。
状況は五分五分と言ったところだ。
いつの間にか敵に囲まれてしまう凜と茉菜。
じりじりと包囲網を縮めてくる異能犯たち。
「──どうしますか」
背中合わせになる二人。
茉菜が少し焦ったように訊く。
凛は目を閉じた。
凜は知っている。
自分の能力がいかに危険かを。
だが、このままでは茉菜が危ない。
凛は覚悟を決めた。
「茉菜、私が能力を使う。衝撃に備えて」
「──わかりました」
頷く茉菜。
凜は片腕を掲げる。
「──〝光彩〟」
その腕に光が灯る。
「かかれ!」
襲撃者の一人が叫ぶ。
それと同時に動き出そうとする襲撃者たち。
だが、それよりも先に。
「“黄色光線”!」
凛が叫ぶ。
掌の光が瞬く。
そして、発射される光線。
凜は光線を天井目掛けて放った。
天井に円を描く光線。
凜たちを取り囲む襲撃者の、真上にある天井が爆散する。
瓦礫が崩れ落ち、異能犯たちに降り注ぐ。
悲鳴を上げる襲撃者たち。
「行こう、茉菜!」
「はい!」
まだ残っている襲撃者たち目掛けて走り出そうとする二人。
その時だった。
押し寄せる襲撃者たちの向こうで怒号と悲鳴が上がる。
「なんだ!?」
「こっちにもいるぞ!」
異能犯罪者たちが叫んでいる。
どんどんと騒ぎがこちらに向かって来ている。
「な、何……?」
唖然としてそちらを見る凜。
襲撃者たち吹き飛んでいるのが見える。
何かが近付いてくる。
「ぐはッ!」
「ギャアアアッ!」
凜たちの目の前にいた襲撃者たちが吹き飛ぶ。
異能犯の一団の中から、三人の人影が飛び出してきた。
一人の少年と、二人の少女。
凜は、そのうち一人に見覚えがあった。
木刀を持つその少女の名を、叫ぶ凜。
「一華!?」
その声を聞き、驚いたようにこちらを見る一華。
「凜!?」
目を見開き、叫ぶ一華。
「茉菜か!」
「気道くん!」
飛び出してきた少年が茉菜の名を呼ぶ。
茉菜も驚いたように言った。
「茉菜、知り合い?」
「はい」
凛の問いに頷く茉菜。
そして、一華の方を見る。
「そちらの方は……」
「うん、私の知り合い」
茉菜に頷き掛け、凜は一華の方を向く。
「一華、その二人は?」
「大丈夫。二人とも味方だよ」
凜に向かって頷く一華。
「よし、お前ら! よくわかんねーけど、協力するぞ!」
茉菜の名を呼んだ少年が叫ぶ。
「わかった!」
「はい!」
頷き、走り出す一華と茉菜。
「スズ、行くぞ!」
「はい!」
スズと呼ばれたもう一人の少女が、少年と共に異能犯の一団に飛び込む。
凜も走り出し、その後に続いた。




