27話 逃走劇
凜は走る。
全速力で。
──ファンタジーのような街並みの中を。
「ど、どうして、こんな、ことに!!」
ここに至るまでの経緯を話そう。
ユナイテッドの試験に無事合格し、奥の部屋へ向かった凛。
そこで、ユナイテッドの本部へと繋がっている、転移結晶なるものに触れたのだ。
しかし、転移した場所は全く別の場所だったのだ。
見たことのない造りの家々。
少し凹凸のある石畳。
そして、少し先に見える巨大な城。
まるで、ファンタジーの世界に飛び込んでしまったようだ。
だが、転移する位置が悪かった。
ちょうど開かれていた、市場のようなものの上空に転移してしまった凜。
そのまま落下し、文字通り市場に飛び込んでしまったのだ。
飛躍した身体能力で無事に着地した凜だが、露店のほうは無事とはいかなかった。
市場が破壊され、当然人々は大混乱に陥る。
その騒ぎを聞き付け、衛兵が集まってきてしまったのだ。
そう、衛兵だ。
甲冑を身に着け、剣や槍などで武装した衛兵たちだ。
当然、違う服をまとった凜は目立つ。
真っ先に標的にされた凜は、現在衛兵に追われている最中と言う訳だ。
だが、凛の身体能力に衛兵は追い付けていない。
なので、走りながらも思考する暇がある。
ここは、一体どこだろうか。
街並みを見る限り、ユナイテッドの世界でないことは明白だ。
ならば、別の『異世界』か。
だとすれば、現地の人に詳しく話を聞かなければならない。
そうしなければ、帰る方法も分からない。
誰ならば、知っていそうだろか。
辺りを見渡した凛の目に、巨大な建造物が飛び込む。
「お城なら、──知っている人がいるかも」
そう言い、立ち止まる凜。
そして、城に向かって再び走り出した。




