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19話 『異能世界』にて

 


「なあ! さっき、ヒーローがいたんだぜ! 強盗を、こうやってドカーン! って!」


 玄関の扉を開けるなり、大声でそう言う心。


「はいはい、すごいすごい」

 雑誌を読みながら、顔を上げずに日和が言う。


「No.2だぜ! すんげー強かったんだ!」

「それで気道くん、食材は……」

 茉菜が困ったように心に言う。


「おう、買ってきたぜ。ほら」

 そう言い、手に持っている袋を掲げる心。

 どう見てもコンビニの袋だ。

 嫌な予感がする実辰。


 実辰は袋の中を覗き込んだ。

 やはり、中身はコンビニ弁当だ。

 溜め息を吐く実辰。


「あんた、これコンビニ弁当じゃない!」

 同じく袋の中身を見た日和が叫ぶ。


『ごめんよ。僕は止めたんだけど……』

 申し訳なさそうに言うイチヤ。

「あ? 別にいいだろ。旨いんだし」

 悪びれることなく言う心。


 他の物を作ろうにも、今朝食材が尽きてしまったのだ。

 それで、心が食材を調達しに行ったのだが、買ってきたのはコンビニ弁当だけ。

 どうやら、今夜はこれで我慢するしかなさそうだ。





「そういや、アレンから連絡が来てたぞ」

 夕食のコンビニ弁当を食べていると心が話を切り出す。


「へえ、アレンさんはなんて?」

「明日、なんちゃら資格の試験があるから出て来いってさ」

「なんちゃら資格?」

『異能使用制限特殊免除資格のことだよ』

 実辰が首を傾げると教えてくれるイチヤ。


「そうそう、それだそれ」

 頷く心。

「手続きはもう済ませてあるってよ」

「それって半ば強制じゃ……」

 辟易した顔をする日和。


「それで、それはどこで行われるんですか?」

 茉菜が心に訊く。

「えーと、イチヤ、どこだっけ?」

『Aスタジアムだよ』

「だってよ」

 頷く心とため息を吐くイチヤ。

 とても、気の毒だ。


『けど、Aスタジアムとなると少し遠いね』

「アレンが連れてってくれればいいんだけどな。忙しいらしいぜ」

 イチヤの言葉に心が言う。


 実辰たちをこの『異能世界』に連れてきたのはアレンだ。

 アレンが実辰たちを転移させるときは、謎の結晶のようなものを使っていた。

 あれは、世界を転移できる道具らしい。


 しかし、それを持っているアレンは今ここにはいない。

 アレンは、実辰たちがユナイテッドの審査を合格したのを見届けると、この部屋に案内しどこかへ行ってしまった。


 幸い、ユナイテッドから渡された水晶指輪というものにはアレンからの多額の援助金が振り込まれていたため、生活に困ることはなかった。


「アレンさんって、一体何者なんだろうね」


 純粋な疑問を口にする実辰。


「確かに。いっぱいお金持っているし、何してる人なんだろう?」

 日和も首を傾げる。


「それだけじゃないぜ」

 心が首を振り、言う。

「恐らく、ユナイテッドにデカいコネがある。じゃなきゃ、こんなすんなり受け入れられたりしないだろ」

「言われてみれば、受け入れまでスムーズ過ぎましたね」

 心の言葉に茉菜も頷く。


「だろ? ま、何者かは余計分からなくなったけどな」

 それもそうだ。

 実辰たちもアレンを信頼してはいるが、まだアレンのことについては何も知らない。


「それで、お前らは出るか? なんとか資格の試験」

 覚える気がない心に一同は溜め息を吐く。


「出るしかないんでしょ。なら出るわよ」

 溜め息混じりに答える日和。


「よし、そうと決まれば作戦会議するぞ!」


 一人で盛り上がる心を横目に、実辰たちは大きく溜め息を吐いた。



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