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192話 VSアルゼンク戦 決着


「“黄色光線(イエロー・レーザー)”っ!」

 その声と共に飛来するレーザーを、アルゼンクが飛び退ることによって回避する。

 一華は驚いてレーザーが飛んできた方向を見る。

 

 そこには民家の屋根に立つ見覚えのある姿があった。

 

「凛!」

 その姿を見て叫ぶ一華。

 

「ごめん、一華! 外しちゃった!」

 こちらを見て同じように叫ぶ凛。

 そして民家の屋根を、忍者のように軽々と飛びながら一華の方に走ってくる。

 

「あれ、誰?」

「多分悪い人。人をケガさせてる」

「それなら見たかも。今茉菜が手当てしてくれてる」

 一華の言葉に、凛が目を見開いて頷く。

 

「そっか、よかった。なら、あいつの相手は」

「うん、私たちだね」

 二人は頷き合うと屋根の上からアルゼンクを見る。

 

「待ちくたびれたよー。降りてきてくれなーい?」

 アルゼンクは頭の後ろで腕を組み、退屈そうにこちらを見ていた。

 

「凛、援護をお願い」

「わかった。一華は?」

「私は下に行く」

 凛が頷くのを見て一華はそう答え、屋根から飛び降りる。

 

「ねえねえ、さっきのは友達? かわいいねえ。何て名前?」

 スタッと地面に降り立つ一華に、にやにやと笑いながらアルゼンクが問いかける。

 

「あなたに教えることなんて、何もない」

「ちぇ、つれないな」

 一華の答えにそうぼやくとアルゼンクの周りの刃が一斉に鎌首をもたげる。

 

 そして一気に放たれる刃の群れ。

 

 それを木刀で叩き落す一華。

 

「あれ?」

 そこで少し驚いたような顔をするアルゼンク。

 

「さっきまで避けるだけだったのに。どういう心境の変化?」

 その問いに木刀を目の前で構える一華。

 

「さっきまで、あなたが傷つけた生徒がどこにいるかわからなかった。だから、全力を出せなかった」

「んん? さっきまで本気出してなかったってこと?」

 一華の言葉に首を捻るアルゼンク。

 

「全力を出したら、どうなるっていうのさ?」

 アルゼンクのその言葉に一華は目を細める。

 

「火傷じゃ、済まない」

 そう言い、息を吸い込む一華。

 

「“炎武(えんぶ)”」

 呟く一華。

 その周りに炎が纏わりつく。

 

「──爆ぜろ」

 そして、思い切り地を蹴る一華。

 

「“烈火(れっか)”っ!!」

 叫ぶ一華の周りで、爆発したように炎が噴き出す。

 

「ッ!? まずい!」

 それに驚いたようにアルゼンクが目を見張る。

 その身の周りの刃が、アルゼンクを守るように覆う。

 

 そこに、一華の炎を纏った木刀の一撃が衝突する。

 爆炎が吹き上がり、あたり一面を火の海に変える。

 

「くそッ!」

 アルゼンクは熱に耐えかねたのか、そう罵ると飛び退る。

 

「凛っ!」

 それを見た一華は上空に向かって叫ぶ。

 

「“赤色爆発(レッド・ボンバー)”っ!」

 同時に叫び声が響き渡り、赤色の光が一筋放たれる。

 その光はアルゼンクの刃に激突すると大爆発を引き起こした。

 

 爆発の中でアルゼンクが背後に吹き飛ばされるのが見えた。

 そのまま背後の民家の塀に激突するアルゼンク。

 

 スタンッと一華の横に凛が降り立つ。

 纏った炎を一時的に消す一華。

 

「やったかな」

「ううん、多分まだ」

 凛の言葉に一華は首を振る。

 

「あははッ、はははははッ、君たちやるねえ! 楽しくなってきた!」

 笑い声と共に、煙の中から歩み出るアルゼンク。

 

「『使える』相手。しかも二人。なら僕も使わないと失礼ってものだ!」

 両手を広げるアルゼンク。

 その身を覆う霊装。

 

 それを見て一華たちは目を見開く。

 

「あははッ、いいね! その顔が見たかったんだ!」

 その声と同時に放たれる刃。

 当然、その刃全ても霊装を纏っている。

 

 凛と共に背後に飛びそれを避ける一華。

 ズガガガガッ、という音と共に地面が抉れていく。

 

「あははッ、さすがに避けるしかないでしょ!?」

 その言葉に唇を噛む一華。

 霊装を纏った刃。

 一本を弾くくらいなら問題ない。

 だが、あれだけの量を弾き飛ばすのは無理だ。

 

 霊装を纏ったことによって、威力も速度も先程より格段に上になっている。

 避けるしかない。

 

 凛と一華が回避に専念しているその時。

 

「──“水砲(すいほう)”っ!」

 そんな叫び声と共に、何かが飛来する。

 それを一瞥し、身にまとった刃で弾くアルゼンク。

 

「茉菜っ!」

 それが飛来した方向を見て凛が叫ぶ。

 

「お二人とも、援護します!」

 そこには民家の屋根に立ち、叫ぶ茉菜の姿があった。

 

「二人でも三人でも、同じことさ!」

「──それはどうでしょうか」

 叫ぶアルゼンクに茉菜が言う。

 

「“魚水拳(ぎょすいけん)”っ!」

 そう叫び、屋根の上から拳を振るう茉菜。

 その拳から、水でできた魚のようなものが放たれる。

 

 それは一直線にアルゼンクに向かって飛んでいく。

 

「ふん! そんなので、いったい何がッ!」

 それを刃で弾き飛ばそうとするアルゼンク。

 

 しかし。

 水の魚は猛スピードでその刃の波をすり抜けていく。

 

「なッ!?」

 それを驚愕したように見るアルゼンク。

 

「先程放った“水砲(すいほう)”はわざと自分で弾けさせました。あなたに、水も弾けるという先入観を持たせるために」

「くッ!!」

 だが、アルゼンクは瞬時に自分の身の回りに刃を集中させる。

 その刃の鎧には、一寸の隙も存在しない。

 

 そこに茉菜の放った魚が衝突する。

 弾け飛ぶ水。

 

「ははッ! これで終わり? 大した事──」

 大した事ない、と言いかけたアルゼンク。

 しかし、その言葉は驚愕によって止まる。

 

 木刀を構えた一華が、その懐に迫っていたからだ。

 

「この隙を、狙っていた。あなたが刃を一点に集中させる、この瞬間を」

「くッ!」

 一華が木刀を振り抜こうとしたその瞬間、一本の刃が一華の眼前に迫る。

 

「僕が、万が一を考えないとでもッ!? 一本くらい残っていれば君程度ッ!」

 しかし、それを見て一華は不敵に笑う。

 

「あなたも忘れている。私にはまだ仲間がいる」

 その瞬間。

 

「“黄色光線(イエロー・レーザー)”っ!」

 一閃の光線が一華の頬の横を通り抜け、その刃を弾き飛ばす。

 

「ッ!? くそッ、霊装ッ!!」

 最後の攻撃手段を凛に封じられたアルゼンクは全身に霊装を纏う。

 

 それを。

 

「“砕鎧(さいがい)”っ!!」

 一華の振り抜いた木刀が打ち砕いた。

 

 声も上げず吹き飛び、塀に叩き付けられるアルゼンク。

 その瞬間、その身から生えていた刃が消え失せる。

 

 白目をむいて気絶しているアルゼンクを見て一華は頷き、背後を振り返る。

 

「よし、勝ったね」

「よし、じゃないよ!? 一華、私がレーザー撃たなかったらどうするつもりだったの!? それに私が外して一華に当たる可能性だって──」

「でも、撃ったし、外してもない」

「それは私が頑張ったからっ!」

 ぷんぷんと怒る凛とそれを宥める茉菜を見て、一華は首を傾げた。

 

 


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