表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

195/205

190話 VSアデューラ戦 決着


「“A(アストロ)”ッ!!」

 空中から急降下してきた心がアデューラの後頭部を思い切り殴りつける。

 轟音と共に地面に叩き付けられるアデューラの体。

 

 心はすぐにアデューラの傍から飛び退き、スズに向かって駆け寄ってくる。

 

「立てるか、スズ!」

「──は、はい!」

 よろめきながら立ち上がるスズを心が脇から支えてくれる。

 

「ありがとうございます、心」

「悪ぃな、遅くなっちまって」

 心を見上げて礼を言うスズに笑いかける心。

 

『──心』

 その時、イチヤが声を上げる。

 その声に舌打ちをする心。

 

「ちッ、道理で硬ェと思ったんだ」

 そしてアデューラの方を振り向く。

 

「使えんのか。霊装」

「キヒヒヒヒッ! いいねいいねェ! こんなに殺してもいいなんてェ!」

 そこには耳障りな声を上げて立ち上がろうとしているアデューラの姿があった。

 

「楽しくて仕方がないよォッ!」

 そう叫ぶと、刀を振り回し心たちに突進するアデューラ。

 

「ちッ、“D(ドライブ)”ッ!」

 心はそれを見ると顔をしかめてスズの体の下に手を差し込み、その体を軽々と抱き上げる。

 

「ひゃっ!?」

「悪ぃ、スズ! ちょっと揺れるぞ!」

 驚きに思わず声を上げるスズに心は叫ぶと、地を蹴って駆け出す。

 

 その直後、背後から爆音が聞こえる。

 突進してきたアデューラが大樹を蹴りつけ、粉砕した音だ。

 

「なんだ、ありゃ!」

『とんでもない威力だ! 直撃は避けた方がいい!』

 驚いたように目を丸くする心にイチヤが叫びかける。

 

「心! あの人の能力は重さを操ることです! 物を軽くしたり、重くしたりできます!」

「重さか!」

『恐らく、自分の体も重くできるんだ! そして──』

 心の腕の中でスズは叫ぶ。

 それに一瞬驚いたような表情を見せた後、すぐにイチヤの言葉を聞き顔をしかめる心。

 

「──軽くも、できるって訳か!」

 その言葉に心の背後を見るスズ。

 そこには、心のすぐそばまで迫るアデューラの姿があった。

 

「キヒヒヒヒィッ!」

 その速度は、心よりも少しだけ早い。

 

「ちッ! “D(ドライブ)”に追いつけんのかよ!」

『まずい、追いつかれるぞ!』

 心の叫びに対し、イチヤが切迫したような声を上げる。

 

「心、私を置いて逃げてください! あなただけでも!」

「うるせェ! 俺は! 仲間を! 絶対、見捨てねェ!」

 そう叫ぶと速度を緩めず、心はスズを担ぎ上げる。

 

「おい、クソ眼鏡ェ! スズぶん投げるから、キャッチしろッ!!」

「え、きゃあっ!?」

 心は森全体に響き渡るような大声で叫ぶと、担いだスズを思い切り前方に放り投げた。

 

 先ほどアデューラに吹き飛ばされた時以上の速度で宙を舞うスズ。

 そのまま地面にぶつかると思ったその瞬間、ズボッという音と共にスズの体は何かに受け止められる。

 

「こ、これは……」

 それを見てスズは目を丸くする

 砂の壁が起立し、スズの体を衝撃から守っていた。

 

「っ、心は!」

 しかし、すぐにスズは心のことを思い出す。

 

 心は、スズを放り投げたその場所で、スズに背を向けて立ち止まっていた。

 

「心!」

 スズが叫ぶと心は顔だけで振り返り、ニッと笑った。

 

「心配すんな。絶対に勝つ」

「キヒヒヒヒィッ!」

 その眼前に迫るアデューラ。

 

 左拳を振り上げて、それを心に叩き付けたようとしている。

 

『心!』

「ああ!」

 刹那、心は振り返り、腰だめに右拳を構える。

 その拳がどんどん巨大化していく。

 

「“G(ギガント)”ッ!!」

 そして叫び、巨大化した拳をアデューラ目掛けて叩き付ける心。

 心とアデューラの拳がぶつかり合い、凄まじい衝撃波が発生する。

 

「キヒヒ、まだだよォッ!!」

 しかし、アデューラは厭らしく笑い、右手に持った刀の切っ先を心に向けて突き出す。

 

 心に迫る刀。

 それを見た心は、目を見開き、そして。

 

 不敵に笑った。

 

「眼鏡、援護しろッ!」

「ちッ、さっきから、人を便利屋扱いするな!」

 心が叫んだ瞬間、その背後の足元から珠輝が飛び出し、心の脇から手を突き出す。

 その手のひらに刀が触れた瞬間だった。

 

 珠輝の腕がザッと崩れ、刀の切っ先を飲み込む。

 

「“砂鎧(すなよろい)”ッ!!」

 珠輝がそう叫んだ次の瞬間、その腕が砂のままガキンッと硬質化する。

 

「なッ!? ぬ、抜けないィ!?」

 刀を抜こうとしたアデューラが焦ったような叫びを漏らす。

 そのアデューラの顔面を、心が左手を突き出して鷲掴む。

 

「終わりだァッ!!」

 そして叫ぶ心。

 

「“I(インパクト)”ォォォォォォオオオオオッ!!」

 その瞬間、その掌から凄まじい衝撃波が放たれる。

 折れた歯の破片や噴き出した血を撒き散らしながら、アデューラが後ろに吹き飛び、地面に倒れる。

 

 そのまま起き上がってこないのを確認し、心がガッツポーズをとった。

 

「うし、勝った!」

「なんとかな」

 その横で手を振りながらすげなく言う珠輝。

 

「けッ、これだから眼鏡は」

「心!」

 肩を竦めてそう言う心に駆け寄り、飛びつくスズ。

 

「無事で、よかった……っ!」

「おいおい、そんな泣くなって!」

 心を抱き締めて泣き出すスズに慌てたような顔をする心。

 

『なんだか、締まらないなぁ』

「いつものことだ」

 呆れたようにそう言うイチヤに、肩を竦めて珠輝が言った。

 

 

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ