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189話 瑠香&充VSカラー

 

 瑠香に手を伸ばすカラーへ向かって威嚇射撃をした充は、すぐに瑠香の方へ向き直る。

 

「立てるか、瑠香!!」

「うん!」

 その声に瑠香は頷き、すぐに立ち上がると飛び退りカラーから距離を取る。

 

「く、くく……」

 瑠香から離れた位置でカラーが肩を揺らして笑う。

 

「は、はははッ! ははははははッ!!」

 天を仰いで哄笑するカラー。

 

「やっぱり、いい! 君たちは、僕が!」

 そう言い、瑠香に顔を向けるカラー。

 

「殺して、あげなきゃッ!!」

 そう叫び、カラーは地を蹴る。

 ぐんッと瑠香に迫るカラー。

 

「“瞬速弾(シュネル)”ッ!!」

 その瞬間、破裂音と共に充が叫んだ。

 充が放った弾丸は、カラーが瑠香の元へと辿り着くよりも前にカラーに迫る。

 

 それを見て、驚いたように目を見開くカラー。

 しかし、瞬時に腕を上げ、カラーはその弾丸を弾き飛ばした。

 

 充を見て凄惨な笑みを浮かべるカラー。

 

 だが、その笑みは再び驚きに彩られることになる。

 カラーが瑠香から目を外したその瞬間に、瑠香がカラーに高速で接近したからだ。

 

 その次の瞬間、瑠香の拳がカラーのがら空きになった腹に叩き付けられる。

 

「とっ──たぁっ!」

 拳を振り抜く瑠香。

 そのあまりの威力にカラーは後ろに吹き飛ぶ。

 そのまま背後の建物に叩き付けられるカラー。

 

「──よしっ!!」

 震えを抑えて拳を握る瑠香。

 正直、恐怖は消えていない。

 

 だが、一発。

 たった一発。

 それでも。

 

「はいった!」

 叫ぶ瑠香。

 

「まだだ、瑠香! 畳み掛けるぞッ!!」

 既にカラーに向かって走り出しながら、瑠香に向かって叫ぶ充。

 

「──うんっ!」

 瑠香は頷くと充と同様に走り出した。

 

 壁に叩き付けられたカラーは、既に起き上がろうと地面に手をついていた。

 そんなカラーに向かって疾駆する瑠香と充。

 

 周囲がスローに見える。

 音が聞こえない。

 それほどに、瑠香は集中状態にあった。

 

 頭を垂れたカラーの微かに口が動く。

 その顔は顔に掛かる白い長い髪のせいで見えない。

 

 相変わらず、周囲の音は聞こえない。

 しかし、そのか細い、どこかに消えてしまうはずだった声は、瑠香の耳に届いた。

 

 届いて、しまったのだ。

 

 

「──か、お姉、ちゃ──、僕を、見……」

 

 

 その瞬間、瑠香の脳内で何かが弾ける。

 激しい頭痛と共に、目の前で光が瞬く。

 それは、いとも容易く、瑠香の集中力を奪った。

 

 そしてコントロールを無くした、全力で疾走を続ける肉体は。

 

 ──簡単に、暴走した。

 

 足がもつれる。

 体が勢いのまま前に投げ出された。

 

 受け身も取れないまま、地面を転がる瑠香。

 

「──瑠香ッ!?」

『──おいッ!?』

 充と世界軸の驚愕したような声が遠く聞こえる。

 

 あちらこちらを打ち付けながら瑠香は転がり、やがて止まる。

 

 朦朧とした意識の中、痛みに呻きながら、うっすらと目を開ける瑠香。

 ぼやける視界の中、青い光が見える。

 

 

 ……どこかで見たような色だ。

 

 ……そうだ、あれは幼い頃、雨の日に。

 

 ……町の近くの森の茂みの中で見た×××の……

 

 

「瑠香!! 避けろ、瑠香ッ!!」

『瑠香!! おい、瑠香ッ!!』

 不意に聞こえたその叫びにふと我に返る瑠香。

 

 狂気に満たされたカラーの青い瞳が瑠香を覗き込んでいる。

 その腕は、瑠香の頭上で高く掲げられていた。

 

「はははははははははははははははははははははははッ!!」

「瑠香ぁああああああああああああああああああああッ!!」

 カラーの耳障りな哄笑と、充の悲痛な絶叫が重なる。

 

 そして、振り下ろされるカラーの拳。

 

 その時だった。

 

 瑠香の胸元で、何かが温かく光る。

 同時に、ギィイイイイイインッと音が鳴り、カラーの拳が弾かれる。

 

 驚愕して目を見開く瑠香。

 

 次の瞬間、その場を飛び退くカラー。

 少し遅れて破裂音が響き、充の放った銃弾がカラーが元居た場所を通り過ぎる。

 

「これは……」

 目の前を見つめる瑠香。

 そこには、半透明の壁がある。

 その半透明の障壁は、カプセルのように瑠香を覆っていた。

 

 瑠香が手を伸ばすと、その壁は瑠香から一定の距離を保とうとするかのように大きくなる。

 

 瑠香は目を落とし、胸元で光を放つ物体を見る。

 

「これって……」

 これは確か、シルトから貰ったものだ。

 初めて会った時、シルトが瑠香に渡した、というか投げつけたもの。

 

 ご利益があるとか適当なことを言っていた気がするが、どうやら本当だったらしい。

 

 瑠香がそんなことを考えたその時。

 目の前の何もない空間が光り始める。

 

 次の瞬間光は収まり、そこには二人の人間が立っていた。

 

 その姿を見て驚く瑠香。

 

「シルト先生!?」

 そこには、たった今瑠香を窮地から救ったシルト張本人が立っていた。



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