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186話 西区にて

 

 アルゼンクの放った触手のように蠢く刃物を、霊装を纏った木刀で弾き返す一華。

 その一瞬で無防備になった一華の左横腹を狙って、風切り音を立てて迫る刃物。

 

 それを一瞥した一華は、咄嗟に背後に飛び退る。

 次の瞬間、一華が元居た場所に数本の刃物が突き刺さる。

 

「あははッ、君すごいね! すごく強い!」

 それを見たアルゼンクは手を叩いて一華を称賛する。

 その体の周りでゆらゆらを蠢く刃物を見て、一華は眉を顰める。

 

 厄介な能力だ。

 本体にダメージを与えるには、あの自由自在に動く刃物を越えなければいけない。

 しかし、あの量の刃を捌くのはさすがの一華にも不可能だ。

 

 そうして一華が思考を巡らせていると、その曇った表情を見てアルゼンクがニヤリと笑う。

 

「いいでしょ? 僕の能力。攻守共に優れているんだ。君のその得物で相手するには、無理があるんじゃない?」

 その言葉を聞き、一華は再び木刀を構える。

 

「無理があるとしても、私は逃げない」

「そう、いい心構えだね」

 頷きながらアルゼンクはそう言う。

 同時に、その体の周りの刃物が一斉に一華の方へ切っ先を向ける。

 

「殺される者としては、最高の心構えだ」

 次の瞬間、放たれる刃の群れ。

 

 すんでのところで背後に飛び、それを回避する一華。

 一回、二回、三回と飛び退る一華。

 それを正確に追い続ける刃。

 

 三回目に飛んだ後、一華はちらりと背後を確認する。

 すぐ後ろに民家の塀がある。

 

「あはは、追い詰められちゃったね!」

 それを見て嗜虐的に笑い、両手を広げるアルゼンク。

 

 刹那、アルゼンクの周囲の刃が蠢き、一華目掛けて殺到する。

 

 それを見た一華は、アルゼンクを正面に捉えたまま背後の塀を左腕を曲げて掴むと、思い切り両足で地面を蹴る。

 一華の体がふわりと宙に浮いた。

 

 掴んだ塀を軸に空中で一回転する一華。

 そして塀の上で、片手で逆立ちをするような体勢になった時、一華は塀を掴んだ左腕を曲げる。

 ぐっと、一華の体が沈む。

 

 次の瞬間、一華は曲げた腕を伸ばし、全力で塀を突き放した。

 バネのように弾け飛ぶ一華の体。

 

 そのままくるくると何度か空中で回転し、難なく民家の屋根に着地する。

 すくりと屋根の上で立ち上がる一華。

 

 一華が曲芸のような回避に使った塀は、アルゼンクの刃によって跡形もなく消し飛んでいた。

 

「すごい、すごいよ!」

 その惨状の真ん中でアルゼンクが楽しそうに笑う。

 

「僕相手にこんな生き延びてるなんて、君は本当にすごい!」

 手を打ち鳴らしながらアルゼンクは言う。

 

「あなたに褒められても、別に嬉しくない」

 それを冷たい目で見る一華。

 

「あれー、おっかしいな。女の子は褒めると喜ぶって本に書いてあったのに」

 それを聞いて不思議そうに首を捻るアルゼンク。

 しかしすぐに首を振るとにやりと笑った。

 

「ま、いっか! 殺しちゃえばみんな死体だし」

 その言葉と同時に刃が蠢く。

 身構える一華。

 

 しかし、一向にそれは襲ってこない。

 構えたまま訝し気にアルゼンクの顔を見る一華。

 

 アルゼンクは一華を見ていなかった。

 目を閉じ、何かを聞いている様子のアルゼンク。

 

 その次の瞬間、アルゼンクが目にも留まらぬ速度でその場を飛び退く。

 それと同時に。

 

「“黄色光線(イエローレーザー)”っ!」

 その声と共に飛来した光線が、アルゼンクの元居た場所を撃ち抜いた。

 



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