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181話 ドミラス

 

 フィールド東部にあるビル街を一人歩く実辰。

 周囲には人っ子一人いない。

 それは実辰が、このビル街にいる受験者をあらかた倒してしまったからだろう。


 実辰の現在のポイントは千五百ポイント。

 最初の自分の百ポイントを抜くと、十四人も倒した計算になる。


「なんかつまんないなー。歯応え無さすぎ」

 全員瞬殺。

 倒された者には悪いが、もっと修行して出直してほしいレベルだ。


「あたしが強すぎるのかなー」

 頭の後ろで手を組んで呟きながら歩く実辰。


 と、その時。

 ふと、人の気配を感じて顔をあげる実辰。


 顔を上げた先には一人の生徒が倒れていた。

 完全に気絶しているようだ。


 そして、その生徒の近くに立つ一人の大男。


「む」

 その大男と実辰の目が合う。


「誰だお前は」

「誰って、ただの生徒だけど……そっちは違うみたいだね」

 大男の問いに答える実辰。

 男の外見的に生徒ということはなさそうだ。


「そうか、こいつと同じか」

 男は実辰の答えを聞いてつまらなそうな顔をする。

 そして、足元に転がる生徒を見て鼻を鳴らす。


「逆に聞くけど、あなたは誰?」

「俺はドミラス。異能犯だ」

「へー、珍しい。自分のこと異能犯っていう人」

 異能犯という言葉を口にした男に大して驚いた様子を見せない実辰。

 そんな実辰に目を細めるドミラスと名乗った男。


「お前、驚かないのか。こいつは俺が異能犯だと言った瞬間、ぴーぴー泣き喚いて命乞いをしたぞ。仮にも、異能犯に立ち向かうヒーローを育成する学園区の生徒が、だ」

 足元に転がる生徒を顎で指し示して言うドミラス。


「あー、そうかもね。だってここでの暮らしは平和すぎるもん。いきなり異能犯なんて出てきたらビビっちゃうよ」

 笑ってそう言う実辰。

 その笑顔を見てドミラスも笑う。


「どうやら、お前は退屈しているようだな。その、平和とやらに。俺も同じだ」

「一緒にしないでよ。私は憂さ晴らしで人殺したりしないもん。あなた、今まで何人殺したの?」

「十人。その内、七人はヒーローだ。よく、俺が殺しているとわかったな」

 実辰の問いに淡々と答えるドミラス。

 その言葉に、実辰は嗤った。


「わかるよ。だって、するもん。ベッタリ染み付いた、血の、匂いがさ」

 その笑顔を見てドミラスも凄惨な笑みを浮かべる。


「やはりお前は同類だ。血に飢えた獣の臭いがする」

 そう言って身構えるドミラス。


「かかってこい。これ以上、言葉は要らない」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 そう言って身を屈める実辰。

 そして、地を蹴った。


 一気に加速してドミラスの目の前に到達すると、拳を振りかぶって思い切り叩き付ける。

 それを両手を交差させて防御するドミラス。


 ドミラスは堪えきれずに後ろへ吹き飛ぶ。

 しかし、そのまま難なく着地する。


「なるほど、やはり常人ではないようだな」

 腕を振って呟くドミラス。


「これを何発も貰ったら俺もただでは済まなそうだ」

「じゃあ、どうするの?」

 訊ねる実辰に、ニヤリと笑うドミラス。


 その体が、ぐんと大きくなる。

 どんどん巨大化していくドミラス。

 それと同時に、その体が鱗に覆われていく。


「どうだ。これなら吹き飛ばせないだろう」

 やがて変身が止まり、そこには十メートル以上ある怪獣が立っていた。


「すごいね、大きい」

 それを見て小学生並みの感想を言う実辰。


「お前、驚かないのか。この姿を見た奴は大体逃げるか、恐怖の叫び声をあげる」

「ゴリラがゴジラになっただけじゃん。どっちも同じようなものでしょ」

 余裕そうな実辰の様子に眉を吊り上げるドミラス。

 眉を吊り上げると言っても眉毛はないのでそういうような動きをしたと言うだけなのだが。


「お前、どうやら気づいていないようだな」

「何に?」

 首を傾げる実辰に鼻を鳴らすドミラス。


「お前たち生徒を守る防護服は現在起動していない。攻撃を食らえばダメージを負うし、最悪死ぬ」

「そう」

 ドミラスの言葉に冷静に頷く実辰。


「自分が負けないと、死なないと思っているのか?」

「さあね。でも、これだけは言える」

 その問いに実辰は首を振る。

 そして、笑う。


「命が懸かっている戦いのほうが、愉しいでしょ?」

 その言葉に牙を剥き出すドミラス。

 笑ったのだろうか。


「全くもってその通りだ!」

 大声で笑い、そう言うドミラス。

 そして、その巨腕を持ち上げる。


「その言葉に敬意を表して、一撃で葬ってやるッ!!」

 そう叫び、ドミラスはその持ち上げた巨大な腕を降り下ろした。


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