122話 取り敢えず
「お母さん……お父さん……!」
瑠香は東塔の階段を駆け下りながら叫ぶ。
スクリーンに映し出された二人の人物。
それは間違いなく瑠香の両親だった。
何故ここに両親が?
どうして皇族を名乗っているのだろう?
何故。
どうして。
様々な問いが瑠香の頭の中で渦巻く。
思考がまとまらない。
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
その時。
グッと腕を引かれて瑠香は前につんのめる。
「わ、わ……!」
慌てて腕を振り回す瑠香。
その体がふわりと抱き留められる。
「少し落ち着け。瑠香」
「……充」
自分を抱き留めた者の顔を見上げて瑠香は呟く。
「──って」
「……?」
変な声を上げる瑠香を訝しげに見る充。
「ち、近っ!?」
瑠香と充は密着状態だった。
顔が滅茶苦茶近い。
充の整った顔を至近距離で見つめて瑠香は顔を真っ赤にする。
「あ、ああ、悪い」
そこで充も自分たちの距離を思い出したのか慌てて飛び退く。
「ふ、ふう」
溜め息をつくふりをして顔を逸らす瑠香。
その顔はまだ真っ赤だ。
「瑠香ちゃん!」
そこで駆け寄って来る凜たち。
「瑠香、一体どうしたの?」
一華の問いに瑠香はハッと思い出す。
「──あのスクリーンに映った人、私のお母さんとお父さんなの!」
瑠香のその言葉に全員が息を呑む。
『……瑠香、それは本当かい?』
フェイルが持っている通信機からアレンの声が流れ出す。
「……はい!」
『ふむ……?』
頷く瑠香にアレンが思案気な声を漏らす。
『これは、どういうことですか?』
そこで困惑気な声を出すウィスター。
『わからない。だけど、なにか大きな秘密が隠されている気がする』
『私たちはどうすれば……』
『取り敢えず、だ』
ウィスターを遮ってアレンがまとめるように言う。
『わからないことがあるなら聞けばいい。本人に、直接ね』
『……なるほど』
アレンの言葉に納得した様子のウィスター。
『と、言うわけだ。まずはみんな合流しよう』
「えっと……どういうことですか?」
話の流れが読めず瑠香は困惑する。
『僕はエマの知り合いだ。間を取り持つことくらいできる』
アレンの説明に瑠香は納得した。
確かに、今から瑠香が皇宮に押しかけても中に入れてもらえないだろう。
門前払いがいいところだ。
『じゃ、みんな。皇宮前に集合ね』
そのアレンの軽い口調に脱力しながらも瑠香たちは頷くのだった。




