119話 皇宮入口にて 決着
「あっけねェな。人ってのは」
プラタはそう呟く。
目の前にはボロボロになったメシウスが倒れている。
「く──ッ!」
「おう、まだ生きてたか」
うめき声を上げるメシウスにプラタは声を掛ける。
周囲は大惨事だった。
地面が抉れて、いくつも罅が入っている。
その惨状から、その場でどれほどの激戦が繰り広げられていたのかが見て取れる。
「化け、物め──ッ!」
「言われ慣れてるぜ。その言葉」
顔を歪めてプラタを睨み付けてくるメシウス。
「なあ、てめェは何で戦ってんだ?」
メシウスを見下ろし、プラタはそう問う。
「なぜ、貴様に、そんなことを……ッ!」
荒く息をつきながらメシウスが言う。
「〈黒〉のやつは戦闘狂が多い。殺し、壊し、踏みにじることで快楽を得るような奴らばかりだ。だが、てめェは少し違うような気がしたからだ」
その言葉に目を見開くメシウス。
そして歯を食いしばりながら言う。
「俺の、目的は、父を殺した連中に、復讐することだ……ッ!」
「復讐、か」
その言葉に目を細めるメシウス。
「そうだ、いつか必ず、殺す! ──〈灰燼旅団〉の、全員をッ!」
「〈灰燼旅団〉だと……?」
その言葉に大きく目を見開くプラタ。
その時。
倒れ伏すメシウスの周りに黒い靄のようなものが現れる。
その靄に沈み込むメシウス。
「ちッ、逃がすかよ!」
軽く舌打ちをして駆け出そうとしたプラタ。
そのすぐに動きは止まった。
「そこまでだよ。プラタ将軍閣下」
プラタを止めたのは一人の女だった。
長い茶髪に質素な服を身に纏っている。
プラタの目の前で掌を広げて、プラタの動きを止めている。
女を見てプラタは目を細める。
「てめェ、見たことがある。『使徒の王』だな」
「せいかーい、です」
にやりと笑って女は言う。
そしてメシウスの方を一瞥するアスカ。
「あちゃー、ボロボロだねぇ。こりゃ酷くやられたなぁ」
そしてそう呟く。
「──アスカ……」
メシウスが女を見てその名を呼ぶ。
「助けに来たよぉ。まさに危機一髪だね」
へらっと笑いアスカと呼ばれた女は言う。
そしてプラタの方へ向き直るアスカ。
その瞬間、プラタは身を縮め、地を蹴る。
一気に加速し、アスカに迫る。
そして爆速で拳を突き出した。
しかし。
次の瞬間、アスカが差し出した掌に、黒い靄が渦巻く。
その黒い靄にプラタの拳がぶつかる。
そして。
背後に吹き飛ばされたのは、プラタの方だった。
「くッ!?」
呻くプラタ。
その隙に、アスカは黒い靄の中に沈み込もうとしていた。
「ばいばーい」
靄の中で手を振るアスカ。
「待て! てめェらはここで殺す!」
再び走り出すプラタ。
「そんな心配しなくても、これからは〈黒の使徒〉はこの国に手出ししないよ」
そしてちろっと舌を出すアスカ。
「──『死神』を起こしたくはないからね」
そして靄の中に引っ込むアスカ。
その靄が消えるのと、プラタが腕を振るったのは同時だった。
空振るプラタの拳。
「──ちッ、逃げられたか」
舌打ちをしてプラタはそう呟いた。




