第7話 見たこともない世界
1か月ぶりの更新です。
急に創作意欲がなくなってしまってストーリーは考えることが出来てましたが
文章を考えるのが億劫になってしまいました。
私は家の目の前で意識を失った。
あれから…どれほどの時が経ったのだろうか……
ふと、ミクミはどこかの森の中で目を覚ます。ゆっくりと体を起き上がらせ、辺りを見回す。上に顔を向けると、満天の星空が広がっている。
「ここは……どこ?」
ミクミは意識が途切れる前に実家の居酒屋にいたはずなのだが、辺りは木々が覆っている。目を凝らして、遠くを見るとそこから明るい光が漏れていた。
その光に誘われるように、ミクミは近づいて行くと誰かのクスクスっと泣き声のようなものが聞こえた来た。木々を掻き分けて、その声の主に近づくと目の前には、見たこともない巨大な建造物が遠くにそびえ立っていたのが見えた。
その光に照されて塞ぎ込みながら泣いている、ミクミと同じくらいの少女がいた。咄嗟にミクミは話しかける。
「大丈夫?」
「え?」
少女はびっくりした声を上げながら、後ろに振り向く。
「幽霊?」
「え?」
話しかけたミクミを見た少女は、小声で言う。
「??? え!え!え~~。あれそう言えばなんで私、半透明なの~!」
言われて初めて気づいた。ミクミは半透明な幽霊のような姿だった。しかし、足はしっかりと地面を踏んで立っている感覚も、微かに吹く風も肌で感じていたので気づかなかった。
「ここに幽霊が出るなんて初めて見たよ。」
最初はびっくりした少女も冷静さを取り戻した。
「いや、私は死んでないし。」
「でも、幽霊じゃん姿が。」
「あれ、おかしいな…力を使いすぎて家の前で倒れたはずなのに、いつのまにかこの森で倒れていたの。」
「力を使いすぎた? 何かゲームに夢中になってとか?」
「ゲーム? それが何なのか分からないけど、私は友人がイジメられたからイジメた奴らを全力で魔法をぶつけて懲らしめただけなのだけど。」
「魔法? 大昔じゃあるまいし、ゲームのやりすぎじゃ?」
少女は魔法と聞いて困惑する。
「大昔ってどういうこと?」
ミクミは何の事を言っているのかわからなかった。
「私と同じ年ぐらいだし、歴史の勉強で習わなかったの? 魔法使いは数千年程まえに滅んでるわよ。まあ、都市伝説ではまだ使える子孫が生き残ってるとかは、言われてるけど。」
そのことを聞いたミクミは、何が何なのか分からなかった。言葉は通じているはずなのに、聞いたこともない単語がずらずらと耳に入っていくからだ。
数分の沈黙の後
「ねえ、生まれた国はどこ?」
「ウィクロード王国だけど。」
それを聞いた少女は、おもむろにポケットから何かを取り出すと、光る窓が何かから出てきた。何かを操作しているように見える。
「その国、存在しないわよ。過去も現在もネットで調べたけど。」
「じゃあ、デルヴォロア魔国とかエルリットイム樹国、ネオクラース帝国は?」
「まあ一応検索してみるけど。」
少女は光る窓を操作して何かをしている。
「どこにもないよ、そんな国。なんかのゲームに登場する国なのかと思ったんだけど、ヒットすらしなかった。」
ミクミは何を言われているかよく分からなかった。自分が生まれた国や訪れた国などを言ったのに存在しないと言われてしまった。
「嘘を言ってるようには思えないし、もしかして貴方は異世界の人?」
「異世界?」
「架空の話ではよく登場するんだけど、あくまで架空の話だから実際は存在しないはずなんだよね。でも貴方のこと聞いてると、この世界には存在しない国、魔法が使える話とするとそれしかないかなって。」
「ということは、ここは私がいた世界とは違うんだね。」
もう、ミクミがいた世界に戻れないんだと思ってしまい涙がこぼれた。
「泣かないで。貴方は今、幽霊みたいな姿だし魂だけ、こっちに来てるのかも?」
「そういわれれば、感覚はあるんだよね。」
「自己紹介がまだだったね、私はエクレリア。エクレって呼んで。」
「私はミクミ・フォルシー。ミクミでいいよ。年は10だよ。」
「へぇ~、同じね。私も10歳よ。種族はね悪魔よ。」
「私はその…。」
ミクミは口を塞いでしまう。ハーフだと知られたらどう思われるのかを。
「ミクミちゃんは、何か訳あり? 何でも話していいわよ。」
「その、デビルハーフエルフなんだけど。」
「すごい、そっちにはエルフもいるんだね。」
「うん。お母さんがハーフエルフなの。お父さんが悪魔なの。」
「すごい組み合わせ。」
それからずっと、ミクミとエクレは互いの世界について話し合った。
「そういえば、エクレちゃんはなんでこの森に?」
「実は言うと、両親がね偉い役職に就いてて、後を継がせるために色々と勉強とか習い事とかさせるんだけど。私は好きなことをしたいから逃げてきたの。」
詳しく聞くと、いつもは友達の家に転がり込むそうだった。でもいつものことなので、親たちが先回りされて捕まるので、このちょっと離れた森丘に逃げてきたといった。
ここはあまり、人が寄り付かないところなので危険だが捕まりにくいということで選んだらしい。
「私はね。魔法が好きだから、好きなことを伸ばしたの。だからエクレちゃんも好きなことを伸ばしたらいいんじゃない?」
「ありがとうミクミちゃん。」
それからは肩を寄せ合い、エクレが住んでいるという街を眺めていると。
ミクミの体が光が灯りだした。
「ミクミちゃん、体が光ってるよ。」
「ホントだ。これってもしかして。」
「そろそろ、戻る時間がやってきたのね。」
ミクミの体から光が溢れだし、徐々に天に向かって光が消えていく。足元が消え始めてきた。
「エクレちゃん、短い時間だったけどありがとう。」
「私も話し相手になってくれてありがとう、ミクミちゃん。またどこかで逢えたらいいね。」
「また逢おうね。」
そういうと、ミクミは光の泡となり消えていった。それを見上げながら、エクレは大きく手を振って見送ったのだった。
そよ風を感じて、瞼を開けた。ミクミは病室の窓側のベッドで寝ていた。体が言うことを聞かないので、頭を左右に向けると自分以外誰もいないことが分かった、個室だった。
なんとか体を起こして、窓の外を見ると、太い根が遠くに向かうにつれて細くなっているのが見えた。ここは家があった、自分が倒れたウィクロード王国ではなく、エルリットイム樹国なのだと気づく。
すると逆の方向の扉からノック音が聞こえる。
「失礼します。」
「ミクミさん。起きられたのですね。」
エルフの看護師が様子を伺う。
「私は、どれくらい寝ていたんですか?」
「1か月程寝ていましたよ。」